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明日のヘルスケアを今日提供するための取り組みを支える AWS
同僚の Jessica Beegle と Angel Pizarro が記述した、ヘルスケアへの心躍る新しいアプローチを紹介するゲストポストを以下に掲載します。
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Jeff
個別化医療とは、疾病の防止および治療において、個人ごとに異なる遺伝子、ライフスタイル、および環境を考慮するという、最近注目を集めている新たなアプローチです。
AWS は、ホワイトハウスの個別化医療イニシアティブを支援しており、私たちは、革新を加速し、研究を臨床に移すのにかかる時間を短縮することに継続して努めています。この一環として、私たちは、地球全体で研究者と臨床医をつなぐことができる高度にセキュアなプラットフォームを提供し、1,000 Genomes、The Cancer Genome Atlas (“TCGA”)、International Cancer Genome Consortium (“ICGC”) などの価値の高いヘルスケアデータセットを認定された研究者が無料で利用できるようにし、Qualcomm Tricorder XPRIZE や Digital Mammography DREAM Challenge などの地球規模の革新的な取り組みをサポートしています。
AWS は過去数年にわたり、多くの主要なグローバル企業、革新的なスタートアップ、上級規制機関によって活用されています。以下に、明日のヘルスケアを今日提供することを目標にして、個別化医療を研究室から臨床治療にもたらしつつある、当社のパートナーエコシステムのハイライトをいくつか紹介します。
NCI-MATCH Clinical Trial および Thermo Fisher Scientific
National Cancer Institute Molecular Analysis for Therapy Choice (NCI-MATCH) プログラムは、個別化治療時代のがん治療という新しいパラダイムを定義します。NCI-MATCH プログラムは、米国全国規模の初めての臨床試験で、目標になっている次世代シーケンシング (NGS) テクノロジーは、この研究の一部である最大 20 の治療手段の 1 つを患者に施すために、腫瘍試料を複数の遺伝子変異に対して同時にスクリーニングするために使用されています。
NCI-MATCH のような複数手段臨床試験手法を使用することで、研究者はより広範囲に網を掛けることができます。このため、比較的稀な腫瘍変異を考慮することが可能になり、将来有望な新しい治療の開発が促進されます。このプログラムのリーダーは AWS パートナーの Thermo Fisher Scientific の Ion Torrent NGS システムを選択しました。また、ホルマリン固定のパラフィン包埋した試料から抽出された、量に限りのある試験材料から堅牢なデータを提供できるようにするために、Oncomine 試薬を補完的に選択しました。
Mark Stevenson (執行副社長兼社長、Life Sciences Solutions、Thermo Fisher) は次のように語っています。
このようなスケールの調査は、従来型の 1 試料、1 バイオマーカーテストのアプローチを使用しては実現できません。これは、オバマ大統領の個別化医療イニシアティブの精神の下で実行されるこの種の初めての国家的な腫瘍学臨床試験で、将来のがん治療を大きく変える可能性を秘めています。
NCI によって主導されているこの臨床試験は、複数の医薬企業が参加している、この種では初めてのコラボレーションです。3,000 を超える試料が、米国中に分散されている 4 つのサイトで、NGS システムの標準化されたシーケンシングプロトコルを使用してスクリーニングされ、最終的に最大 1,000 人の患者が臨床試験に参加します。
このプログラムには、次のシーケンシングサイトが参加しています。
- NCI Molecular Characterization Laboratory (メリーランド州フレデリック)
- The University of Texas MD Anderson Cancer Center (テキサス州ヒューストン)
- Massachusetts General Hospital
- Yale University (コネチカット州ニューヘーブン)
調査リーダーはシーケンシング結果を使用して、プログラムの参加者を割り当て、場合によっては、参加者のがんの種類ではなく、腫瘍に付随する遺伝子的な変異に基づいていくつかの臨床試験手段の 1 つを割り当てます。
個別化医療により処方箋になるゲノムデータ – Syapse
ゲノム分子データを使用することは、病気の亜形の診断や適切な治療法のパス決定において一般的に行われるようになってきていますが、臨床医は、多くの場合、臨床上の意思決定のためにこれらのデータを使用する準備ができていません。従来型の電子カルテ (EHR) や他の IT システムは、ゲノム分子データのスケールと複雑性を処理する能力が不足しており、医師はこれらのデータを役立てることができません。
多くのヘルスシステムや臨床医が直面している問題を解決するために、Syapse は、患者の臨床、治療、結果のデータを、ゲノム分子データと統合するソフトウェアプラットフォームを作成しました。医師は Syapse Precision Medicine Platform を使用することによって、治療現場でゲノム分子データから処方箋を作成できます。Syapse は、Intermountain Healthcare、Providence Health and Services、Sarah Cannon、UCSF、Stanford University、Sanford Health など多くの主要なヘルスケア組織によって採用されています。
Intermountain Healthcare によって実施された最近の調査では、 Syapse ソフトウェアによって支援されている個別化治療プログラムが、治療に役立っているという証拠が導かれています。この調査報告からの抜粋を、次に記載します。
進行性がんを患っている患者については、個別化がん治療を受けている患者は、従来型の化学療法により治療されている対照患者に比べて、生存率が劇的に改善しています。余命が延びても、治療費は増加しません。この調査の結果については、今後、任意抽出された対照臨床試験を設定して調査することが必要なことは明らかですが、このゲノムに基づくアプローチは、進行性がんまたは転移性がんを患っている患者にとって必須であり、おそらくより優れた選択肢であることが判明しています。
次の動画では、Intermountain と Syapse がどのように協力しあっているかが、詳しく説明されています。
iHART – 自閉症の原因の分析
AWS と Illumina は、Hartwell Autism Research and Technology Initiative (iHART) の研究者と協力して、Illumina のクラウドベースのプラットフォームである BaseSpace 上に、自閉症スペクトラム障害についての生物情報データでは最大のオープンアクセスリポジトリを構築しています。共同研究には、スタンフォード大学、カリフォルニア大学ロサンジェルス分校、および ニューヨークゲノムセンター の研究者が参加しており、これらの研究者には、米国国立精神保健研究所に所蔵されている、自閉症を患っている個人とその家族のメンバーの両方の 5,000 ゲノムにアクセスすることが許可されています。研究者は、BaseSpace と Amazon Redshift にアクセスして、この貴重なデータを迅速に分析し、試料間のゲノム変異を特定できます。
Dennis Wall 博士は、 スタンフォード大学医学部の小児科の准教授で、iHART の研究責任者です。彼は、次のように語っています。
この大規模なコラボレーションとオープンイニシアティブは、近い将来において臨床に役立つ大きな発見につながる場になると確信しています。自閉症の研究は複雑であるため、すべての認定された研究者がアクセス可能なプレイグラウンドとして機能する、このようなビッグデータの科学的イニシアティブが必要になります。この努力が最終的には、自閉症の形態の定義、マーカー開発における十分な明確性、またそれ以上のことにつながることに期待しています。
PrecisionFDA – コラボレーションがもたらす高度なイノベーション
オバマ大統領は、彼の個別化医療イニシアティブを 1 年前に発表したときに、患者の診断、治療、さらには療養さえも、患者の遺伝子に基づいて個人化するという構想を描いていました。 米食品医薬品局 (FDA) の precisionFDA は、このビジョンの達成に近づくための第一歩です。PrecisionFDA は、クラウドベースのオンラインポータルを提供します。このポータルは、ゲノムコミュニティ全体の科学者、大学の研究者、政府機関などの職員などが、実験、データやツールの共有、さまざまなプロジェクトでのコラボレーション、分析ソフトウェアを評価するための新しい基準の定義などを行うためのプレイグラウンドとなります。
PrecisionFDA は、FDA の Office of Health Informatics (OHI) により開設され、FDA の Chief Health Informatics Officer である Taha Kass-Hout、MD、MS と OHI の Deputy Director である Elaine Johanson により管理されています。また DNAnexus との契約の下で開発が進められています。precisionFDA の目標は、ゲノム関連のテストとソフトウェアの正確性を評価するために必要なレギュラトリーサイエンスを推進することです。オープン性と透過性の両方を備えた安全なクラウドベースのプラットフォームを作成することで、一般的なゲノムコミュニティのメンバーが、次世代シーケンシング (NGS) 方法論をテスト、開発、および探求して、必要な基準を開発するのに要求されるイノベーションを促進できます。さらに、新しい基準データセットが作成されることにより、業界の一般的な基準リソースを中心にしてゲノムコミュニティが結束し、結果として消費者の安全性が向上します。
precisionFDA が 2015 年 12 月 15 日にデビューして以来、世界中の 430 を超える組織を代表する 900 人を超えるメンバーが precisionFDA に参加しています。すばらしいことに、130 人を超えるメンバーが、ソフトウェアや基準ゲノム資料を precisionFDA コミュニティの残りのメンバーと共有しています。米国のメンバーは、コミュニティの約 3 分の 2 を占めていますが、その約半数はシリコンバレーの出身者です。また、precisionFDA のソースコード は、2016 年 1 月に GitHub で公開されました。
Richard Daly (DNAnexus の CEO) は、次のように語っています。
DNAnexus は、precisionFDA を提供し、オープンソースのゲノム分析パイプライン、基準データ、および分析処理リソースを中心としてコミュニティを形成するプロジェクトのお手伝いができてとてもうれしく思っています。FDA は、オバマ大統領の個別化医療イニシアティブを実現するためのリーダーの役割を演じ、DNAnexus プラットフォームは、これまでのないレベルでゲノムデータの管理と共有を可能にしています。
次の動画では、DNAnexus についての詳細な情報と、precisionFDA での DNAnexus の役割が説明されています。
NCI Cancer Genomics Cloud Pilot と Seven Bridges Genomics
NCI Cancer Genomics Cloud Pilot は、世界最大のがんゲノムデータセットへのアクセスを広く行えるようにして、生物医学的発見を増やすことを目指しています。
Seven Bridges Genomics は、米国立がんセンター (NCI) の Cancer Genomics Cloud Pilot 入札の勝利者として選択されました。Cancer Genomics Cloud Pilot は、2.5 PB を超える Cancer Genome Atlas などのデータセットのクラウドベースのインフラストラクチャを開発するイニシアティブで、いくつかの世界で最も価値あるがんゲノムデータセットへのアクセスを広く行えるようにすることによって発見の速度を高めることを目標にしています。ゲノムデータの量は、この数年で劇的に増加していますが、研究者には、現在、このスケールのデータに対してアクセス、普及、共有、およびマイニングを行う適切なリソースと方法がありません。NCI Cancer Genomics Cloud は、がんゲノムのビッグデータをより効果的に統合することを目標にして、前記の課題を解決し、同時局在するデータや計算資源をサポートするために現在作成中です。
Deniz Kural (Seven Bridges Genomics の創業者兼 CEO) は、次のように語っています。
米国では 1,400 万を超える人ががんと共生しており、課題のスケールに匹敵するソリューションを構築することはきわめて重要なことです。NCI Cancer Genomics Cloud により、がん研究者はゲノムデータを活用して、個別化医療を現実のものにするために研究を進めることができます。当社のプラットフォームは、ゲノム研究が広く行われるようにし、だれもがこれらの大規模データセットにインターネット経由でアクセスして分析することを可能にします。
詳細
当社のパートナーが AWS クラウドを使用して現在の最も困難で最も重要なヘルスケアの課題のいくつかを解決している方法についてのこのレビューが、皆さまのお役に立てばうれしく思います。詳細については、当社の「Genomics in the Cloud」ページと「Healthcare Providers and Insurers in the Cloud」ページを参照してください。
– Jessica Beegle、Global Leader、Healthcare and Life Science Partner Ecosystem、AWS
– Angel Pizarro、Global Technical Business Development、Scientific Computing、AWS