2017 年 12 月、LG Electronics (LG) は、人工知能 (AI) テクノロジーを搭載した今後のすべてのスマート製品およびサービスを差別化するための LG ThinQ (ThinQ) ブランドの立ち上げを発表しました。ThinQ のコンセプトは、LG 製品に Wi-Fi チップを埋め込むことで、これらの製品が相互に通信できるようにしながら、ユーザーの行動パターンと環境について学習できるようにすることです。LG はこれまでに、世界中で 7000 万台以上のスマートテレビと 500 万台の家電製品を販売してきました。
Wi-Fi 対応製品の販売増加に伴って、LG のスマートアプライアンスのアクティベーション率も増加し、その結果、オンプレミスサーバーの負荷も増大していきました。そのため、LG サーバーに接続されるスマートデバイス数の増加に対応できる新しいプラットフォームが必要になりました。LG は ThinQ アプライアンス用の IoT プラットフォームを構築したものの、サーバーを開発し運用するためのリソースを確保することに困難を抱えていました。
信頼性の高いデバイス接続を確保する方法を模索する中で、同社は ThinQ 以外の既存のサービスと互換性のある新しいテクノロジーを継続的にレビューしていました。LG は、自社の IoT プラットフォームを管理しやすく、安全で、費用対効果の高い新しいインフラストラクチャに移行することを検討していました。
2016 年、LG は 1,000 台以上のサーバーを含む家電向けの IT プラットフォームをデータセンターからアマゾン ウェブ サービス (AWS) に移行しました。同社は、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) および Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) を採用しました。
2017 年に LG は AWS IoT とそのサーバーレスアーキテクチャについて学びました。その結果、IoT プラットフォームの管理時間を短縮できることがわかり、LG は AWS IoT の使用を決定しました。もっとも、LG の要件を満たし、ThinQ プラットフォームをサポートできる IoT サービスを提供するクラウドプロバイダーは AWS しかありませんでした。
同社はその後、ThinQ デバイスと IoT プラットフォームとの間の継続的な接続を維持するために AWS IoT Core を使用することにしました。LG は、AWS Lambda (Lambda) を使用したサーバーレスコンピューティングによって、クラウド上で ThinQ デバイスを登録し、デバイスデータを保存し、デバイスステータス情報を制御することにも取り組み始めました。
LG では ThinQ デバイスと IoT プラットフォームのサーバーとの間の認証に X.509 証明書を使用しています。ThinQ プラットフォームは、Amazon ElastiCache および Amazon DynamoDB にもデータを保存してサービスが履歴データを利用できるようにしています。「以前のインフラストラクチャでは、デバイスから直接データを取得してステータス情報を取得していました。現在は、AWS IoT の Device Shadow サービス機能を活用して、サーバーから取得したステータス情報をシステムがキャッシュできるようにしています。この機能により、サービスの一貫性を向上させることができました」と LG クラウドセンターのサービス開発チーム責任者である Kunwoo Kim 氏は言います。
以下の図は、AWS 上に構築した LG Electronics のアーキテクチャを示したものです。
マネージドサービスと AWS IoT Core のおかげで、LG は適度な数の開発リソースで IoT プラットフォームを立ち上げ直すことができました。「IoT プラットフォームに AWS を使用することで、開発コストを 80% 節約できました。これにより、開発者が LG サービスシナリオのビジネスロジックの作成に集中できるようにもなりました」と Kim 氏は言います。
「当社のインフラストラクチャチームと開発チームは別個の部署だったため、インフラストラクチャを割り当てるために、誤解や無駄が生じていました。AWS を使用することで、開発者はインフラストラクチャを自分で構築し、開発作業がほぼ完了した時点でインフラストラクチャチームと相談することができるようになったため、効率が向上しました」と Kim 氏は言います。
LG はまた、AWS IoT とサーバーレスアーキテクチャを使用した、大気汚染監視サービス、カスタマーサービスチャットボット、エネルギーソリューションも手掛けています。2018 年 3 月以降、サーバーレスサービスを使用して開発されたカスタマーサポート向けチャットボットサービスが韓国と米国で運用されています。
同社は、自社のクラウドインフラストラクチャの問題を解決するために、AWS ソリューションアーキテクトと協力しています。「自分たちで問題を解決するよりも、AWS ソリューションアーキテクトのサポートを受ける方が良いということがわかりました。AWS は、開発者がビジネスロジックの作成やテスト環境の実行などのコアタスクに集中できるようにする優れたソリューションです。今後、他のプロジェクトでも AWS のサービスを引き続き使用する予定です」と Kim 氏は言います。
詳細については、https://thinkwithwp.com/iot-core をご覧ください。