このクイックスタートにより、SAP S/4HANA 環境がアマゾン ウェブ サービス (AWS) クラウドに自動的にデプロイされます。SAP S/4HANA では、SAP アプリケーションをデプロイおよび実行するための一連のテクノロジーが提供されます。
このクイックスタートによって、AWS アカウント内の Virtual Private Cloud (VPC) に SAP アプリケーション層、SAP HANA データベース層、そして任意で、リモートデスクトッププロトコル (RDP)、踏み台ホストをデプロイします。デプロイには、ABAP SAP Central Services (ASCS) サーバー、SAP システムユーティリティを提供するプライマリアプリケーションサーバー (PAS) インスタンス、任意の追加アプリケーションサーバー (AAS) インスタンス、および SAP アプリケーション層をスケールアウトする AWS コアインフラストラクチャサービスが含まれます。
このクイックスタートは、
AWS ソリューションアーキテクト、クラウドサポートエンジニア、
および SAP コンサルタントにより開発されたものです。
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構築するもの
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デプロイ方法
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コストとライセンス
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構築するもの
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このクイックスタートを使用して、AWS アカウントに以下のものをデプロイして設定します。
- 2 つのアベイラビリティーゾーンにまたがる可用性の高いアーキテクチャ。*
- AWS のベストプラクティスに基づいてパブリックおよびプライベートサブネットが設定された Virtual Private Cloud (VPC)。これが、デプロイにおけるネットワークインフラストラクチャとなります。*
- パブリックサブネット内のマネージドネットワークアドレス変換 (NAT) ゲートウェイ。プライベートサブネット内の SAP インスタンスへのアウトバウンドのインターネットアクセスを提供します。*
- パブリックサブネットにデプロイされた任意のリソース:
- Auto Scaling グループに含まれる任意の Linux 踏み台ホスト。プライベートサブネット内の Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスへのインバウンドの Secure Shell (SSH) アクセスを可能にします。*
- プライベートサブネットで SAP システムを管理するための SAP GUI およびサードパーティーのフロントエンドアプリケーションをホストする、任意のリモートデスクトッププロトコル (RDP) Windows サーバーです。
- プライベートサブネットにデプロイされたリソース:
- HANA データベースと S/4HANA ASCS、PAS、および任意の AAS をホストする複数の Amazon EC2 インスタンスです。標準および分散インストールのオプションについては、デプロイガイドをご覧ください。
- すべての S/4HANA インスタンス間で SAP ファイルを共有するために、ネットワークファイルシステム (NFS) または Amazon Elastic File System (Amazon EFS) 上に構築されたディレクトリ /sapmnt です。
- 複数ノードの HANA データベースデプロイの場合、すべての HANA データベースサーバーノード間でファイルを共有するために、ディレクトリ /usr/sap に NFS がマウントされます。
- SAP S/4HANA および SAP HANA の自動化されたインストール (オプション)。
- デプロイプロセスによって必要な AWS サービスへアクセスするための Identity and Access Management (IAM) ロールです。
- インバウンドアクセス (踏み台ホストからの任意のアクセス、データベースインスタンス間のアクセス、アプリケーションからデータベースへのアクセス) が制限された 3 つのセキュリティグループです。
- AWS Command Line Interface (AWS CLI) および Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バケット内のインストールソフトウェアにアクセスするためのインスタンスロールです。
- HANA データベースと S/4HANA サーバー名をホストする、専有 Amazon Route 53 プライベートホストゾーンです。
このクイックスタートは、SAP S/4HANA インスタンスの SUSE Linux Enterprise Server (SLES) オペレーティングシステムをサポートしています。SAP HANA がサポートされている Linux オペレーティングシステムは、SLES、SLES for SAP、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) です。
* クイックスタートを既存の VPC にデプロイするテンプレートは、アスタリスクが付けられたタスクをスキップし、既存の VPC 設定に誘導します。
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デプロイ方法
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デプロイガイドの手順に従って、S/4HANA 環境を AWS に構築します。デプロイプロセスには、以下のステップが含まれます。
- AWS アカウントをお持ちでない場合は、https://thinkwithwp.com でサインアップしてください。
- SAP S/4HANA ソフトウェアをダウンロードして解凍し、ステージング環境で実行します。
- クイックスタートを起動します。各デプロイの完了までには 1.5~2.5 時間かかります。次の 2 つのオプションから選択できます。
- SAP レベルまたはオペレーティングシステムレベルにアクセスして、S/4HANA デプロイを確認します。
デプロイをカスタマイズするには、AWS インフラストラクチャを設定する、AWS CloudTrail と AWS Config を使用したロギングを有効にする、SAP S/4HANA および SAP HANA の設定 (インスタンスタイプ、ストレージオプション、ノード数、AAS インスタンスなど) を構成するといった方法があります。
Amazon は、本ソリューションで AWS と協力した AWS パートナーとユーザーデプロイ情報を共有する場合があります。
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コストとライセンス
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このクイックスタートリファレンスデプロイの実行中に使用した AWS のサービスのコストは、お客様が負担します。クイックスタートを使用しても追加コストは発生しません。
このクイックスタートの AWS CloudFormation テンプレートには、カスタマイズ可能な設定パラメータが含まれています。ノード数、ストレージ、インスタンスタイプなど、一部の設定は、デプロイにかかるコストに影響します。費用の見積もりについては、使用する AWS の各サービスの料金ページをご覧ください。料金は変更する場合があります。
ヒント: クイックスタートをデプロイした後、 AWS のコストと使用状況レポートを設定して、クイックスタートに関連する料金を追跡することをお勧めします。このレポートは、お客様のアカウントの S3 バケットに対する請求メトリクスを提供します。各月の使用状況に基づくコストの見積もりを提供し、月末にデータを確定します。レポートの詳細については、 AWS ドキュメントを参照してください。
このデプロイでは、SAP ソフトウェアについてライセンス持ち込み (BYOL) モデルが使用されます。SAP のライセンスを既に所有しており、SAP ソフトウェアダウンロードセンター (SWDC)からソフトウェアをダウンロードする許可を与えられている必要があります。
SAP S/4HANA デプロイの場合、このクイックスタートは、選択したバージョンの SLES オペレーティングシステム (SLES 12、SLES 12 SP1、SLES 12 SP2、または SLES 12 SP3) の Amazon マシンイメージ (AMI) を起動します。AMI には、SLES オペレーティングシステムのライセンスが含まれています。
このクイックスタートによる SAP HANA のデプロイでは、ユーザーが選択したオペレーティングシステム (SLES、SLES for SAP、RHEL) に合わせて AMI が起動されます。オペレーティングシステムのライセンス料は Amazon EC2 の時間料金に含まれます。この他に、SLES for SAP AMI のソフトウェアコストがかかります。