Amazon Web Services ブログ
株式会社 PURPOM MEDIA LAB 様の AWS 生成 AI 活用事例「Amazon Bedrock を活用したビジネスモデルジェネレータ開発」
本ブログは 株式会社 PURPOM MEDIA LAB 様と Amazon Web Services Japan 合同会社が共同で執筆いたしました。
みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの呉です 。
私が日々お客様と会話をしている中で、ビジネスモデルの構築に課題感があり、外部の専門家やコンサルタントを活用するケースも多い印象です。新しい収益源を確保したい、あるいは市場の変化に対応するためにこれから新規事業開発を考えている企業においてビジネスモデルの構築は重要な課題ではないでしょうか?
本記事では、生成 AI を活用して前述した企業の課題解決を手助けするソリューションを開発された株式会社 PURPOM MEDIA LAB 様の事例をご紹介します。同社は Amazon Bedrock や AWS Amplify などサーバーレス構成を採用し、3 人体制で 3 ヶ月という短期間でビジネスモデルを自動生成するソリューションを開発されています。
お客様の状況とソリューション開発に至る経緯
株式会社 PURPOM MEDIA LAB 様はリーン開発と呼ばれる手法を用いて、お客様の新規事業開発をスモールスタートで育てていくことを得意とされています。同社はシステム開発についてお客様と会話する中で以下の共通課題があることに気づきました。
- 新規事業のビジネスモデルはタスクや検証項目の洗い出しに時間を要している
- スタートアップ企業のビジネスモデルや、それを試行錯誤したプロセスが可視化できていない
- ビジネスモデルを投資家などのステークホルダーに共有するコミュニケーションコストが高い
- 収益化に向けた戦略の具体化、最適化ができていない
こうした課題の解決を手助けするために、Amazon Bedrock を利用して「ビジネスモデルジェネレータ」を開発しました。
ソリューション/構成
「ビジネスモデルジェネレータ」は以下のサービスで構成されています。サーバーレスでインフラ管理が不要であることに加え、IAM ユーザーによるセキュリティ管理ができること、また AppSync のリゾルバー経由で呼び出しができて Amplify Gen2 と親和性が高いことから Amazon Bedrock を採用されました。同ソリューションは Amazon Bedrock の出力をシステム側で適切に処理してからユーザーへ提供するよう設計されており、ユーザーへ提供する情報の一貫性と信頼性の向上を図っています。
(出展 : 株式会社 PURPOM MEDIA LAB )
ユーザーが同サービスを利用する流れは以下です。
- ユーザーがビジネスモデルを新規作成し、ビジネスアイデアを書き込む
- ビジネスアイデアの内容を元にプロンプトを生成する
- 2 のプロンプトを利用し、Amazon Bedrock でビジネスモデルキャンバスの内容を生成する
以下が生成されたビジネスモデルキャンバスの例です。こちらの例でビジネスアイデアは、「農家の野菜をパーキングエリアに出展できるようにサービスを始めたい」です。「ビジネスモデルジェネレータ」は、同ビジネスが提供する価値は何か、どんなリソースが必要か、コストの構造と収益の流れなどがまとめられています。ビジネスモデルキャンバスの作成者は、内容を編集したり、社内外へ共有してコメントをもらったりすることができます。
次に、ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスアイデアから仮説(課題)と何を重要業績評価指標(KPI)にしてビジネス課題の実現に向けて取り組むか、提案します。
(出展 : 株式会社 PURPOM MEDIA LAB )
導入効果と今後について
Amazon Bedrock を活用した「ビジネスモデルジェネレータ」により以下の効果が得られると考えています。
- 新規事業のビジネスモデル検討時に必要なタスクや検証項目の洗い出しに所要される時間を短縮できる
- スタートアップ企業がステークホルダーへビジネスモデルを説明するコニュニケーションコストが削減できる
- ビジネスモデルやそれを試行錯誤したプロセスの可視化により、現状を関係者に周知することで安心感を与えることができる
- コスト構造や収益化に向けた戦略を具体化、最適化できる
- Amazon Bedrock を利用すると、入出力データが学習されることがないため、安心して生成 AI を利用できる
「ビジネスモデルジェネレータ」は β 版をリリースしたばかりです。今後、株式会社 PURPOM MEDIA LAB 様は、RAG (Retrieval Augmented Generation) を活用してユーザーの体験向上が見込まれる新機能を追加開発する予定です。具体的には、過去のビジネス事例、競合企業の情報に加え、対象の企業情報(規模、業種、経営課題、顧客セグメントなど)を基にビジネスモデルを生成し、精度向上を図ります。また、アクターやシステム整理、ユースケース作成、UI モデリングなど、開発プロセスにおいても生成 AI の活用を検証予定です。
まとめ
このように、株式会社 PURPOM MEDIA LAB 様は Amazon Bedrock を活用することで、企業の新規事業開発における課題を解決するソリューションを短期間で実現しています。また、サーバーレスサービスの活用により、インフラ保守運用負荷の低減も見込まれます。今回ご紹介した「ビジネスモデルジェネレータ」は、 クローズドβ 参加社を募集中です。ご興味のある方は、こちらからお問い合わせください。
今後さらにビジネスシーンでの生成 AI の応用が広がっていくことが期待されます。生成 AI の活用にご関心のあるお客様は、ぜひ AWS までお問い合わせいただければと思います。
株式会社 PURPOM MEDIA LAB 様 : 代表取締役 青木 光平様 (左から 2 番目)、川島 壮生様 (左から 3 番目)、岡本 隆也様 (左から 4 番目)、北村 優佳様 (右から 3 番目)、テックリード 北見 海貴様 (右から 2 番目)
Amazon Web Services Japan : アカウントマネージャー 木下 由梨(左端)、ソリューションアーキテクト 呉 敏禎(右端)
ソリューションアーキテクト 呉 敏禎 ( X – @kkam0907)