State Auto が AWS の機械学習、コンピュータビジョン、サーバーレスアーキテクチャを利用してライフサイクル全体のプロセスを改善

2022 年

State Automobile Mutual Insurance Company (State Auto) は、顧客の要求事項をより深く理解および予測して、ある情報が必要であると顧客が自ら気付く前に、その情報を提供したいと考えていました。同社は、Amazon Web Services (AWS) 上に SA360 ソリューションを構築した際、カスタマーサービス担当者 (CSR) が品質と顧客満足度のスコア目標を達成するのを支援するテクノロジーの利用を開始しました。データを活用したインサイトを利用し、顧客と CSR がこれらのインサイトを得られるようにすることで、State Auto はより優れたサービス体験を構築できました。これにより、典型的な顧客からの問い合わせがセルフサービスチャネルにリダイレクトされるようになり、CSR はより複雑なニーズを抱える顧客に集中できるようになりました。このプロジェクトの成功を受けて、State Auto は、ケースの審査の迅速化を目的として、引受プロセスのオートメーションや不正請求の早期検出など、他の領域における目標をさらに推進するために、機械学習 (ML)、コンピュータビジョン、サーバーレスサービスなど、さらに多くの AWS サービスを利用するようになりました。

Multiethnic colleagues sitting at desk looking at laptop computer in office.
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AWS サービスはそのままでもよく機能するため、当社は創造性を発揮し、AWS サービスを基盤として自社のサービスを構築する柔軟性を得ることができるのです"

Uthra Ramanujam 氏
State Automobile Mutual Insurance Company、Vice President of Strategic Technology Research

AWS を利用してサービス最適化を目指す

1921 年に設立された State Auto は、米国 33 州の独立代理店および代理店を通じて、自動車保険、住宅保険、企業保険を含む 9 つの事業分野に保険を提供しています。2020 年初頭、State Auto は、顧客と CSR 向けのサービスエクスペリエンスを改善する新たな方法を模索し始めました。ウェブアプリケーションの再構築、および CSR 向けの新しいデータ駆動型インターフェイスの提供を目的として、企業が数分でコンタクトセンターをセットアップできる Amazon Connect などの AWS サービスを利用し、2020 年 9 月に SA360 プロジェクトを開始しました。「当社は、AWS テクノロジースタックを使用して、エージェント向けにユーザーインターフェイスを再設計し、よりシームレスで直感的なやりとりができるようになりました」と State Auto の IT Director of Platform Engineering である Mark Skaggs 氏は述べています。「また、お客様からのフィードバックをより短期間で実装することで、お客様とより良い関係を築くことができました」。
 
State Auto は、自動音声認識を利用して迅速かつ正確に音声をテキストに変換する Amazon Transcribe を利用することで、CSR に対する何百万件もの通話からインサイトを引き出すことができました。「文字起こしは、当社に電話をかけてくるお客様のニーズを予測するための第一歩であり、当社はそれを基盤としてサービスを構築しています」と State Auto の Vice President of Strategic Technology Research である Uthra Ramanujam 氏は述べています。「AWS サービスはすぐに利用できるため、当社は創造性を発揮し、AWS サービスを基盤として自社のサービスを構築する柔軟性を得ることができるのです」。 State Auto は、Amazon Transcribe を利用して収集したデータから 15 の ML モデルを構築しました。同社はこれらのモデルを利用して、CSR が顧客からの電話に適切に対応できるようサポートするとともに、多くの顧客が必要な情報をオンラインで見つけることができるようにして、電話でその情報を問い合わせる手間を省けるよう、ウェブアプリケーションを改善しています。これらのモデルのおかげで、週 5,000 件の請求の電話について、通話エクスペリエンス、発信者、および電話をかけてきた理由の属性を評価する作業を実行できるようになりました。以前の State Auto であれば、この作業には 8~10 名の従業員を必要としたことでしょう。さらに、このソリューションはローコードのビジュアルワークフローサービスである AWS Step Functions を利用して構築されているため、State Auto はコールリスニングをオンにし、既存のモデルを利用して 20 分間で部門全体についてのインサイトを得ることができます。「AWS Step Functions を利用することで、必要に応じて、さまざまな時点において、さまざまなインサイトを入手できるという究極の柔軟性が得られます」と Ramanujam 氏は述べています。
 
State Auto のカスタマーサービステクノロジーと AWS サービスを利用したオートメーションの実装により、早期に効率が向上し、経費が削減されました。通話の減少と効率の向上により、サービスの運営にかかる費用が推定 80 万 USD 削減し、同時にユーザーエクスペリエンスも改善しました。SA360 の取り組みで成功を収めた State Auto は、保険ライフサイクルのさまざまな段階で、さらに多くのソリューションの構築を AWS 上で進める自信が深まりました。

顧客中心のワークフロー最適化の実装

State Auto は、AWS が提供するコンピュータビジョン用のマネージドサービスを利用することで、以前は手動で実行していたプロセスの自動化を実現しました。物件の検査プロセスを簡素化するために、同社は Amazon Rekognition を利用しています。Amazon Rekognition は、ML を利用して画像と動画の分析を自動化し、事前トレーニング済みのカスタマイズ可能なコンピュータビジョン機能で情報とインサイトを抽出します。State Auto は、Amazon Rekognition を利用して、物件の検査における写真や動画に存在する業界固有ではないリスク要因をタグ付けできるため、リスクエンジニアはリスク評価において、業界固有の側面の特定に注力する時間をより長く割くことができます。ML モデルをトレーニングするために、同社はデータラベリングサービスである Amazon SageMaker Ground Truth を広範に利用しました。モデルの本番稼働を開始した後、人間による審査に必要なワークフローの構築を簡素化する ML サービスである Amazon Augmented AI (Amazon A2I) も利用し、アクティブユーザーの検証を行いました。

State Auto はまた、スキャンされた文書から印刷テキスト、手書き文字、データを自動的に抽出する Amazon Textract を活用し、さまざまなビジネス最適化のユースケースを使ったドキュメントのインデックスを作成しています。「当社における Amazon Textract の利用は、保険ライフサイクルのほぼすべての段階に影響をもたらしています」と Ramanujam 氏は述べています。

State Auto は、マネージドサービス以外にも、サーバーレスアーキテクチャを利用して自社の不正行為対策ソリューションを強化しています。このソリューションでは、同社のビジネスユーザーの専門知識とデータ駆動型のインサイトを組み合わせています。このソリューションでは AWS Lambda 上に構築されており、AWS Step Functions を利用します。AWS Lambda は、企業がサーバーのプロビジョニングや管理を行うことなく、アプリケーションまたはバックエンドサービスのコードを実行できるようにする、サーバーレスのイベント駆動型コンピューティングサービスです。ソリューション全体は、AWS Glue を利用してシームレスに統合しました。AWS Glue は、分析、ML、アプリケーション開発のためのデータの検出、準備、結合を容易にするサーバーレスデータ統合サービスです。不正検出サービスを手間なくデプロイした後は、潜在的な不正請求の合計数ベースで以前よりも 83% 多い評価、請求プロセスにおいて以前よりも 3 日早い疑わしい請求の特定、さらに、以前であればフラグが付けられなかったであろう請求の 20% の取得を実現しました。

AWS を利用した運用の標準化

State Auto は今後、社内で標準化された開発ガイドラインを策定し、AWS ツールを利用することで恩恵を最大限に享受できるようにして、さまざまなチームが一般的な問題を解決することを目指しています。同社はまた、ML でプロセスをモニタリングすることで、AWS 上に構築しているソリューションの多くを自動的に組み合わせることができるようにしたいと考えています。「当社が次に目指しているものは、十分にコントロールできる状態でこれらの機能を統合し、組み合わせる方法を見つけ出すことです」と Ramanujam 氏は述べています。「当社は創造への挑戦とは何かをわかっています。こうしたあらゆる挑戦のチェックとバランス化を自動化することで、より大きなことを実現できると考えています」。

AWS リソースを利用してソリューションを構築することで、State Auto は顧客のニーズにより直接的に対応できるようになり、運用効率が向上しました。そして、同社はそのメリットを実感し続けています。「AWS サービスを利用することで、ソリューション開発における全体的な俊敏性と柔軟性が向上し、より迅速かつ適切な機能の低コストでの提供がすべてにおいて促進しました」と Skaggs 氏は述べています。

State Automobile Mutual Insurance Company について

1921 年に設立された地域の損害保険会社である State Automobile Mutual Insurance Company は、自動車、家庭用、商用など 9 つの事業分野で保険を提供しています。米国の 33 の州でサービスを提供している同社は、46 億 USD 相当の資産を保有しており、20 億 USD の保険料を売り上げています。

AWS のメリット

  • 潜在的な不正行為がないかを確認するために審査される請求件数が 83% 増加
  • サービスの運営費用を推定 80 万 USD 削減
  • 以前よりも不正検出が 3 日間短縮
  • 業務効率の向上

利用している AWS サービス

Amazon Rekognition

Amazon Rekognition は、画像と動画から情報と洞察を抽出するために、事前にトレーニングされたカスタマイズ可能なコンピュータビジョン (CV) 機能を提供します。

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Amazon Textract

Amazon Textract は、スキャンした文書からテキスト、手書き文字、およびデータを自動的に抽出する機械学習 (ML) サービスです。単純な光学文字認識 (OCR) のレベルを超えて、フォームや表からデータを識別、理解、および抽出します。

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Amazon Transcribe

Amazon Transcribe は、音声をテキストに変換する機能を任意のアプリケーションに簡単に追加できるようにする自動音声認識サービスです。 Transcribe の機能を使用すると、音声入力の取り込み、読みやすくレビューしやすいトランスクリプトの生成、カスタマイズによる精度の向上、顧客のプライバシーを確保するためのコンテンツのフィルタリングが可能になります。

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AWS Step Functions

AWS Step Functions は、デベロッパーが分散アプリケーションの構築、IT およびビジネスプロセスの自動化、AWS サービスを利用したデータと機械学習のパイプラインの構築に使用するローコードのビジュアルワークフローサービスです。ワークフローが、障害、再試行、並列化、サービス統合、オブザーバビリティを管理するため、デベロッパーはより価値の高いビジネスロジックに集中することができます。

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