リモートワークの早急な立ち上げに際し
Amazon WorkSpaces を数千ユーザー規模で導入
職場業務の品質を維持した在宅勤務の環境を整備・確立
2020
コンタクトセンターやデジタルマーケティングなど、企業のビジネスプロセス最適化をサポートするトランスコスモス株式会社。2018 年に基幹系業務システムをオンプレミス環境からアマゾン ウェブ サービス(AWS) に移行した同社は、同時にリモートワーク環境整備のための検証を実施。そして 2020 年 4 月、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛要請下のタイミングに事業継続を目的に Amazon WorkSpaces を数千ユーザー規模導入しました。 AWS Client VPN も併せて活用することで、セキュリティを担保した大規模で、職場業務の品質を維持した在宅勤務環境を速やかに構築しました。
3 年の計画がわずか 1 ヶ月に濃縮された感覚です。在宅勤務では業務遂行が難しいと考えるスタッフもいますが、Amazon WorkSpaces をはじめとした、業務に必要な環境やツールを用意・活用することで、職場業務の品質を維持して、しっかりと活躍できるようになりました
所 年雄 氏
トランスコスモス株式会社 執行役員
デジタルマーケティング・ EC ・コンタクトセンター統括
デジタルエクスペリエンス本部
先端技術への積極的投資で効率的な労働環境を模索
デジタルマーケティング、コンタクトセンター、EC など、クライアント企業のビジネスを多方面からサポートしているトランスコスモス株式会社は、より高い価値を提供すべく、最新テクノロジーへの投資を積極的に行っています。AWS の利用については 2016 年ごろから実証実験を開始し、2018 年にはそれまでオンプレミスで運用していた基幹システムを AWS に移行しました。決裁系等の業務処理システムなど部分最適化されていた基幹システムを再構築することで、より高い柔軟性の確保と運用負荷の軽減を実現しています。
基幹システム移行とともに検証が行われていたのが、働き方改革を推進すべく、社外からも社内システムを活用できる環境を迅速に整備することが可能なクラウドベースの仮想デスクトップサービス AWS WorkSpaces の活用です。「私が最も感動した AWS サービスの 1 つが Amazon WorkSpaces です。海外出張中、ホテルの部屋から社内システムにアクセスしてスムーズに決裁できるようになりました。他の経営陣にも使い勝手がいいとアピールして、積極的に利用を推進しました」と語るのは、同社の 執行役員 デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括 デジタルエクスペリエンス本部 の所 年雄 氏です。
従来は、海外出張中の決裁は部下に委任するものの、判断できず決裁が滞ることがあったといいます。また所氏は自身の業務だけでなく、Web 制作やアプリ開発を行うスタッフの在宅勤務を実現するサービスとしても、Amazon WorkSpaces に着目しました。同社では、以前リモートアクセス用に他社のツールを使っていましたが、ネットワーク帯域幅を消費してしまうなどの課題があり、積極的に利用されていませんでした。そこで、クラウドに展開され短期間でサービスが開始でき、拡張など管理運用が容易な Amazon WorkSpaces の採用を決めました。
理事 サービス推進総括デジタルテクノロジー推進本部長の布袋賢一 氏は、「以前から自宅や社外で業務を行い、オフィスをフリーアドレスにして、スペースにかかるコストを下げるといった構想がありました。2017 年ごろから全社的に在宅勤務へ移行できるかどうかさまざまな検証を進めてきました。
2019 年には本格利用への前段階として 100~200 ユーザーほど Amazon WorkSpaces を導入したところ、問題なく業務を行えることが確認できました」と評価します。
本社全員の在宅勤務環境をスピーディーに構築
2020 年 3 月に日本政府が新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う外出自粛要請をしました。多くのクライアント企業を支える同社としては、事業継続のために在宅勤務を強く推進する経営判断を下し、Amazon WorkSpaces のユーザー数を 3,000 程度まで急拡大しました。
事前の検証を行っていたこともあり、準備開始が 3 月中旬で 1 ヶ月後の 4 月中旬には、東京本社のスタッフ全員が在宅勤務可能となりました。「3,000 名が一斉に AmazonWorkSpaces を利用開始するわけでなく、回線の帯域を見ながら徐々に割りあてていくといった工夫をしました。後で検証したところ、帯域を想定ほど使用していないことが判明しました」(布袋氏)
現在同社では、AWS 上の基幹システムの利用者、決裁が必要なマネジメント層など 2,000 ~ 3,000 名ほどが Amazon WorkSpaces を利用。所氏が率いる部門には約 2,000 名のスタッフがおり、そのうち 300 名~ 400 名が Amazon WorkSpaces を利用しています。「決裁等必要な人にだけ AmazonWorkSpaces を使い、残りのスタッフには AWS Client VPN 経由で業務システムに接続して対応する、といった使い分けをしています。これまでに基盤システムを AWS に移行していたので、非常にスムーズに対応できました。メッセージツールやビデオ会議システムを使うことで、職場同然の感覚です」(所氏)
3 年の計画がわずか 1 ヶ月により効率化された組織へ
トランスコスモス社内では、従来から在宅勤務や時短勤務、ジョブ型雇用といった、働き方改革について議論がなされており、 IT インフラ投資や検証を進めていたため、今回のような大規模な環境構築が短期間で実現できました。当初、中期事業計画では、3 年をかけて完全在宅勤務に移行する予定だったといいます。
「 3 年の計画がわずか 1 ヶ月に濃縮された感覚です。在宅勤務では業務遂行が難しいと考えるスタッフもいますが、Amazon WorkSpaces をはじめとした、業務に必要な環境やツールを用意・活用することで、職場業務の品質を維持して、しっかりと活躍できるようになりました」(所氏)
育児や介護のため、時間に融通を効かせたい人たちはもちろん、デザイナーなどクリエイティブな業務に集中したいスタッフにも好評です。従来のように、9 時から 5 時までの決められた時間に働く、というのではなく、時間を有効活用した勤務が可能になるため、より成果に基づいた働き方に対応できるといいます。
全社的には、「コンタクトセンターや BPO 業務などのお客様先に出勤する部隊においても、これまでは社外業務の外出しは禁止されることが多かったのですが、今回の外出自粛要請以降、一部のお客様では BCP の一環としての在宅勤務も許容されるようになりました。そこで、弊社の AWS 基盤とお客様のサービスを接続してどう運用していくか、という話も検討しております」(布袋氏)
積極的なデジタル投資によってビジネスのさらなる変革を推進
今回の Amzon WorkSpaces の大規模導入によって、場所に依存せず業務を遂行できるようになったことは、同社の従業員のみならず経営陣にも理解が進みました。これまで特定の場所に人を集めて運営していたコールセンターなどの業務も、Amazon WorkSpacesや Amazon Connect といった AWS のサービスを使って在宅勤務にシフトしていくといいます。
デジタル活用を前提とし、先行投資してきた同社では、今後も AWS を積極的に活用していく方針です。「 AWS の基幹システムと Amazon WorkSpaces の導入によって働き方改革は一気に進みました。将来的にはビジネスモデルを変えるということも推進していきたいです。そのためにも AWS の新しいサービスには注目しています。現在、画像認識システムの需要が高まっていますので、こうした新技術も活用していきたいと考えています。AWS は常に我々に寄り添っていただいて、情報を共有していただける貴重な存在です」(所氏)
所 年雄 氏
布袋 賢一 氏
カスタマープロフィール:トランスコスモス株式会社
- 設立年月日: 1985 年 6 月 18 日
- 資本金: 290 億 6,596 万円
- 従業員数:58,516 名(国内:40,002名、海外:18,514 名) 2020 年 3 月末現在
- 事業内容:コールセンターサービス、デジタルマーケティングサービス、BPO、データ分析など、企業向けの IT アウトソーシングサービスを提供
AWS 導入後の効果と今後の展開
- わずか 1 ヶ月で東京本社全員が在宅勤務可能に
- クライアント企業の事業を止めることなくサポートできる体制を構築
- Amazon WorkSpaces と AWS Client VPN を併用して職場での業務と変わらない品質を確保