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IoT@Loft #18 大阪リージョン開設記念 西日本のユーザー特集
こんにちは。プロトタイピング ソリューション アーキテクトの市川です。
2021/4/14に開催されたIoT@Loftの18回目である、「大阪リージョン開設記念 西日本のユーザー特集」の紹介をしたいと思います。
IoT@Loft とは ?
IoT 関連ビジネスで開発を担当するデベロッパーのためのイベントです。IoT の分野は、「総合格闘技」と呼ばれるほど、必要な技術分野が非常に多岐に渡ること、ビジネスモデルが複雑なケースが多く、全体を理解することは難しいと言われています。その結果、実証実験 (Proof of Concept : PoC) から商品への導入が進まないケースや、PoC でさえ十分に実現できていないケースも多々あります。
IoT@Loft は、そういった IoT 特有の課題と向き合い、情報共有・意見交換を行う場として、参加者の事業や製品開発を成功に近づけることができれば幸いです。この勉強会では、膨大な IoT 関連の情報の見通しを良くするために、各回ごとにテーマを定め、それに沿った形で登壇者に事例や技術のご紹介を頂きます。テーマは、インダストリー、ソリューション、テクノロジー、開発フェーズなどを軸に決めていきます。
IoT@Loftについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
また、下記のConnpassのグループに入っておくと、次のイベントの通知や、登壇資料の通知が受け取れますので、ぜひご参加ください。
大阪リージョン開設記念 西日本のユーザー特集
2021年3月に日本国内では2番めとなる大阪リージョンが開設されたこともあり、それに関連したIoT@Loftイベントを開催したいという話から、今までのようなスマートファクトリー、スマートプロダクトのような観点ではなく、地域に焦点をあてた登壇者となりました。
ちなみに、大阪の方は製造業が多いというイメージですが、経済産業省のRESA(地域経済分析システム)で公開されている様々な観点で分布を見れるサイトが有り、そのページで製造業で見てみると、東京、大阪、愛知と順に多く、実際に多いということがわかります。
各セッションの紹介
ここからは各セッションについての簡単なサマリと、資料、QAを紹介します。
AWSを活用した空調機IoTプラットフォームの開発
ダイキン工業株式会社
チームマネージャー 野原 健太 氏
このセッションでは、ダイキン工業様のIoTに対しての取り組み(Daikin Global Platform)と、そのシステムを構築する上で苦労した点についてお話をいただきました。このプラットフォームは想定接続台数が500万台と非常に扱うデバイス数が多く、そのためにもスケーラビリティーと無限に増えるデータを扱うストレージを解決する手段としてAWSを選択されたとのことです。これだけの規模になってくるとコストをいかに抑えるかということも重要となってきます。このセッションではいくつかの構成を中心にどのようにコストを抑える工夫をしたかについても紹介をいただきました。
もっと詳しく知りたい場合は、資料が公開されていますので、ぜひご覧ください。
Q&A
Q. 時系列データへの加工ルートにおいて、Kinesisを2段構えにしている狙いを教えてください。
A. 現在値データ(DynamoDB)を登録する処理と、時系列データを作成する処理を疎結合にする狙いです。Kinesisを2段構えにしなかった場合、ひとつのLambdaがDynamoDBとElastiCacheの両方に書き込む構造になりますが、例えば、ElastiCacheに障害に発生した場合、DynamoDBへの書き込みも滞ってしまい、現在値データの登録に影響が出てしまいます。これを避けるため、現在値データを登録する処理と、時系列データを作成する処理の間にKinesisを構えています。
Q. IoT CoreのDevice Shadowは利用されているのでしょうか?
利用していません。
サーバーレスを活用した IoT 実現例と検討ポイント
富士ソフト 株式会社
・2020 APN AWS Top Engineers
・富士ソフトスペシャリスト認定 エキスパート
森田 和明 氏
2つ目のセッションでは、APNプレミアコンサルティングパートナーでAWS IoT コンピテンシーパートナーである富士ソフト株式会社様より、IoTシステムとサーバレスのシステムの相性の良さ、要件によってはマネージドサービスではなくEC2の様なサービスを組み合わせて作る必要があることについて話していただきました。様々なIoT案件を経験してきたこともあり、セッションの中でも多くの種類のアーキテクチャを紹介していただいております。
もっと詳しく知りたい場合は、資料が公開されていますので、ぜひご覧ください。
Q&A
Q. エッジAIの構成例でGreengrassを使っていましたが、Greengrass CoreデバイスがSPOFになるかと思います。Greengrass Coreデバイスが落ちた場合やデプロイ時の瞬断などについて、何か対策はされていましたでしょうか?
A. SPOFであることはご認識のとおりです。発表した事例としてはSPOFの対策まではしておりませんでした。
(AWSより、お客様によっては自分でHA構成を作成しています)
Q. 大阪リージョンを使うのではなく、同一リージョンで2構成では稼働率を満たすことはできないのでしょうか?
A. EC2であれば、1つのリージョンでもアベイラビリティゾーンを分けて稼働率を上げることはできると思いますが、IoT CoreやLambdaなどのサーバーレスサービスでは、リージョン単位でサービスが提供されているいます。そのため、サービス単位で障害が発生してしまった場合に稼働率を上げられないと考えております。
自動ドア遠隔監視IoTサービスのプロダクト開発
オプテックス株式会社
宮原 大輔 氏
3つ目のセッションでは、オプテックス株式会社様より自社の主力事業である自動ドアのIoT化についてお話をしていただきました。普段何気なく利用している自動ドアですが、おそらく誰もが何度も押したことがあるであろう自動ドアのボタンは、オプテックスさんの製品でした。そのように数多くの自動ドアで利用されているセンサーや設備となると、保守点検が課題になってきます。そこで、IoTを利用し遠隔監視を行うことで、点検作業の効率化、更には故障しない自動ドアへと進化することができます。その仕組みを作る際の課題についても紹介していただきました。
もっと詳しく知りたい場合は、資料が公開されていますので、ぜひご覧ください。
Q&A
Q. 聞き逃してしまったかもしれないのですが、センサーとゲートウェイの接続は、何で行なっているのでしょうか?
A. 自動ドアの各機器はCANネットワークで協調動作する仕組みがすでにあり、ゲートウェイはそのCANのノードとして動作し、各機器からのデータを吸い上げています。
大阪リージョンとAWS Wavelengthの紹介
アマゾンウェブサービスジャパン株式会社
西日本担当ソリューションアーキテクト
丁 亜峰
最後に、弊社のソリューションアーキテクトより、大阪リージョンの概要とDRの考え方についてのお話や、AWS Wavelength の概要とユースケースについてご紹介をさせていただきました。
もっと詳しく知りたい場合は、資料が公開されていますので、ぜひご覧ください。
AWS Wavelengthと大阪リージョンのご紹介20210414
Q&A
Q. 東京リージョンと、大阪リージョンが利用できるとした場合、どちらを使うのが良いか判断する条件はありますか?
A. まずは、使いたいサービスが大阪リージョンにあるかを確認します。なければ東京リージョンを選びます。ある場合は、それ以外の要件と照らし合わせて、どちらにするかを選びます。DRを国内リージョンで行いたいケースでは、資料のP14よりDRの考え方を紹介していますので、そちらも参考にしていただければと思います。
お知らせ
次回のイベント
次回は「スマート工場(IIoT)に向けた課題と取り組み〜見える化、予知保全、品質管理〜 vol.3」を2021/5/19(水) 19時〜21時に開催します。イベントの詳細や申込についてはこちらのサイトからお願いします。
AWS IoT 開発者ポータル
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https://thinkwithwp.com/jp/local/iot/
著者
市川 純
プロトタイピングソリューションアーキテクト
AWS では IoT に関連するプロトタイピングを支援する、プロトタイピング ソリューション アーキテクトとして、お客様の IoT 関連案件を支援しています。