The Clinician が AWS での AI 駆動デジタル医療プラットフォームを活用して病院によるオーダーメイドのがん治療の提供を支援

社会の高齢化が進み、癌などの持病が広まるにつれて、ヘルスケアプロフェッショナルは増大する作業量にプレッシャーを感じています。パーソナライズされた良質の治療を提供するために患者の健康データを収集および分析するための臨床医の時間とリソースは、膨大な作業量に奪われていました。

ニュージーランドに拠点を置くスタートアップ The Clinician は、患者自身が認識する症状と経験に基づいて定義、測定、そして提供される価値ベースのケアに移行するためのヘルスケア組織のニーズに気が付きました。同社の 人工知能 (AI) 駆動型 ZEDOC プラットフォームは、自宅にいる患者から健康データを直接収集することによって、ヘルスケアプロバイダーにリアルタイムの健康モニタリング、分析、およびリスク予測を提供します。 

2015 年、The Clinician は アマゾン ウェブ サービス (AWS) クラウドで実行されるエンタープライズデジタル医療プラットフォームとして ZEDOC をリリースしました。The Clinician で最高技術責任者を務める Mike Merry 氏は、「AWS を使うことで、問題なくソフトウェアをすばやく立ち上げて実行することができました。スタートアップ向けに構築されている AWS は、そのままでコンプライアンスと柔軟性が提供されます」と話しています。

ZEDOC の開発中、The Clinician は AWS パートナーとなって AWS 独立系ソフトウェアベンダー (ISV) パートナーパスに参加しました。これを通して、同社は、厳密な患者データプロトコルに準拠しながら、AWS の専門知識にアクセスしてサービスを開発することができました。

患者の応答のセキュリティを確保するため、The Clinician は Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) と AWS Lambda のサーバーレス機能でハイブリッドなデータストレージモデルを採用して患者向けの機能を確保し、Amazon Kubernetes Services (Amazon EKS) を使用して、識別済みの患者レコードを含むトランザクションデータベースをサポートしています。これにより、最大 4 桁のスパイクが発生するピークロードを処理するためのスケーリングを数分で行うことができる一方、プロバイダーに安定したセキュアな機能を提供することができます。 

ブリスベンにある The Princess Alexandra Hospital (PAH) は、ZEDOC を使用して、肺がん患者の化学療法後の副作用のモニタリングと対処を行っています。ZEDOC はショートメッセージングサービス (SMS) に埋め込まれたリンクを介して、化学療法に関する 12 の主要な症状についての質問を治療後の患者に毎週送信しています。これらの回答は、病院が患者の治療後の投薬をカスタマイズしたり、次回の化学療法セッションを調整したりするために使用されています。

The Clinician は PAH の肺がん担当看護師 Rebecca Kimberley 氏と緊密に協力して、病院の既存のプロセス、および化学療法後のがん救急または回避可能な副作用として分類される 3 つの症状 (38 度以上の熱、痛み、血の混じった咳) を始めとする主要な副作用に関する理解を深めました。特定された主要な患者のアウトカムは ZEDOC プラットフォームにシームレスに取り込まれ、PAH では、ニーズに応じて構築されたプロジェクトを開始できます。Merry 氏は、「診療ワークフローを理解できれば、まったく新しいデジタルケアのパスを 1 日で設定して、患者の応答を直ちに収集することができます。ヘルスケアセクターに高い信頼性とセキュリティを備えたサービスをこれほど迅速に提供できることは大きな驚きです」と話しています。

ZEDOC を使用して患者の応答をキャプチャすることにより、PAH の腫瘍学チームは、単一のインタラクティブダッシュボードでキャプチャおよび提供される患者のアウトカムと実用的な情報を分析できます。がん救急が報告されると、自動化されたリアルタイムアラートも送信されます。

Kimberley 氏は、「以前は、治療後の患者 1 人あたり電話で 20 分話す必要がありましたが、臨床的介入を必要とする患者を特定するのに 10 本の電話をかけることもありました。ZEDOC では、このような時間をかけることなく、がん救急を直ちに特定できるので、臨床スキルが最も必要とされる案件の優先順位を設定できます」と話しています。

ZEDOC による効率性が改善されたことで、腫瘍学チームは増大する作業量に対処しつつ、個々の患者に合わせた医療を提供できるようになりました。Kimberley 氏は、「作業量は年間 15% 増加していますが、ZEDOC でよりスマートに仕事をし、患者のアウトカムを最大限にするためのテクノロジーを活用しています」と話しています。

さらに、患者の状態に関する正確なリアルタイムデータへのアクセスにより、Kimberley 氏は、病院での問診を必要としない患者を識別して次回の外来時に治療をすぐに開始することや、医師の確認を必要とする患者を識別することができます。

Kimberley 氏は、「問診を行うことなく患者の治療を開始できるかどうかを決定できるので、患者の待ち時間を数時間節約できる上に、外来のためのコストも削減されます」と話しています。「私たちが行う決定は患者の意思と応答に基づいているので、確かな確信を持つことができます。一方、患者は、自己管理を行い、サービスを介して自身のアウトカムを報告することに自信を持つことができます」

PAH に加えて、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、およびシンガポールの主要なヘルスケア組織が ZEDOC を使用して、自宅にいる患者の健康をモニタリングして必要な対処を行っています。The Clinician は AWS グローバルインフラストラクチャを活用して、世界中のヘルスケア業界の顧客の数を増やしています。

The Clinician は、グローバルな AWS のお客様にテクノロジーを提供する AWS Marketplace に参加しています。2021 年 10 月、同社は、Software as a Service (SaaS) デジタルヘルスケアパスウェイを AWS Marketplace で公開し、ヘルスケアプロバイダーが抱えるコストと実装の課題を削減しています。

Merry 氏は、「AWS を使うことで、柔軟で優れたプラットフォームを利用し、さまざまな症状、プロトコル、そしてワークフローに活用することが可能になりました。ZEDOC は、患者の生活とプロバイダーのビジネスを容易にし、ヘルスケアシステムのより効率的な運用を実現する大きな可能性が秘められています」と語っています。

詳細については、thinkwithwp.com/health をご覧ください。