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週刊AWS – re:Invent 2023特別号 part 1 (2023/11/27週)

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの根本です。
今週も週刊AWSをお届けします。

先週はAWS re:Invent 2023 が開催されました。週刊AWSは、毎週の新発表を発表日ごとに纏めるというのがコンセプトなのですが、今回は昨年に引き続きサービスのカテゴリごとにまとめる形にしました。非常に多くのアップデートがあったので、できる限りお届けしたく今回は Part 1 (本稿)と、 Part 2 の二本立てになります。

re:Inventのアップデートに関しては12/1(金)に発表内容をほぼ全て網羅したセミナー「AWS Black Belt Online Seminar AWS re:Invent 2023速報」も開催されています。こちらの資料と動画もすでにアップロードされていますのでぜひご確認ください。

また、年明けの2024年2月にre:Inventで発表された多くのアップデートを振り返るRecapイベントも開催いたします。以下のリンクからすでにお申し込みいただけますので是非ご参加ください!
AWS re:Invent Recap – ソリューション編
AWS re:Invent Recap – インダストリー編

それでは まずは Part 1 を見ていきましょう。こちらでは以下のカテゴリについて取り扱います。

カテゴリリンク :
Analytics | Application Integration | Business Applications | Cloud Financial Management | Compute | Contact Center | Container | Customer Enablement | Database | Developer Tools | End User Computing

AWS re:Invent 2023期間に発表された主要なアップデート Part 1 (2023/11/27週)

  • Analytics
    • Amazon Redshift announces Multidimensional Data Layouts to optimize your query performance (preview)
      Amazon Redshiftの多次元データレイアウトソートキーサポートのプレビューが発表されました。多次元データレイアウトソートキーとは列に保存されているデータの順番でソートするのではなくフィルター述語でテーブルのデータをソートする新しいタイプのソートキーで、特にクエリワークロードに反復スキャンフィルターが含まれている場合に、テーブルスキャンのパフォーマンスを大幅に向上させます。この機能は東京を含む6つのリージョンでプレビューを利用可能です。詳細についてはドキュメントブログをご確認ください。また、この機能に限らず、re:Invent中に発表されたRedshiftの機能をまとめた日本語ブログも発信されています。合わせてご確認ください。
    • Amazon Q generative SQL is now available in Amazon Redshift Query Editor (preview)
      Amazon Redshift クエリエディタでAmazon Q Generative SQLのプレビューが発表されました。通常、Redshiftで分析のSQLを作成するには組織が持つデータの知識が必要になるかと思います。一方、Amazon Q Generative SQLを利用するとデータ構造やテーブル名を理解した上でSQLの生成を支援してくれる他、自然言語で調べたい内容を記入することでSQLを生成してくれるので、SQL作成の生産性が向上します。Amazon Q Generative SQLはバージニア北部、オレゴンでパブリックプレビューが可能です。詳細についてはドキュメントもご確認ください。
    • Amazon Q in QuickSight simplifies data exploration with Generative BI capabilities (Preview)
      Amazon Q in QuickSightのプレビューが発表されました。この機能は自然言語によるダッシュボードの要約、データの説明のサマリー、データに関するミニダッシュボードの生成等を支援してくれるため、特にビジネスユーザのようにシステムに精通しないユーザーの生産性を高めることが可能です。Amazon Q in QuickSightはバージニア北部、オレゴンでパブリックプレビューが可能です。詳細についてはブログもご確認ください。
    • Amazon OpenSearch Service zero-ETL integration with Amazon S3 preview now available
      Amazon OpenSearch Service zero-ETL integration with Amazon S3のプレビューが発表されました。これまで、OpenSearchで検索したいデータはS3などの保管場所からOpenSearchにコピーする必要がありデータの複製の手間やコストがかかっていました。今回の機能追加により、S3に保存したデータに対してOpenSearchから直接アクセスすることが可能になったので、例えば運用ログのようなアクセス頻度の低いデータに関してはよりコスト効率よく、手間なく利用することが可能になります。この機能は東京を含む6つのリージョンでプレビューを利用可能です。詳細についてはブログドキュメントをご確認ください。
    • AWS announces Amazon ElastiCache Serverless
      Amazon OpenSearch Serverless でベクトルエンジンの一般提供が開始されました。OpenSearch Serverless のベクトルエンジンは、シンプルでスケーラブルな高性能のベクトルデータベースであり、サーバーを管理することなく、機械学習や人工知能の機能を持つアプリケーションと簡単に連携ができるようになります。生成系 AI でベクトル埋め込みを生成し、文脈を意識したセマンティック検索などを実現する際に、検索エンジンとしてベクトルエンジンを利用できます。数千次元をもつ数十億のベクトル埋め込みをミリ秒以内に保存、更新、検索が実現できます。東京を含めた8つのリージョンで利用できます。詳細はこちらの ブログをご確認ください。
  • Application Integration
    • Amazon SQS announces increased throughput quota for FIFO High Throughput mode
      Amazon SQS announces support for FIFO dead-letter queue redrive
      Amazon SQSのデッドレターキューの再配信機能強化と、FIFO キューの高スループットモードの上限引き上げが発表されました。これまでもデットレターキューからの標準ソースキューや標準カスタム宛先キューへのメッセージの再配信をサポートしていました、今回のアップデートでFIFOソースキューやFIFOカスタム宛先キューへの再配信もサポートした形です。これによりリトライやデバッグの為の再配信が柔軟になります。この機能追加はSQSが利用可能なすべてのリージョンで利用できます。また、高スループットモードに関してはバージニア北部、オレゴン、アイルランドで最大70,000件/秒まで強化されています。詳細についてはこちらのブログもご確認ください。
  • Business Applications
    • Introducing Amazon One Enterprise (Preview)
      組織のアクセスコントロールのための手のひら認証デバイス、Amazon One Enterpriseのプレビューが発表されました。Amazon One Enterpriseの精度は99.9999%を誇り、データの転送や保存に渡り多層のセキュリティ対策がされています。エンタープライズ企業の厳格なアクセスコントロールの方法をバッチやPIN、パスワードなどから置き換えることで管理者の手間を削減できます。Amazon One Enterpriseは米国内のみでのプレビューとなります。詳細に関してはContact usからご確認ください。
  • Cloud Financial Management
    • AWS Free Tier usage is now available through the GetFreeTierUsage API
      AWS 無料利用枠の使用状況にGetFreeTierUsage API経由でアクセスできるようになりました。これによりAWS SDKやCLI、そしてサードパーティのツールを介してプログラム的に把握することが可能になります。詳細についてはブログも出ているので是非ご確認ください。
    • Introducing Cost Optimization Hub
      AWS Billing and Cost ManagementにCost Optimization Hubという機能が追加されました。Cost Optimization HubはOrganizationのメンバーアカウントやリージョン全体でコスト最適化の推奨事項に関して可視化や検討をサポートする機能です。コスト最適化の推奨事項は、EC2インスタンスの適正サイズ、起動されて未使用のリソース、Gravitonの移行推奨、Savings Plan等15以上準備されています。詳細についてはこちらのブログユーザーガイドもご確認ください。
  • Compute
    • Announcing Amazon EC2 High Memory U7i instances (Preview)
      最大32TiBのDDR5メモリを備えたAmazon EC2 U7iインスタンスのプレビューが発表されました。U7iインスタンスはXeon Scalable Processors (Sapphire Rapids)を採用しておりU-1インスタンスと比較し最大125%高い処理性能を発揮と最大100Gbpsのネットワーク帯域を持ちます。主にはSAP HANAやその他インメモリのデータベース等に最適なインスタンスです。このプレビューでは、U7i インスタンスは u7in-16tb.224xlarge、u7in-24tb.224xlarge、u7in-32tb.224xlarge の 3 つのサイズでご利用いただけます。詳細についてはブログや、U7iインスタンスのプレビューへのアクセスをリクエストするにはHigh Memory インスタンスのページをご覧ください。
  • Contact Center
    • Amazon Q in Connect offers generative AI powered agent assistance in real-time
      Generative AIを活用したアシスタントサービスであるAmazon QをConnectでも利用できるようになりました。Amazon Q in Connectにより、通話やチャットの中で顧客の意図をリアルタイムに検出し、推奨アクションや対応するエージェントに関連文献をサジェスチョンすることが可能になります。東京リージョンを含む6つのリージョンでご利用可能です。詳細に関してはブログドキュメントもご確認ください。
    • Amazon Connect provides Zero-ETL analytics data lake to access contact center data (preview)
      Amazon Connect analytics data lakeのプレビューが発表されました。analytics data lakeを使うと、複雑なワークフローを作らずともコンタクトセンターのパフォーマンス指標の可視化や詳細な分析が可能になります。また、Amazon Athena、Amazon QuickSight、3rd-Partyツールとも連携してカスタムレポートやダッシュボード作成も可能です。Amazon Connect analytics data lakeは東京を含む10リージョンでプレビュー利用が可能です。詳細についてはドキュメントもご確認ください。
  • Container
    • Amazon EKS introduces EKS Pod Identity
      Amazon EKSで、PodにIAM Roleを割り当てる新機能としてEKS Pod Identityがリリースされました。これまで同じことをするにはIAM roles for service accounts(IRSA)をする必要がありましたが、今回の機能を使うとより簡単に設定することが可能です。例えば、新しいクラスターを作成した際にロール信頼性ポリシーの更新が不要になるほか、クラスター名、名前空間、サービスアカウント名などの属性とAWSリソースのアクセス権限の紐付け等ができるようになります。EKS Pod IdentityはAWS GovCloud, 北京、寧夏を除くAmazon EKSが利用可能なすべてのAWSリージョンでご利用可能です。詳細についてはドキュメントブログもご確認ください。
    • Amazon Managed Service for Prometheus launches an agentless collector for Prometheus metrics from Amazon EKS
      Amazon Managed Service for Prometheus collectorが発表されました。これまで、PrometheusでEKSのメトリクスを収集するためにはエージェントの導入と、管理が必要でした。今回のアップデートにより、Amazon EKSコンソール、もしくはAPI経由でエージェント不要でKubernetes APIサーバからのメトリクスを検出、収集できるようになりました。このアップデートはAmazon Managed Service for Prometheusが利用可能なすべてのリージョンで利用可能です。詳細についてはブログもご確認ください。
  • Customer Enablement
    • Announcing the general availability of AWS re:Post Private
      AWS re:Post Privateの一般提供が開始されました。AWS re:Post は、AWSが管理するQ&Aサービスで、AWSに関する技術的な質問に対して、専門家やコミュニティメンバーがやりとりできるものです。今回、このPrivate版として企業・組織内で利用いただける他、AWSサポートセンターとの統合によりディスカッションスレッドをサポートケースに変換することも可能です。Enterprise SupportおよびEnterprise On-Ramp Supportをご利用の方向けのサービスで、オレゴンとフランクフルトの2つのリージョンで提供開始されています。詳細についてはre:Post Rivateのページやブログもご確認ください。
  • Database
    • Announcing Amazon Aurora Limitless Database
      Amazon Aurora クラスターを秒間数百万の書き込みでも対応できるよう自動スケールするAmazon Aurora Limitless Databaseのプレビューが発表されました。トランザクションへの一貫性を維持しながらデータやクエリを自動的に分散してくれるサーバレスエンドポイントや、分散型のクエリプランニング、トランザクション管理の機能により、シャーディングのように複数のデータベースを管理する必要なく拡張性を得ることが可能です。Aurora Limitless Databaseは、東京を含む4つのリージョンで、Amazon Aurora PostgreSQL 互換エディションの限定プレビューを行なっています。プレビューへの参加リクエストはこちらから行うことができます、
    • Announcing the general availability of Amazon RDS for Db2
      Amazon RDSのラインナップにDb2が追加されました。Db2 バージョン11.5をサポートしており、ライセンスはBYOLが必要になります。マネージドサービスとして利用することで、プロビジョニング、パッチ適用、バックアップ、障害検出、リカバリ等、管理タスクをRDSに任せることができ、よりアプリケーションやビジネスに集中いただけます。その他詳細に関してはドキュメントブログをご確認ください。
    • AWS announces Amazon DynamoDB zero-ETL integration with Amazon OpenSearch Service
      Amazon DynamoDBとAmazon OpenSearch ServiceがZero-ETLに統合されました。この統合により、DynamoDBのデータを逐一抽出、変換、コピーするプログラムや仕組みを構築することなく、シームレスにOpenSearchで全文検索やベクトル検索などの高度な検索をすることが可能になります。この統合機能は東京を含む13のリージョンで利用可能です。詳細についてはブログをご確認ください。
  • Developer Tools
    • AWS AppConfig Agent launches write to disk, backups, and permission mapping
      AppConfig エージェントに新たな機能が追加がされました。AppConfigはアプリケーションの設定をAWS上で管理するサービスです。使い方の例を挙げると、新旧両方のプログラムを含むアプリケーションを事前にデプロイしておき、AppConfigの機能フラグで新旧どちらを使うか切り替える仕組みにしておくことで、資源のデプロイとアプリケーションのロールアウトのタイミングを安全に分けることを可能にする他、様々な使い方があるサービスです。AppConfigを使う際、ローカルでのキャッシュやポーリングの仕組みなど、面倒な実装をせずに使えるようにするのがAppConfig エージェントです。今回、AppConfig エージェントがローカルディスクへの機能フラグや構成データの書き込みに対応した他、最新バージョンの機能フラグをローカルバックアップし耐障害性を高める機能、ローカル環境でのテスト機能、IAMとの連携によるきめ細やかな権限管理の4つの機能が追加されました。詳細についてはApp Config エージェントのドキュメントもご確認ください。
  • End User Computing
    • Amazon WorkSpaces Multi-Region Resilience launches one-way data replication
      Amazon WorkSpaces Multi-Region Resilienceにリージョン間の一方向レプリケーション機能が追加されました。これまで、リージョン障害時にはstandby configuration機能によって迅速にセカンダリリージョンを利用できる仕組みがありましたが、今回の強化によって12時間毎のルート及びユーザボリュームを取得、使用できるようになります。今回の機能追加は、バージニア北部、オレゴン、フランクフルト、アイルランドなど、Multi-Region Resilienceが利用できるAWSリージョンで利用できます。詳細についてはブログドキュメントをご確認ください。

それでは、Part 2 もお楽しみください。

ソリューションアーキテクト 根本 裕規 (twitter – @rr250r_smr)