eHealth NSW がクラウドを利用して公衆衛生システムを変革
2022 年
New South Wales (NSW) Health のビジョンは、患者にとって重要な結果を実現し、パーソナライズされ、ウェルネスに投資し、デジタル化された持続可能な医療システムを作成することです。このビジョンに沿って、同組織は現在、市民のためにさらに強力で柔軟な患者中心の医療システムを構築するためのデジタルトランスフォーメーションの取り組みを進めています。
eHealth NSW は、医療を患者に提供する方法を革新および変革するためのテクノロジーソリューションを設計および実装することにより、NSW Health 全体の情報通信技術 (ICT) およびデジタル機能を計画、実装、およびサポートしています。臨床医と協力して業界をリードするヘルスケアソリューションを構築することに熱心に取り組んでいる eHealth NSW は、NSW Health のデジタルセンターオブエクセレンスです。
2021 年から 2022 年にかけて、eHealth NSW は、ミッションクリティカルなワークロードを含む 10 の臨床アプリケーションを、オンプレミスのインフラストラクチャから AWS クラウドに移行しました。AWS とそのマネージドサービスにより、eHealth NSW は手動での運用作業を減らし、新しい環境の作成にかかる時間を短縮し、アプリケーションのパフォーマンスを向上させました。パンデミックの間、eHealth NSW はビデオ会議ソリューションを迅速に拡張して、リモートで勤務する職員、臨床医、患者の診察をサポートすることもできました。
私たちは、AWS プロフェッショナルサービスチームと緊密に協力してインフラストラクチャをモダナイズしました。これにより、リソースを臨床アプリケーションの機能の改善に割り当て直し、州の医療システムにより大きな価値を提供できるようになりました。さらに、AWS のチームは、新しいインフラストラクチャを管理するために必要なリソースとトレーニングをチームに提供する上で大きな力となってくれました”
Farhoud Salimi 氏
eHealth NSW、サービスデリバリー担当エグゼクティブディレクター
eHealth NSW のインフラストラクチャをモダナイズして時間を節約し、パフォーマンスを向上させる
州の公衆衛生システムの ICT サービスプロバイダーとして、eHealth NSW は機密性の高い個人データを取り扱います。AWS クラウド上の eHealth NSW は、強化された可視性、および監査機能とコントロールを提供するクラウドベースのセキュリティサービスの恩恵を受けることができます。これにより、NSW Health は手動および事後対応の運用アクティビティにかかる時間を年間数百時間節約できると予測されています。eHealth NSW は、AWS Security Hub と Amazon GuardDuty を利用して、セキュリティチェックを自動化し、継続的なモニタリングを実装し、早期脅威検出に実施してセキュリティリスクを最小限に抑えています。
臨床医と研究者は、AWS クラウドに移行してから、NSW Health のさまざまな臨床アプリケーションの改善も目の当たりにしています。例えば、Enterprise Patient Records アプリケーションでは、パフォーマンスが 10 倍向上し、重大なインシデントが 70% 減り、現場の臨床医が臨床データに迅速にアクセスできるようになりました。さらに、eHealth NSW は、検査を実施するために 4 時間未満で新しい環境を立ち上げることができるようになったため、アプリケーションの機能強化の実装を最大 50% 高速に行うことができます。以前であれば、これには 6~8 週間を要していたことでしょう。NSW Health は、コストの回避、資本と支出の削減、生産性の向上により、既に 1,600 万 USD 相当の利益を実現しています。また、現場の臨床医は生産性を高めることもできました。これは最大で合計 144,000 時間に相当します。
増大するデータニーズをサポートするため、eHealth NSW は、Enterprise Image Repository (EIR) 用に Amazon FSx for NetApp ONTAP もデプロイしました。一元的な医用画像ストアである EIR は、現在 1.6 ペタバイトを超える診断画像とレポートを保持しており、そのデータは年間 25% の割合で増加しています。EIR は、高可用性と暗号化のために Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) も利用しており、ソフトウェアのパッチ適用やバックアップなどの時間のかかるデータベース管理タスクを自動化しています。
「私たちは、AWS プロフェッショナルサービスチームと緊密に協力してインフラストラクチャをモダナイズしました。これにより、リソースを臨床アプリケーションの機能の改善に割り当て直し、州の医療システムにより大きな価値を提供できるようになりました」と eHealth NSW のサービスデリバリー担当エグゼクティブディレクターである Farhoud Salimi 氏は述べています。「さらに、AWS のチームは、新しいインフラストラクチャを管理するために必要なリソースとトレーニングをチームに提供する上で大きな力となってくれました」。
パンデミック中の新しいコミュニケーションニーズへの適応
eHealth NSW のクラウドへの移行は、新型コロナウイルス (COVID-19) のパンデミック中にあっても非常にタイムリーに行われました。この時期は、リモート勤務と遠隔医療の急増によりビデオ会議の利用が 18 倍に増加していました。AWS クラウドを利用すること、eHealth NSW は、十分なネットワーク、サーバー、およびストレージキャパシティを確保して、大規模なパフォーマンスを維持することができました。
NSW Health Pathology は、eHealth NSW クラウドプラットフォーム経由で Amazon Connect を利用して、2 週間以内に新たな MVP COVID 検査コールセンターを構築しました。ピーク時には、コールセンターは 1 週間に 40,000 件のチケットを管理する規模にまで拡大しました。また、世間の不安をさらに和らげるため、NSW Health Pathology は、Amazon Pinpoint を利用して SMS ボットをセットアップしました。これにより、初期の時点においては、結果が陰性だった患者は、最長で 10 日間も待つのではなく、数時間以内に通知を受け取ることができるようになりました。そして、これはパンデミックの時期を通じて強化され、陽性の結果と、A 型、B 型、RSV 型インフルエンザの最近の結果が含まれるようになりました。
職員のスキルアップと公共医療の提供の促進
クラウドへの移行は運用上の変更を生じさせ、アプリケーションの構築、運用、および管理に対する新しいアプローチの必要性を高めました。eHealth NSW は、デジタルトランスフォーメーションを確実に成功させ、クラウドの価値を最大化するために、職員のスキルアップの必要性を認識していました。
eHealth NSW は、AWS トレーニングと認定チームと協力して、2020 年に Digital Academy (DA) 内にマルチクラウドストリームを設けました。
9 つの柱を持つ DA は、eHealth NSW の職員を集めて、新しいスキルを学び、学習内容を実践で生かし、コラボレーションして、アイデアを共有できるようにすることで、将来のデジタルヘルスワークフォースを強化するように設計されています。DA の柱には、アジャイル、分析、クラウド、サイバーセキュリティ、人間を中心に考えた設計、統合と相互運用性、安全性と品質、サービス管理、および「Start with the Customer in Mind」(お客様を念頭に置いて始める) が含まれます。各柱は、社内のスキル、プロセス、慣行を改善し、回復力のあるワークフォースを構築することを目指しています。
マルチテクノロジークラウドストリームは 2020 年に DA に追加された後、過去 2 年間で進化を遂げ、職員が必要なクラウドスキルを開発するための一連のカリキュラムが含まれるようになりました。これらのカリキュラムは、エンタープライズアーキテクト、クラウドエンジニア、ヒューマンファクターの専門家、プロジェクトマネージャー、データアナリスト、コーダー、エンジニア、技術者、臨床医、ビジネスサポート、および他の多くの分野のエキスパートを対象としています。
2022 年 10 月の時点で、DA は AWS で 1,500 名を超える技術職および非技術職の職員にトレーニングを提供しています。これには、さまざまな基礎コースや高度なコース、自分のペースで進められるデジタルトレーニングリソースのほか、バーチャルおよび対面で実施される Lunch and Learns、AWS Immersion Days、Game Days などの体験型の学習イベントが含まれていました。
eHealth NSW は、2023 年までに 2,000 名の職員の大半に対してトレーニングを実施し、AWS でアプリケーションを構築および管理するための適切なスキルと自信を職員が身につけられるようにすることを目指しています。DA により、人々が新しいスキルを習得する速度が向上し、多様な学習者のために新しいクラウドキャリアの機会が開かれました。
「この大規模な再教育のカリキュラムは、職員がテクノロジー業界で長期的に活躍できるようにするための新しいスキルを提供するだけでなく、女性がテクノロジーに対してより自信を持てるようにする力も与えてくれます」と eHealth NSW のトレーニング責任者である Heather Cardin 氏は述べています。「これは、共有学習とイネーブルメントのコミュニティを生み出し、職員の満足度を向上させました」。
今後、eHealth NSW は、予測的でパーソナライズされたヘルスケアサービスを NSW の市民に提供するために、クラウドが提供する俊敏性とスケーラビリティを活用して、分析、人工知能、機械学習の能力を高めていく予定です。
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eHealth NSW について
eHealth NSW は、NSW Health のデジタルセンターオブエクセレンスであり、オーストラリア最大の医療システムに世界クラスの ICT サービスを提供しています。
2014 年に設立された eHealth NSW の役割は、NSW Health 全体で ICT およびデジタル機能を計画、実装、およびサポートすることであり、患者を中心に考えたヘルスエクスペリエンスと質の高い健康面での成果を提供する、デジタルに対応した統合健康システムを実現します。
AWS の利点
- コストの回避、資本と支出の削減、生産性の向上により、既に 1,600 万 USD の利益を実現
- 現場の臨床医の生産性を向上 (最大 144,000 時間に相当)
- Enterprise Patient Records のパフォーマンスの 10 倍の改善を実現
- 平均 4 時間以内に新しいテスト環境を立ち上げることが可能に
- 年間 25% の割合で増加する Enterprise Image Repository をサポートするために、ストレージを簡単にスケールアップ可能に
- 40,000 件の問い合わせを管理するために、コールセンターシステム全体を 2 週間以内に構築
- 新型コロナウイルス (COVID-19) の陰性の検査結果が出るまでの待ち時間を最大 10 日から数時間に短縮
- AWS トレーニングを 1,500 名を超える職員に提供
使用されている AWS のサービス
Amazon RDS
Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) を使用すると、クラウド上のリレーショナルデータベースのセットアップ、オペレーション、スケールが簡単になります。
AWS プロフェッショナルサービス
AWS プロフェッショナルサービスの提案では、Amazon 内部のベストプラクティスに基づく独自の方法論で、期待と動的なチーム構造を進化させながら、プロジェクトをより迅速に、より高い信頼性で完了できます。
AWS Security Hub
AWS Security Hub は、ベストプラクティスのチェックを自動化し、アラートを集約して、自動修復をサポートするクラウドセキュリティ体制管理サービスです。
Amazon GuardDuty
Amazon GuardDuty は、AWS アカウントとワークロードを継続的にモニタリングして悪意のあるアクティビティがないかを確認し、可視化と修復のための詳細なセキュリティ調査結果を提供する脅威検出サービスです。
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