Delaware North の導入事例

Delaware North は、1915 年にピーナッツとポップコーンの売店として創業しました。今日、同社は毎年 5 億人のお客様にサービスを提供する食品およびホスピタリティの大手企業となっています。グローバルビジネスのオペレーションを支えるオンプレミスのデータセンターのコストが増大し、非効率化していったため、同社では AWS を使用し、エンタープライズのアプリケーションおよびオペレーションをクラウドに移行しました。この移行によってサーバーの設置面積を 90% 以上削減できた結果、Delaware North では、IT 関連の調達やメンテナンスにかかる費用をこの先 5 年間で少なくとも 350 万 USD 節約できると予測しています。また、Delaware North では、AWS を使用することで、セキュリティコンプライアンスの強化や災害対策の改善が実現し、顧客と社内チームに対して従来より迅速なサービスの提供が可能になりました。

スポーツスタジアムでのホットドッグを買う列に並んでいる時、フライトを待っていて雑誌を買う時、国立公園でお土産を買っている時、知らないうちにあなたもDelaware North に出会っています。極めて控えめな存在でありながら、同社は食品サービスおよびホスピタリティ業界におけるリーダーとして、毎年世界中の 200 か所以上で 5 億人以上の顧客にサービスを提供しています。たとえば、フロリダのケネディ宇宙センター、ロンドンのヒースロー空港、オーストラリアのキングスキャニオンリゾート、ウィスコンシン州にあるグリーンベイパッカーズのランボーフィールドなど、その場は多岐にわたります。

グローバルな展開により、Delaware North は 30 億 USD 規模のエンタープライズへと成長を遂げました。しかし、世界規模での運用により、コストの増大やリソースに対する負担といった IT 関連の問題が生じるようになりました。企業活動に必要な 225 台のサーバーを常に管理し、アップグレードし、交換するという課題に直面しました。

Delaware North 社の最高情報責任者である Kevin Quinlivan 氏はこう言います。「会社が成長するにつれて、お客様のご要望を満たすための新しいソリューションを素早くデプロイする必要も増大しました。これに加え、老朽化した設備を絶えずアップグレードする必要もあったため、さらに大きなリソースをつぎ込む必要が生じました。戦略を見直すべきだと思いました」

新しい本社ビルの建設に伴って戦略計画を再考し、データセンターのインフラストラクチャをアマゾン ウェブ サービス (AWS) に移行することが決定されました。Deleware North のデータセンターの移行は、わずかな IT 関連の作業と、AWS クラウドが適切なアプローチであると経営幹部に確信させることができるような、経営陣の求める測定可能なメリットというニーズから始まりました。

クラウドソリューションの評価基準

2013 年の初め、IT チームは約 50 個のウェブサイトを AWS に移行しましたが、そのほとんどは、Delaware North 社がビジネスを展開する場所に関する、静的なマーケティングコンテンツでした。このプロジェクトが成功したため、クラウドベースのコンピューティングに対する取り組みを次のレベルに進めることが検討されたのです。これは、同社の新しいグローバル本社ビルの建設と同時期に行われました。Quinlivan 氏は、「新しい本社の建設がきっかけで、全く新しいことにチャレンジするチャンスが生まれました。アイデアが湧き出るかのようでした」と言っています。

評価プロセスでは 3 つの基準が取り上げられました。まず、Delaware North の重要な機能をサポートしながら、エンタープライズワークロードのすべてを処理できる、広範なテクノロジーを持ったクラウドソリューションが必要でした。次に、オペレーションの観点から、コスト削減と効率性を高めるために、主要な IT プロセスを変更する柔軟性と機能性が必要でした。これには、ソフトウェアのパッチ適用といった冗長で時間のかかるタスクや、新しいサービスのデプロイに数か月かかるような以前の古いシステムによるテストおよび開発タスクの排除が含まれます。

最後に、財政上の要件もありました。「私たちは ROI 主導型の企業です。既存のデータセンター環境から移行するには、費用対効果の面で正当な理由が必要でした」と Quinlivan 氏は振り返ります。

総所有コストの削減、AWS による技術的優位性の向上

Delaware North では、複数のクラウドベンダーを検討してコストや技術を分析し、Gartner などのサードパーティーのアナリストによるレポートを隅々まで検討しました。

「CIO の立場から、私はそれぞれのクラウドベンダーの評判や価値提案を詳しく調べました。満足できる最終決定を下す必要がありました。AWS はすべての基準において魅力的でした。競合相手よりも明らかに優れていました」と Quinlivan 氏は言います。

同氏によれば、AWS で利用できるテクノロジースタックの膨大さは、Delaware North で求めらていた技術的要件および運用上の要件を十分に満たしています。また、Quinlivan 氏は、総所有コストのメリットとして、使用量に応じた課金といった AWS の料金体系をシニアリーダーに提示しました。

「オンプレミスのデータセンターの維持コストと AWS クラウドへの移行コストを比較し、ハードウェアコストやメンテナンスといった基本的なインフラストラクチャの項目を調査しました」と同氏は言います。「AWS に移行することで、サーバーのハードウェアが 90% 以上削減され、5 年間で少なくとも 350 万ドルを節約できると推定しています。ただし AWS を使用することで得られるコンピューティング性能の向上などの付加的な利点によって、さらにコストを削減できる可能性があります。これにより、従来のデータセンターのインフラストラクチャを使用した場合よりもさらに多くの大規模ワークロードを継続的に追加できるようになります。また、使用した分のみ支払う料金体系によって節約を実現できます」

データセンターサーバーを 91% 削減

Delaware North では、会社の業務をできるだけ妨げない、詳細な移行戦略を必要としていました。設計段階から AWS プロフェッショナルサービスのサポートを受け、プロジェクト実施段階では AWS プレミアコンサルティングパートナーである Cloudreach と密接に連携しました。「Cloudreach は、私たちがエンタープライズのインフラストラクチャ全体を移行する間も、年中無休のグローバルビジネスを継続して運営できるように尽力してくれました」と、IT 部門のサービス指向型アーキテクチャチームの責任者である Scott Mercer 氏は言います。

Delaware North では、Fiorano ミドルウェア、Crystal Reports、QLIK ビジネスインテリジェンスソリューションなどのエンタープライズソフトウェア、その Citrix 仮想デスクトップシステム、ワークステーションの管理に使用される Microsoft System Center Configuration Manager など、ほぼすべてのアプリケーションを AWS に移行しました。

最も劇的な物理的変化は、205 台のサーバーの削減です。そのハードウェアで動作しているすべてが AWS に移行されました。IT 部門は、通信やファイルと印刷のタスクを実行するために、およそ 20 台のサーバーを新しい本社ビルにオンプレミスで維持することを決定しました。「これらのタスクで遅延が発生しないように安全策を取りましたが、ある程度落ち着いたら、これらもクラウドに移行するかもしれません」と Mercer 氏は言います。

コンプライアンス、災害対策、ソリューション提供の向上

クラウドに移行して 6 か月になる Delaware North 社では、データセンターの統合に加え、コスト効率の高いセキュリティコンプライアンス、災害対策の強化、新しいサービスの迅速なデプロイといったメリットの数々を実感していました。

「当社の多くの小売り事業にとって、小売り環境における堅牢なセキュリティは不可欠です。この点で AWS がとても役立っています。セキュリティに関する AWS のベストプラクティスを活用することにより、以前は貴重な時間と費用を消費していた多くのコンプライアンスタスクを実行する必要がなくなりました」と、プロジェクトのシニアソフトウェアアーキテクトの Brian Mercer 氏は言います。

さらに、以前のデータセンターでデプロイしていたよりも低コストで災害対策機能を強化できました。「この結果、シームレスなフェイルオーバーといったビジネスの継続性における機能が大幅に改善しました」と同氏は言います。

ソリューションは Delaware North の運営のスピードと俊敏性の向上にも役立っています。たとえば、契約や買収によって新しいビジネスを導入し、IT の調達、プロビジョニングという従来のプロセスを排除することで、以前よりも迅速にオンライン化できます。新しいビジネス単位のプロビジョニングには以前は 2～3 週間かかりましたが、今では 1 日で完了します。Delaware North の IT チームは AWS を使用して業務を見直し、時代遅れで手間のかかるプロセスを排除したり、ドキュメントを整理したり、テストおよび開発タスクを実行しながらクラウド経由でサービスを迅速にデプロイする利点を活用しています。

「当社の DevOps チームは、わずか数分でリソースをスピンアップしてサービスを展開できるようになりました。以前は同様の作業に数週間かかっていました。AWS を導入したことで、ビジネスのニーズによりすばやく対応できるようになりました。さらに、時間とリソースを活用して、より多くの価値とサービスを社内のチームやお客様に提供できるようになりました」と Scott Mercer 氏は言います。