InfoSpace 導入事例

2014 年

Blucora の子会社である InfoSpace は、世界中の顧客とパートナーにメタ検索および収益化ソリューションを提供する大手プロバイダーです。1996 年に設立された InfoSpace は、検索収益化ソリューションを 100 社以上のパートナーによるグローバルなネットワークに提供しています。同社は Google、Yahoo! などの人気検索エンジンのトップ検索結果をブレンドして、関連性の高い検索結果を顧客 (Publishers Clearing House、Info.com、Iminent など) と自社ブランドの検索サイト (Dogpile、MetaCrawler、WebCrawler など) に提供しています。InfoSpace はワシントン州ベルビューを拠点とし、従業員約 120 名のうち 52% がエンジニアです。

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AWS と連携することによって、内部の垣根を取り払い、パートナーと緊密な関係を構築することで、私たちのビジネスにとって価値のあることを実現できました。"

InfoSpace、IT オペレーションシニアディレクター
WaysonVannatta 氏

課題

AWS を使用する前、InfoSpace はワシントン州とバージニア州のコロケーション施設を使用してインフラストラクチャを管理していました。両施設の契約は 2013 年半ばに期限が切れる予定であり、電力、配信、保守の問題が発生していたため、IT 組織はこのデータセンターを使い続ける実行可能性の評価を行いました。また、サーバーとネット―ワーク機器を更新するタイミングでもあり、データセンターを使い続けることは 1 年間で 130 万 USD を超える設備投資を行うことを意味していました。

InfoSpace は 1 日あたり約 1 億 2,800 万件のクエリを処理し、毎日 75~80 GB のログデータを収集しています。さらに、同社の国際的なプレゼンスも拡大中でした。「当社はパートナーとトラフィックの大規模なグローバルネットワークを運営しており、インフラストラクチャをパートナーの近くに配置して、検索応答時間を向上したいと考えていました」とIT オペレーションシニアディレクターの Wayson Vannatta 氏は述べています。「選択肢を検討した結果、クラウドソリューションに移行することを決めました」

アマゾン ウェブ サービスが選ばれた理由

いくつかのクラウドサービスプロバイダーを検討した InfoSpace は、アマゾン ウェブ サービス (AWS) を選びました。プラットフォームの成熟度と、エンジニアがプロセスの自動化に使える API とツールが備わっていたことが、AWS を選択した理由です。さらに、InfoSpace のチーフアーキテクトである Paul Kearney 氏は「AWS は豊富な知識とベストプラクティスを有しており、それを利用して可用性の高いインフラストラクチャを実行したいと考えました」と説明しています。 概念実証の完了後、InfoSpace は 2013 年 1 月に移行プロセスを開始し、6 月までにすべてのトラフィックをクラウドに移行することを目標にしました。

AWS で Microsoft スタックを実行する

ビジネスを運営しながら短い期限内に移行を完了するために、IT 組織はデータセンターのトラフィックを AWS に移行するマスタープランを策定し、IT 組織のエンジニアとオペレーションスタッフを移行用の機能チームに再編成しました。あるチームは検索アプリケーションスタックをクラウドで使用できるようにし、別のチームはクラウド環境をサポートするツールの開発に取り組みました。また、InfoSpace はチームを再編成して、現在のインフラストラクチャを保守し、AWS への移行についてパートナーに最新情報を共有するチームを作りました。

検索アプリケーションは Microsoft.NET フレームワークを使用して作成され、Microsoft Windows Server 2008 R2 のみで実行されます。アプリケーションのバックエンドは、クエリのリクエストを受け入れる API セットで構成されています。検索リクエストをパートナーサイトから受信すると、アプリケーションは検索を実行し、設定情報を取得して、パートナーが求める検索結果の表示方法を特定します。設定情報を取得後、検索アプリケーションはコンテンツソース (Google や Yahoo など) を呼び出し、結果を取得します。その後、アルゴリズムを適用して、重複排除を行い、パートナーにとって便利な形で結果を並び替えます。検索リクエストが InfoSpace のサイト経由の場合、アプリケーションは XML 検索結果データを HTML に変換します。パートナーサイトは自社の顧客向けに HTML ページで XML 結果を表示する責任を負います。

IT チームは Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) をプロビジョニングして、アプリケーション用に AWS クラウドの非公開セクションを作成しました。「Google や Yahoo などのコンテンツパートナーは、リクエスト元に基づいて IP アドレスをホワイトリスト化 (登録) します」と Kearney 氏は述べています。「Amazon VPC テクノロジーを使うことによって、プロバイダーが承認した IP アドレスの管理しやすいリストを簡単に維持できるようになりました」 環境には Microsoft Amazon マシンイメージ (AMI) サーバーが含まれ、米国東部 (バージニア北部)、米国西部 (北カルフォルニア)、欧州 (アイルランド) リージョンの複数のアベイラビリティーゾーンにある Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスで実行されています。

InfoSpace はコンテンツ配信ネットワークに Amazon CloudFront、DNS サービスにAmazon Route 53 を使用し、アセットとログファイルの保存にAmazon Simple Storage Service (Amazon S3) を利用しています。Amazon S3 は Amazon EC2 からオンプレミスのデータウェアハウスにログファイルを転送し、レポートや分析を行うための中継転送ポイントでもあります。 

AWS への移行前、エンジニアリングチームは「fire and forget」というテストツールを構築しました。これはアプリケーションが InfoSpace のデータセンター環境でリクエストを受信するたびに AWS にリクエストを送信するものでした。データセンターのリクエストは処理され、ユーザーに返されました。リクエストの重複は AWS クラウドで処理されたため、InfoSpace は実際のトラフィックパターンに合った本番レベルの負荷をテストできました。このツールを使用して、エンジニアは特定のトラフィックレベルの容量要件を確認し、各リージョンで必要となるインスタンスのサイズと数を特定できました。InfoSpace は現在 Elastic Load Balancing を使用して、490 の Amazon EC2 インスタンスのトラフィックを分散しています。

AWS クラウドで Windows 環境を最適化する

2013 年 5 月までに、InfoSpace は数回のデプロイ期限を設けて、段階的な以降を開始しました。同社はビジネスを 2 つのグループに分類しました。InfoSpace ブランドサイト向けのホストトラフィックと、パートナー向けの配信トラフィックです。数回のパイロットテストを実施後、InfoSpace は大半のトラフィックを 2.5 週間で AWS に移行しました。

移行成功後、InfoSpace のチームはリリースプロセスの改善や DNS レコードの適切なアドレスへの移行など、環境の安定化に取り組み始めました。InfoSpace は Sumo Logic を使用して 1 日あたり 200 GB を超えるデータを管理し、Chef を使用してデプロイと設定プロセスを自動化しています。「コロケーションセンターでは、新しいマシンの構築、設定、デプロイに 2 週間かかっていました。環境は仮想化されていたものの、自動化できることは多くありませんでした」と Kearney 氏は述べています。「汎用型の AWS 事前設定済み Windows Server AMI を実行し、起動時には Chef を使用して、.NET、インターネットインフォメーションサービス (IIS)、アプリケーションを 20 分以内でインスタンスにインストールできるようになりました。既存のマシンに新しいバージョンのアプリケーションをデプロイする代わりに、新しいインスタンスを作成するだけで完了します」

利点

慎重に計画を策定し、AWS ソリューションアーキテクトと緊密に連携した InfoSpace は、Microsoft Windows スタックを含む、データセンターの完全移行を 6 か月以内に完了すると同時に、30% を超えるトラフィックの増加にも対応できました。InfoSpace は AWS を活用することで、国際的なクライアントをサポートするグローバルインフラストラクチャを構築できています。「AWS を使用することによって、問題解決へのアプローチがよりシンプルかつ迅速になりました」と Vannatta 氏は述べています。「海外に施設を開設する際には、コストと税金に関して検討すべきことが多々あります。AWS のおかげで、国際的なプレゼンスに向けた道のりを大幅に簡素化できました」

検索応答時間は国内外の顧客の両方で改善されました。Vannatta 氏は、国際トラフィックの応答時間が 20%、国内トラフィックの応答時間が 10% 向上したと推定しています。「さらに、AWS への移行により 2013 年の設備投資予算が 72% 減少したと見積もっています」と Vannatta 氏は続けます。「モニタリング、アラート発出、応答プロセスの自動化によって、24 時間 365 日スタッフを配置する必要がなくなりました。2014 年には運用コストの 32% 削減を見込んでいます。事業部から南アメリカとアジアのトラフィックが増加していると聞いたときも、それらのリージョンにすばやくアプリケーションスタックをデプロイすればよいとわかっていました」
IT 組織は AWS への移行前、クラウドサービスの経験がありませんでした。「AWS と連携することによって、内部の垣根を取り払い、パートナーと緊密な関係を構築することで、私たちのビジネスにとって価値のあることを実現できました。」と Vannatta 氏は述べています。「従業員はクラウドの経験を積み、今では私たちの組織はコストセンターではなく付加価値のある組織と捉えられています。より引き締まった技術組織となり、AWS によってさらに密接に連携した有能なチームになれたと思います」


InfoSpace 概要

Blucora の子会社である InfoSpace は、世界中の顧客とパートナーにメタ検索および収益化ソリューションを提供する大手プロバイダーです。

AWS の利点

  • 6 か月でデータセンターの完全移行を完了
  • トラフィックの 30% 増加に対応
  • 設備投資予算を 72% 削減

使用されている AWS のサービス

Amazon S3

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。 

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Amazon VPC

Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) では、AWS クラウドの論理的に分離されたセクションをプロビジョニングし、お客様が定義した仮想ネットワーク内の AWS リソースを起動することができます。

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Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。

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ウェブアプリケーションとモバイルアプリケーション

AWS はスケーラブルなウェブサーバーとアプリケーションサーバー、ストレージ、データベース、コンテンツ配信、キャッシュ、検索へのオンデマンドのアクセスを提供します。

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開始方法

あらゆる業界のさまざまな規模のお客様が、AWS を活用してビジネスを日々変革しています。AWS のエキスパートにお問い合わせのうえ、今すぐ AWS クラウドジャーニーを開始しましょう。