Dropbox の HelloSign が Amazon Textract を使用してデジタルフォームを自動的に作成する HelloWorks 機能を 1 週間で構築
2020 年
2019 年より Dropbox のグループ企業の HelloSign は、業務を効率化するデジタルワークフロープラットフォームを提供しており、お客様はプリンターや FAX を使わずに電子署名を収集できます。HelloSign の製品の 1 つである HelloWorks では、PDF をモバイル対応のウェブフォームに変換でき、複数のユーザーがすばやく簡単に入力できます。ただし 2019 年までは、HelloSign を利用する企業はまず PDF から手動でデジタルフォームを作成する必要があり、電子署名を収集するのに少なくとも 1 時間かかっていました。このような労力を要するプロセスのために、顧客離れが多くなってしまっていました。
HelloWorks のフォーム作成プロセスの簡素化と迅速化を図るため、HelloSign はアマゾン ウェブ サービス (AWS) を頼りにすることにしました。HelloSign は Amazon Textract を使用して HelloWorks の自動作成機能を短期間で開発しました。Amazon Textract は、スキャンしたドキュメントからテキストとデータを自動抽出する、フルマネージドの機械学習サービスです。その機能は単純な光学文字認識 (OCR) のレベルにとどまらず、フォームやテーブルのデータも識別、理解したうえで抽出することが可能です。ユーザーは PDF をスキャンして、カスタマイズ可能なモバイル対応のインテリジェントフォームに自動的に変換できるようになりました。より効率的な新しいワークフローによって、新しい顧客によるフォーム作成が 3 倍に増え、顧客満足度の向上にもつながりました。
「新しく製品にサインアップした会社のチーム数と作成された新しいフォームの比率が 3 倍になりました。これは主に Amazon Textract によるものです」
Benny Kao 氏
HelloSign、プロダクトマネージャー
Amazon Textract を使用して 1 週間でプロトタイプを構築
2010 年創立の HelloSign 社には、3 つの製品があります。電子署名をアプリケーションに統合する HelloSign、電子ファクスサービスの HelloFax、モバイル対応のフォーム作成用電子署名ソリューションの HelloWorks です。企業は HelloWorks を使用して PDF からデジタルフォームを作成し、それらのフォームを多数のエンドユーザーに送信して署名してもらいます。エンドユーザーは、モバイルデバイスでもそれらのフォームに簡単に入力できます。この機能によってフォーム完了率が向上し、このプロセスによってヒューマンエラーや冗長性が軽減されます。W-9、W-4、I-9 などの政府フォームは通常、ウェブアプリケーションで使用されます。
フォームの作成プロセスを開始したのに完了までいかない顧客がいる理由を HelloWorks チームが調査したところ、手動でデジタルフォームを設計し作成するには、多くのユーザーが考えているよりも多くの時間と労力を要することがわかりました。「PDF をアップロードし、PDF のすべてのフィールドを再作成してから、すべての出力データをマッピングするというフォームの作成プロセスは、お客様にとって非常に面倒なものでした」と、HelloWorks のプロダクトマネージャー、Benny Kao 氏は述べます。「お客様はフォームの再作成に 1 時間もかけていられないか、未完成のフォームがあることを忘れているかのどちらかです」 そこで、フォーム作成プロセスの簡素化を目指しました。
HelloSign プラットフォームはすでに AWS を活用していて、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、パフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスである Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) などのサービスを使用していました。「DevOps チームはすでに AWS に慣れ親しんでいました」と HelloWorks のシニアソフトウェアエンジニアである Skyler Parr 氏は述べます。「小規模のチームなので、他社に切り替えるとさらに負担が増えてしまいます」 HelloWorks チームは、ハッカソン中に収入確認フォームを処理するための概念実証を開発し、プロトタイプの実装はその直後に行われました「Amazon Textract との最初の統合は、2019 年 7 月の Hackweek プロジェクトでした」と、HelloSign のシニアソフトウェアエンジニア、Fernanda Mora 氏は述べます。「この最初の概念実証の実装に成功した後、すべての要件を確実に満たすようにプロトタイプを実装し、2020 年 3 月の後半にベータ版の作業を開始しました。ベータ版は 2020 年 6 月から段階的にユーザーベースにリリースされ、6 月の終わりまでにロールアウトを完了しました」
フォーム作成の自動化でアプリの新規顧客が 3 倍に
Amazon Textract により、HelloWorks は、手動操作やセットアップをほとんど必要とせずに、スキャンされたほぼすべてのフォームをシステムに迅速かつ自動的に変換できるようになりました。Amazon Textract は、W-2、1099-MISC、1040、患者登録フォームといった、HelloWorks が扱える必要のあるほとんどのフォームのドキュメントでトレーニングされているため、統合はスムーズでした。Amazon Textract によって、平均的な HelloWorks の顧客がフォームを作成するのに必要な時間が少なくとも 1 時間から平均 40 秒に短縮されました。最短で 8 秒、最長が 75 秒です。「お客様は PDF をアップロードし、スキャンをクリックし、あとは長くとも 40 秒ほど待つだけで、すべてのフィールドが自動的に PDF にマッピングされます」と Kao 氏は説明します。「あとは、コンポーネントが正しく作成されていることをダブルチェックするだけです」
Amazon Textract によって HelloWorks ユーザーのエンゲージメントと定着率が高まりました。2020 年 5 月に社内ベータ版をリリースして以来、何千枚もの書類がスキャンされています。HelloWorks で文書をスキャンしたお客様の 83% が、このツールは非常に役に立つと回答しました。また、HelloWorks は 2020 年 3月 から 7 月にかけて作られた新しいフォームで前月比 26% の成長率を示しています。「新しく製品にサインアップした会社のチーム数と作成された新しいフォームの比率が 3 倍になりました。これは主に Amazon Textract によるものです」と Kao 氏は言います。「フォームの作成に要する投資を削減するという当社の最大のハードルの 1 つに対処することができました。」 さらに、作成されるフォームの増加は、送信されるフォームや署名の数の増加に直結するのです。
特に、新型コロナウイルスのパンデミック中の HelloWorks ユーザーにとって、自動作成機能は非常に役立ちました。多くの中小企業が給与保護プログラムからの財政支援を申請したとき、フィンテック企業はプログラム申請書を大量に迅速に送信するために HelloWorks を使用しました。さらに、HelloWorks は、病院での患者の受け入れ促進に、また救急サービスの新型コロナウイルス検査における患者登録に使用されました。
よりスマートなフォームの自動化に向けて
Amazon Textract を使用し、AWS のサポートを活用した HelloSign は、顧客とエンドユーザーのビジネスを簡素化および迅速化するユーザーフレンドリーな機能をすばやく構築しました。「画像や PDF を分析できるツールはあまりありません」と Parr 氏は言います。「つまり、AWS のサービスを使用して分析することで、懸念事項が 1 つ減り、その分野の専門家を雇うことなく、製品の機能を拡張できます。これにより、小規模でアジャイルなチームを維持できます。AWS のチームと連携して質問への回答を得られることで、プロセスがスムーズに保たれました」
HelloSign について
AWS のメリット
- フォーム作成時間が少なくとも 1 時間から平均 40 秒に短縮
- フォーム作成の前月比 26% の成長率を実現
- 新規顧客数と新規フォーム作成率の比率が 3 倍に
使用されている AWS のサービス
Amazon Textract
Amazon Textract は、スキャンしたドキュメントから印刷されたテキスト、手書きの文字、その他のデータを自動抽出する、フルマネージド型の機械学習サービスです。その機能は単純な光学文字認識 (OCR) のレベルにとどまらず、フォームやテーブルのデータも識別、理解したうえで抽出することが可能です。
Amazon S3
Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。これはつまり、企業の規模にかかわらず、あらゆる業界のお客様が、データレイク、ウェブサイト、モバイルアプリケーション、バックアップおよび復元、アーカイブ、エンタープライズアプリケーション、IoT デバイスやビッグデータ分析などのさまざまなユースケースのデータを保存して保護することができるということです。
今すぐ始める
詳細については、Amazon Textract サービスページをご覧ください。