メルボルンゲノミクスヘルス連盟が AWS を使用してゲノム検査をサポート

ゲノム医学は、医療専門家が人の DNA 全体を詳しく調べることを可能にする、急速に進化している医学の分野です。DNA の情報は、より正確な診断とより的確な治療を通じて、患者がより早く健康を取り戻すのを支援するために使用することができます。メルボルンゲノミクスヘルス連盟は、オーストラリアのビクトリア州でゲノミクスを日常的な医療に活用するための取り組みを行っています。連盟は、ゲノム医療を必要とするすべての患者にゲノム医療を提供することに専門的に取り組んでいる 10 の主要な病院と研究組織のコラボレーションです。

ビクトリア州の医療システムは分散型です。つまり、ゲノム検査の実施を担う単一の組織はありません。代わりに、癌または遺伝子疾患に対してゲノムまたは次世代 DNA シーケンシングを行うことができる認定された臨床ラボがいくつかあります。データが分散し、システム構築における作業が不必要に重複することを回避するために、複数のラボをサポートすることは連盟の優先事項となっています。連盟は、この課題を解決するために、複数の独立した組織において、多数の研究所、臨床医、患者、研究者によるゲノムシーケンスデータの管理と使用を容易にする共有臨床システム Genomical を考案、構築しました。

Genomical を確立する上での重要な推進要因は、ゲノム検査を処理するために認定された検査ラボをサポートすることでした。「ゲノムワークフローは複雑で、多段階にわたる分析と、専門家で構成される学際的なチームが関与します」と、ゲノム情報管理ストリームをリードする Natalie Thorne 博士は述べます。「Genomical は、データストレージと管理だけでなく、検査プロセスのさまざまな段階をサポートする一連のソフトウェアツールを提供します。これは、ゲノミクスの領域において、複数の独立した組織でこれらすべての機能を実行する世界初のシステムであると確信しています」。

Genomical のソフトウェアツールは、高度に自動化されたデータワークフローを管理し、ラボ情報管理システムとの統合を可能にするカスタムビルドの Genomic Orchestration Service (GOS) によって調整されます。「ラボでは、利用可能なツールのうち、どのツールが自分たちの幅広いゲノム検査ワークフローに最も適しているかを選択することができます」とThorne 氏は述べています。イノベーションおよびテクノロジーチームのシニアプロジェクトマネージャーである Tim Bakker 氏は、次のように述べています。「メルボルンゲノミクスヘルス連盟内の検査ラボには、さまざまなレベルのゲノム経験があります。ゲノム検査を提供し始めたばかりのラボもあれば、この分野で良好に進捗しており、より専門的にサービスを差別化し始めているラボもあります。Genomical を使用すると、各ラボは、ゲノム検査と IT 統合の両方の成熟度に応じて、システム内でさまざまなツールを使用できます」。  

Genomical をモジュール式の柔軟なシステムとして構築するには、メルボルンゲノミクスはクラウドテクノロジーの使用が不可欠であることを認識し、クラウドテクノロジープロバイダーとして Amazon Web Services (AWS)を選びました。主要な Genomical コンポーネントは、AWS Lambda (サーバーレスコンピューティングのため)、AWS Batch (バッチ処理ジョブをスケジュールするため)、AWS Step Functions (GOS で調整されたワークフローを調整するため)、Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) for PostgreSQL (データベース機能のため)、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) (ゲノムデータを保存するため) といった AWS のサービスで開発しました。さらに、Genomical は AWS CloudFormation を利用して、クラウドリソースのプロビジョニングを自動化し、環境を迅速にデプロイします。

クラウドベースのインフラストラクチャにより、Genomical は、安全性が高く、スケーラブルなモジュール式のソリューションとなることができます。さらに、新しいツールと機能は、GOS を介して Genomical と短時間で統合し、検査ラボのワークフローに組み込むことができます。

共有システムとして、Genomical は現在、多数の検査ラボから提供された臨床ゲノムデータの一元的なストアを生成しています。これにより、データ共有の統合アプローチが可能になり、連盟の構成員は、データガバナンス契約、ポリシー、およびプロセスの単一のセットを使用します。このモデルは、患者の同意に基づいて、臨床と研究の両方で使用するためのデータアクセスをサポートできます。

GOS が基盤となるオーケストレーションを制御することで、Genomical のユーザーインターフェイスでは、連盟の構成員の間でゲノムデータを共有することが可能になります。現在では主要な構成要素が整っており、許可されたユーザーによって、管理と安全が行き届いた環境で、共有可能なゲノムデータを検出、要求、アクセスする機能を構築できます。このソリューションは、オーストラリアおよび世界中のゲノミクスに注力する他の組織やイニシアチブとの効率的なデータ共有メカニズムもサポートします。

より多くのラボがソリューションを利用し始めると、メルボルンゲノミクスは Genomical を簡単にスケールできるようになります。さらに、クラウドベースのアーキテクチャは、新しい検査ラボをオンボーディングし、数か月以内に臨床ゲノム検査ワークフローの一部として Genomical を適用することを可能にします。

ビクトリア州の 5 つのラボは、既に Genomical を使用して、医療のさまざまな領域でゲノム検査をサポートしています。例えば、Victorian Clinical Genetics Services (Murdoch Children’s Research Institute) は Genomical を使用して子どもの複雑な遺伝的疾患の検査をサポートしており、Royal Melbourne Hospital はそれを使用して成人の神経障害を調査しています。Thorne 氏は次のように述べています。「展開した初年度に、Genomical が、幅広い希少疾患を持つ患者の検査をサポートすることができ、5 つの検査施設の効率性を高めたのを目の当たりにしました」。

詳細については、thinkwithwp.com/health/genomics にアクセスしてください。