自治体のためのAWS

クラウドは市区町村での活動を加速させ、効率化させます。

このページでは自治体における AWS の取り組みをご紹介します

ガバメントクラウド先行事業に採択された神戸市が考える 自治体で DX を進めていくためのポイントとは?

-自治体はクラウドサービスをどう取り込んでいけばいいのか-


2021 年、デジタル庁は地方自治体の基幹業務システムの基盤として AWS などを採用したガバメントクラウドを提供し、ガバメントクラウドへの移行に関わる課題の検証を目的とするガバメントクラウド先行事業を立ち上げました。参加する自治体を公募により募集するもので、応募52自治体、採択8自治体のうち、政令指定都市として唯一採択された神戸市のデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みとクラウド利用のポイントについて、神戸市 企画調整局 デジタル戦略部の皆様にお話を伺いました。

市の基幹業務システムを、数多くのメリットを提供してくれる AWS に移行

現在神戸市では、基幹業務システムである住民記録システムと各業務システムのデータを集約する共通基盤システムを、AWS を基盤とするガバメントクラウドに移行するための環境構築を進めているところです。今後のロードマップについて、企画調整局 デジタル戦略部長の森浩三氏は次のように説明します。

「移行作業は 2022 年度一杯に完了させる見込みで、併せて新たなネットワークとセキュリティの仕組みも導入します。そして 2023 年度から既存の基幹業務システムと並行稼働させつつ、検証作業を進め、ガバメントクラウド上での安定運用を確認した後、ガバメントクラウドでの本番稼働に切り替える予定です(森氏)。

ガバメントクラウドでは、利用対象のクラウドサービスとして AWS を含む2つのサービスが提示されていますが、神戸市が選択したのが AWS でした。その理由として、企画調整局 デジタル戦略部 ICT総合戦略担当係長の伊藤豪氏は複数の理由を提示します。

「元々AWSを使って庁内のデータを有効活用するためのデータレイクを構築していたこともあり、我々の中にある程度、AWS の知見が溜まっていました。さらに AWS は総合行政ネットワーク(LGWAN)を介して様々な行政サービスが利用できる LGWAN-ASP といち早く連携するなど、我々自治体の目線で多くの新しい取り組みに注力している印象がありました」(伊藤氏)。

現在 AWS では具体的な機能や使い方などをご紹介するコンテンツを数多くご用意しています。神戸市のように DX を進めたい、あるいはクラウド利用に踏み出したいと考えられている自治体の皆様には、非常に参考になる内容となっています。クラウド利用の第一歩として、是非ご覧いただければと思います。

デジタル化やクラウド利用で、住民サービスの向上と職員の働き方改革は両立できる

神戸市では、ガバメントクラウド以外でも AWS を基盤とする様々なシステムの構築や利用を進めています。そうした取り組みの一環として、デジタル戦略部で ICT を活用した業務改革を担当する石田真智氏は、住民サービスの向上を図るための“オンライン申請の審査効率化の取り組み”を挙げます。

「神戸市では、クラウド技術を活用してオンライン申請の審査効率化を進めています。これは、AWS を基盤とするもので、ちょうど今実証実験を進めているところです」(石田氏)。

この実証実験では、市民からオンラインで申請手続きがあった場合に、安全なネットワーク上で申請データと行政データを連携することで審査にかかる事務負担を減らし、審査時間を短縮して市民サービスの向上に繋げられることを検証しています。

神戸市が実現を目指すスマート申請は、株式会社グラファーが提供する行政機関・地方自治体向け SaaS サービス『Graffer スマート申請』を利用するもので、多様化する住民ニーズや社会環境の変化に柔軟に対応するためのソリューションの1つです。このような SaaS サービスと連携していくことで、自治体は新たな仕組みを構築するまでの手間とコストを抑えつつ、社会情勢に応じた行政サービスをタイムリーに提供していくことが可能となるでしょう。

他の自治体様でもデジタル化の第一歩として、すぐに検討できる仕組みだと言えます。

オンライン申請・ショッピングイメージ

神戸市ではマイナンバー制度が施行された 2013 年頃からデジタル化に注力し始め、2017 年以降、全職員を対象とするチャットツールを導入、さらに直近では、2020 年に政府が新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として全国民に一律10万円の特別定額給付金を支給しましたが、この給付金の申請状況を住民が Web 上で確認できるシステムを神戸市が自ら作成しました。

「ただし全ての住民の皆様が Web に慣れ親しんでいるわけではありません。住民サービスを提供する自治体としては、決して忘れてはならない視点です。そこでパソコンやスマートフォンを持たれていない皆様に向けては、全国で初めて音声通話による自動案内サービスも提供しました。これらの仕組みは、まさに住民の皆様の利便性向上を目的としたものですが、職員の働き方改革という観点からも、本来職員で対応する必要のあった約 13 万件もの問い合わせを削減するものでした。デジタル化やクラウド利用は、住民サービスの向上だけに留まらず、職員の働き方改革も実現してくれるものだと強く認識しています」(伊藤氏)。

問題意識を持つ人材を発掘し、その他大勢の人たちの意識を揺さぶっていく

今後国内全ての自治体は、少子高齢化や地球温暖化などに起因する幾多の課題に等しく向き合っていく必要があります。そのためには神戸市がいち早く着手したデジタル化やクラウド利用を避けて通ることはできません。

それでは今、日本の自治体にはどのような姿勢と取り組みが求められるのでしょうか。この点について森氏はまず人材の発掘と育成を挙げます。

「現在まだ DX に着手できていない自治体の中にも、多かれ少なかれ、我々のような問題意識を抱えている方は必ずいるはずです。まずは自分たちの組織の中から、そうした人材を探し当てることから始めてみてはいかがでしょうか。そういう人たちの考え方は、後進の育成や新たな政策の立案にも活かすことができると思います。またそうしたサーチライトを当てる側の人としては、やはり DX 推進の根幹となるシステムインフラを握る情報システム部門のトップになると思います。また行政サービスを知っている人、住民のために何ができるかという視点を持っている人を情報システム部門の側や中に置くといった動きも必要です。まさに DX によって、住民サービスの向上と業務効率化を両立させるための取り組みです」(森氏)。

都市とネットワーク

一方伊藤氏は、自治体の組織全体に DX やクラウド利用の意識を広げていくためには、成功事例を草の根的に広報していく取り組みも重要だと強調します。

「私は民間企業での経験を踏まえ、AWS を含めたクラウド活用のメリットについて、庁内でも説明を続けてきました。そうした活動と併せて、特別定額給付金の申請状況確認サイトのように業務改革の実績を積み上げていくことが非常に大切だと考えています」(伊藤氏)。

デジタル庁は 2021 年 11 月、政府と自治体職員の対話の場となる「デジタル改革共創プラットフォーム」の運用を開始しました。森氏は、こうした仕組みに参加するところから職員の意識を高めていくこともできるのではないかと提案します。

「問題意識を持つ人材の発掘や育成は、一朝一夕には進みません。我々も今、新規職員の採用時に ICTデジタル枠を設けて、経験のある社会人の方を採用するなどの取り組みを行っています。そうして段階的に人材の発掘や育成を行うのが、現実的な進め方だと思います」(森氏)。

global business concept

AWS では豊富な導入事例を始め、自治体の皆様のご参考になるウェビナーも数多くご提供しています。この機会に是非ご参照いただければと思います。


神戸市 企画調整局

デジタル戦略部

情報システムの開発・運用から人材育成、業務改革までを担当

企画調整局は、政策の企画・立案から企業誘致、情報化の推進など数多くの業務を担当し、同局所属のデジタル戦略部は企業における情報システム部門に相当。庁舎内のネットワークやセキュリティ、職員が利用するデスクトップなども含めた情報システムの開発・運用を担い、人材育成とデジタル化による業務改革の推進も重要な役割。行政サービスでは、マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)の提供と運用を行っている。

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ガバメントクラウド先行事業を機に基幹システムを AWS に移設


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基幹 20 業務の標準準拠システムの移行先クラウドに AWS を採用

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Topics

地方自治体のためのガバメントクラウド情報サイト

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自治体の皆さま向けにガバメントクラウド(AWS 環境)に関して、
Amazon Web Services (AWS) が提供している情報を集約したサイトを開設しました。

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ガバメントクラウドへの移行を検討・準備をされるお客様向けに、相談窓口を開設しました。 

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