Amazon Web Services ブログ
SAPワークロードにおけるコストの削減、信頼性と可用性の向上、性能の向上
AWS上でSAPを稼働しているアクティブなお客様は5,000を超えています。私たちは常に、お客様のコストを削減し、信頼性と可用性を向上し、性能を向上する方法を検討しています。このブログでは、SAPのお客様に大きな影響を与える最近の素晴らしい発表をいくつかご紹介します。
Amazon Elastic File System (EFS)のSLAを更新
Amazon EFSは、高い拡張性、高い可用性、高い耐久性を実現するように設計されており、SAPグローバルファイルシステムをホストするのに最適です。Amazon EFSファイルシステムは、AWSリージョン内の複数のAZにまたがってデータとメタデータを保存します。
最近、Amazon EFSのSLAを99.99%に増やしました。この増加は、ビジネスクリティカルなSAPワークロードにおいて、非常に高い可用性を要求されるお客様をサポートできる一つの要素になりました。
Amazon FSx for Windows File Serverでストレージの拡張とファイルシステム性能のスケーリングが可能に
Windows上でSAPを稼働しているのであれば、Amazon FSx for Windows Serverが、SAPグローバルファイルシステムをホストするのに最適です。Amazon FSxは、業界標準のServer Message Block (SMB)プロトコルを介してアクセスできる、フルマネージド型で、高い信頼性を持つ、拡張性のあるファイルストレージを提供します。
Amazon FSx for Windows File Serverでは、ボタンをクリックするだけでストレージ容量の増加とスループット容量の変更ができるようになりました。これにより、ファイルストレージを柔軟に拡張できます。また、時間の経過とともに変化するストレージのニーズに対応するために、利用可能な性能のスケールアップとダウンができます。
Amazon EC2 High MemoryインスタンスのEBSとネットワーク性能を強化、1年間の予約購入オプションを追加
EC2 High Memoryインスタンスは、6, 9, 12, 18, 24TBのメモリーサイズを提供しています。これらのインスタンスは、クラウドで最大のSAP HANAデータベースを稼働させるために設計されています。EC2 High Memoryインスタンスは、OLTPでは最大24TBまで、OLAPでは最大18TBまでのSAP HANAスケールアップ認定を取得しています。 さらに、EC2 High Memoryインスタンスは、6TBと12TBのインスタンスサイズで最大4ノード (48TB)のS/4HANAスケールアウトのSAP認定を、6TBのインスタンスサイズで最大16ノード (96TB)のOLAPスケールアウトのSAP認定を取得しています。
EC2 High Memoryインスタンスでは、1年間の予約購入オプションが利用できるようになりました。これまでの3年間の購入オプションに追加されています。これにより、お客様の柔軟性が向上します。料金の詳細は、このページをご覧ください。
また、EC2 High Memoryインスタンスでは、お客様に追加コストなしで、より高いストレージとネットワーク帯域幅を提供する更新をしています。
この更新により、それぞれのインスタンスで、38Gbpsの専用ストレージ帯域幅と100Gbpsのネットワーク帯域幅を利用できます。すべてのサイズで最大2倍のストレージ帯域幅に相当します。6, 9, 12TBインスタンスにおいては、最大4倍のネットワーク帯域幅になっています。
より高いストレージとネットワーク帯域幅を利用して、SAP HANAのロード時間やバックアップ取得時間を含むシステムの性能を向上させることができます。
このストレージの改善を活用するために、EC2 High Memoryインスタンスでのgp2とio1の両方のボリュームにおける推奨のストレージ構成を更新しています。
AWS Backint Agent
お客様が無償で利用できるAWS Backint Agent for SAP HANAを最近ローンチしました。お支払いいただくのは、使用する基盤となるAWSサービス分のみです。サードパーティ製のバックアップツールを必要とせずに、クラウドにSAP HANAデータベースをバックアップできます。
AWS Backint Agentのプレビュー提供を通じて、APNパートナーのMsg Services AGから次のフィードバックを頂戴しています。
“AWS Backint Agentにより、バックアップ速度を10倍に増加できるようになった”
AWS Backint Agent for SAP HANAは、Amazon EC2インスタンスで稼働するSAP HANAワークロード向けのSAP認定済みのバックアップ/リストアソリューションです。
AWS Backint Agentは、SAP管理ツール (SAP HANA Studio、SAP HANA Cockpit、SQLコマンド)を使用して、SAP HANAデータベースをAmazon S3にバックアップ、そこからリストアできます。詳細は、AWS Backint Agent for SAP HANAのドキュメントをご覧ください。
Amazon EC2の値下げ – Amazon EC2インスタンスのSavings Plansとスタンダードリザーブドインスタンス
お客様は、Savings Plansやリザーブドインスタンスを利用することで、SAPシステムをホストするAWSクラウドのコストを削減できます。
私たちは、M5, C5, R5のEC2インスタンスファミリー全体でSavings Plansとスタンダードリザーブドインスタンスの料金を値下げしました。最大で18%の節約になっています。
第2世代AMD EPYCプロセッサ搭載のAmazon EC2 C5aインスタンスとSAP認定
私たちは、新しいAMD EPYCベースのAmazon EC2 C5aインスタンスをローンチしました。これらのインスタンスは、Amazon EC2のポートフォリオの中でも、x86 vCPUあたりのコストが最も低くなっています。また、SAPSあたりの料金の観点でも10%の削減が見込めます。
すべてのC5aインスタンスが、2層および3層構成でSAP環境を実行できるようにサポートされています。詳細はSAPノート1656099で確認でき、SAPベンチマークの結果はここから確認できます。
C5aインスタンスは、最大96vCPUと最大192GiBメモリーを備え、8つの仮想化サイズを利用可能です。仕様は以下のとおりです。
インスタンス名 | vCPUs | RAM | EBS最適化の専用帯域幅 | ネットワーク帯域幅 | SAPS |
c5a.large |
2 | 4 GiB | 最大 3.170 Gbps | 最大 10 Gbps | 2,746 |
c5a.xlarge |
4 | 8 GiB | 最大 3.170 Gbps | 最大 10 Gbps | 5,493 |
c5a.2xlarge |
8 | 16 GiB | 最大 3.170 Gbps | 最大 10 Gbps | 10,986 |
c5a.4xlarge |
16 | 32 GiB | 最大 3.170 Gbps | 最大 10 Gbps | 21,973 |
c5a.8xlarge |
32 | 64 GiB | 3.170 Gbps | 10 Gbps | 43,943 |
c5a.12xlarge |
48 | 96 GiB | 4.750 Gbps | 12 Gbps | 65,915 |
c5a.16xlarge |
64 | 128 GiB | 6.3 Gbps | 20 Gbps | 87,887 |
c5a.24xlarge |
96 | 192 GiB | 9.5 Gbps | 20 Gbps | 131,830 |
結論
これで、SAPのお客様に意味のある価値をもたらすことができるAWSの最新機能のまとめを終わります。このブログにより、コストを削減し、性能を向上し、複雑な既存のプロセスを動的に拡張できるAWSサービスにオフロードする方法についてのアイデアが得られたのであれば幸いです。 ご意見やご質問はお気軽に私たちまでお問い合わせください。
翻訳はPartner SA 河原が担当しました。原文はこちらです。