Bayer Crop Science で、AWS IoT を使用して、精密農業におけるイノベーションを推進
世界中の田畑で、Bayer Crop Science は、農家が世界のフードシステムを改善できるよう種子の植え付けと収穫を行っています。Bayer Crop Science (旧 Monsanto Company) は Bayer の一部門であり、世界最大のアグリビジネスの 1 社です。数十万件の農家で持続可能な農業を実現するための商品とサービスを提供しています。
過去数年にわたり、IoT デバイスを導入して農業に関するデータから新しいビジネスインサイトを得てきました。同社では、収穫機に後付けしたセンサーで、収穫高、殻の重量、水分などの特質を記録し、そのデータを手動でデータセンターに転送し、最終的にビジネスアナリストに配信していましたが、手動でのデータ分析プロセスは時間を要しました。「このプロセスのせいで、通常、種子の特質に関する情報を分析に渡すのに数日かかっていました。農業におけるイノベーションに取り組むなかで、機器の較正、ジャミング、偏差に関する問題を見極め、以降の実行に向けたルーティングプランの参考として必要なリアルタイムのデータの収集、分析機能が欠けていたのです。また、栽培者がすみやかに QA/QC 手順を完了できるよう、収集した特質にリアルタイムでアクセスできるようにすることも必要でした」と、Bayer Crop Science の IoT プロダクトマネージャー、Peri Subrahmanya 氏は振り返ります。
「種子ビジネスでは、植え付けと収穫時に田畑で何が起きているかを、育種研究およびサプライチェーン組織内で適切かつ迅速に把握することがすべてです。AWS IoT を使用することで、種子に関するデータを、数日ではなく、わずか数分で、アナリストに渡せるようになりました」
Bayer Crop Science、プロダクトマネージャー、Peri Subrahmanya 氏
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Bayer Crop Science について
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利点
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使用されている AWS のサービス
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Bayer Crop Science について
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Bayer Crop Science は、Bayer の一部門で、世界中の農家で持続可能な農業を実現するための幅広い商品とサービスを提供しています。同社は、種子、種子処理のほか、除草剤、殺虫剤など、農家が害虫や雑草を管理して作物の生産高を最大限に伸ばせるようにするための商品を提供しています。
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利点
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- 作物データを、数日ではなく、数分でアナリストに提供する
- 農家が田畑の状態を適切に把握できるようにする
- さまざまなユースケースに対応する強力なエッジ処理および分析フレームワークを提供する
- 製造やその他の IoT イニシアティブに対応するようスケーリングする
- 作物データを、数日ではなく、数分でアナリストに提供する
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使用されている AWS のサービス
AWS のテクノロジーを使用して新しい IoT パイプラインを構築
Bayer Crop Science のいくつかの部門では、さまざまな社内ユースケースにアマゾン ウェブ サービス (AWS) のクラウドテクノロジーを既に使用していました。そのため、同社の IoT チームは、接続されたデバイスとアプリケーションを管理するためのクラウドプラットフォームである AWS IoT に、自社のデータ収集および分析パイプラインを移行することにしました。「AWS IoT には、田畑の機械センサーからの迅速なデータ収集と分析に必要としていた機能がありました」と、Subrahmanya 氏は言います。同社は特に AWS IoT Core に強い関心を抱いていました。このサービスを活用すると、何兆もの IoT メッセージを確実に処理し、AWS エンドポイントまでルーティングできます。
Bayer Crop Science では、AWS IoT Core をベースにした新しい IoT パイプラインを構築し、温度や湿度、土壌の状態といった、採種栽培に関するデータの収集、処理、分析を管理しています。このソリューションでは、世界中に存在する同社の研究用田畑から、種子の輸送から植え付け、栽培に至るまでの何テラバイトものデータを収集します。データアナリストは、新しいデータ収集プラットフォームを利用して、モバイルデバイスのダッシュボードからリアルタイムのデータにアクセスできます。
同社はまた、植物の状態をモニタリングし栽培条件を最適化するために、AWS IoT Analytics を導入してドローン画像や IoT 温室内環境センサーのデータを取得、分析することも検討しています。
数日でなく数分で現地のデータを取得する
Bayer Crop Science は、AWS IoT ベースのデータパイプラインを利用することで、同社のグローバルな種子ビジネスを支えるリアルタイムのデータ収集/分析能力を備えています。このデータパイプラインは、植え付け時期または収穫期に 1 日平均 100 万件の特質データを収集可能です。データアナリストは自分のモバイルデバイスを使って、収穫地のマシンセンサーから送られてくるデータをすばやく表示し分析できます。「種子ビジネスでは、植え付けと収穫時に田畑で何が起きているかを、育種研究およびサプライチェーン組織内で適切かつ迅速に把握することがすべてです。
AWS IoT を使用することで、種子に関するデータを、数日ではなく、わずか数分で、アナリストに渡せるようになりました。前日に収穫した種子バッチの品質確認を翌日まで待つ必要はもうないのです」と、Subrahmanya 氏は語ります。 データ分析が迅速に行われることで、同社は現地での是正措置を確実に実施し、品質面での顧客 SLA を満たせるようになりました。種子をさらに改良していくための準備も可能になっています。
制御環境下での栽培条件最適化を支援する
Bayer Crop Science では、田畑のデータにすばやくアクセスできるようになったことで、種子や栽培条件に関するビジネス上の意思決定をより適切に下せるようになりました。「温度、土壌、湿度について測定したデータをリアルタイムで収集できるため、種子や作物の特質を理解することも容易になっています。
その結果、特定の栽培プロジェクトで行うべきことを迅速に決定できます。例えば、特定の種子バッチの成長不良が温度または湿度に原因があるとわかれば、栽培者向けにより最適化された微気候条件を作成するよう判断できます」と、Subrahmanya 氏は語ります。
新しい IoT イニシアティブをサポートするスケーリング
IoT イニシアティブの拡大に伴って増大するデータボリュームの収集と分析は AWS クラウドで行われるため、Bayer Crop Science では、以前よりも簡単に IoT ソリューションをスケールできるようになりました。「データ収集とパイプライン全体をスケールできるため、会社全体で IoT による分析プロジェクトを加速化できます」と、Subrahmanya 氏は言います。Bayer Crop Science では近い将来、AWS IoT Analytics と AWS IoT Greengrass を利用して、温室と製造設備での事前アラートを統合する計画を立てています。
同社の計画では、エッジで AWS IoT Greengrass を使用して製造機械に関するデータを収集し、その後、特定種のデータストリームのみを AWS IoT Analytics に転送し、モデルのトレーニングかモデルに対する分析のいずれかを実行します。「AWS IoT Analytics と AWS IoT Greengrass を使えば、自社の製造ビジネスでの異常検出や予知保全が可能となるでしょう。Bayer Crop Science は企業として、テクノロジーを活用して業界のリーダーになることを目指しています。精密農業のイノベーターを目指す歩みにおいて、AWS IoT が役立っています」と、Subrahmanya 氏は語ります。
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