Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2023/10/2週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。
今週も 週刊AWS をお届けします。

今回のアップデートで反響が大きかったものを取り上げると、Amazon Bedrock を東京リージョンで提供開始しました。Amazon が提供する Amazon Titan や、主要な AI スタートアップ企業が提供する基盤モデル (Foundation Model) を API 経由で利用する機能をもつマネージドサービスです。また、Amazon Bedrock をどのように利用できるか学習できる日本語ワークショップがあります。テキスト生成、文章要約、質問の回答、チャットボット、画像生成、コード生成といった方法を学習できます。ぜひご利用ください。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2023年10月2日週の主要なアップデート

  • 10/2(月)
    • Amazon IVS introduces in-console broadcasting for low-latency streaming
      ライブ配信を提供する Amazon IVS の低レイテンシーストリーミング機能で、マネージメントコンソール内からブラウザを通じてライブ配信ができるようになりました。アップデート以前は、ライブ配信を行うために Amazon IVS のブロードキャスト SDK や、OBS といったライブ配信ソフトウェアを利用できました。今回のアップデートで、Web ブラウザを利用してライブ配信を行う選択肢が増え、より簡単に始めやすくなりました。
    • Application Load Balancer and Network Load Balancer now support registering instances addressed by IPv6 as targets
      Application Load Balancer や Network Load Balancer に紐づけるターゲットグループで、IPv6 を持つインスタンスを登録できるようになりました。アップデート以前は、インスタンスが持つ IPv6 アドレスを、ターゲットグループに「IP アドレス」として登録する必要がありました。今回のアップデートで、「インスタンス」として登録が出来るようになり、より簡易に設定ができるようになりました。また、この機能にあわせて、EC2 のオートスケーリンググループで IPv6 を持つインスタンスが増減した際に、自動的にターゲットグループに反映できるようになりました。
    • Amazon EC2 Hibernate now supports more operating systems
      Amazon EC2 の休止機能 (Hibernate) で、新たに Microsoft Windows Server 2022、Red Hat Enterprise Linux 9、Amazon Linux 2023 をサポートしました。休止機能は、稼働している EC2 インスタンスを一時停止することで、コスト最適化やインスタンス起動時間の短縮といったメリットがある機能です。休止を実行すると、EC2 インスタンス内で稼働しているプロセスがフリーズされ、RAM の内容が EBS ルートボリュームに保存されます。その後、通常のシャットダウンが実行されます。休止期間中、EBS の料金は継続して発生しますが、インスタンス部分の料金を削減できるためコスト最適化のメリットがあります。再開を実行すると、EBS ルートボリュームから RAM の情報を復元して、プロセスのフリーズが解除されます。サポートしている AMI は、AWS ドキュメントに Linux 、 Windows で各ページに記載されています。
  • 10/3(火)
    • Amazon ECR Public introduces new navigation and search features to the ECR Public Gallery
      Amazon ECR Public Gallery でコンテナイメージを探しやすくなるアップデートがありました。コンテナイメージを検索する際に、イメージ作成元をフィルター条件として指定できるようになり、「Docker」や「Amazon」が作成したコンテナイメージを探しやすくなりました。また、Amazon ECR Public Gallery のランディングページに、頻繁に使用されているリポジトリが掲載されるようになり、簡単にアクセスできるようになりました。
    • Amazon EventBridge announces support for wildcard filters in rules
      Amazon EventBridge でルールを指定する際にワイルドカードサポートしました。例えば、S3 バケットへアップロードしたファイルの内、特定の条件に当てはまるファイルを対象に、何らかの処理を実施したいとします。ルールを指定する際に「dir/*.png」と設定すると、特定のディレクトリ配下の .png 拡張子を持つファイルを対象にできるようになりました。また、「*specificname*」と指定すると、特定の文字列を含むファイルを対象にできます。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
    • Lambda test events are now available in AWS SAM CLI
      AWS SAM CLI で Lambda 関数を開発する際に、Lambda テストイベントを利用できるようになりました。Lambda テストイベントは、Lambda 関数を呼び出す際の引数を JSON オブジェクトとして保存し、Lambda 関数の動作検証を支援する機能です。不具合を素早く発見することに繋がり、開発スピードの向上といったメリットがあります。複数の開発者間で JSON オブジェクトを共有できるため、チーム全体の一貫した検証に利用できます。アップデート前は、AWS マネジメントコンソール上でサポートされていましたが、今回のアップデートで AWS SAM CLI で利用できるようになりました。
  • 10/4(水)
    • Amazon DataZone is now generally available
      Amazon DataZone の一般提供を開始しました。DataZone のビジネスデータカタログは、各組織が持つデータを見つけやすくするポータル画面を提供します。社内に存在するデータを発見し、そのデータが持つビジネス上の意味を説明する仕組みがあります。部門をまたがったチームでプロジェクトを作り、部門の壁をこえたコラボレーションと、セルフサービス方式で Athena や Redshift にアクセスする機能を提供し、社内のデータ活用を促進します。東京リージョンを含めて、11 リージョンで一般提供が開始されました。
    • Amazon EKS Extended support for Kubernetes Versions now available in preview
      Amazon EKS で延長サポートがプレビュー公開となりました。従来通り、EKS のマイナーバージョンが提供されてから 14 カ月間は標準サポートの対象となります。今回のアップデートで、各マイナーバージョンに対して、最大 12 カ月のサポート延長が追加され、合計 26 カ月のサポートが提供されるようになりました。延長サポートの期間、Amazon EKS のコントロールプレーンのセキュリティパッチを提供します。また、Amazon VPC CNI、kube-proxy、CoreDNS アドオン、EKS Optimized AMI、および EKS Fargateノード用の重要なパッチをリリースする予定です。標準サポートの 14 カ月が終了すると、そのバージョンで稼働しているクラスターは自動的に延長サポートに入ります。設定変更やリクエストは必要ありません。プレビュー期間中は追加料金無しで利用できますが、一般提供開始後は追加料金が発生する予定です。詳細はこちらのブログをご確認ください。
  • 10/5(木)
    • Amazon SageMaker Canvas expands its support for ready-to-use models to include foundation models (FMs)
      Amazon SageMaker Canvas で基盤モデル (Foundation Models) を利用できるようになりました。Claude 2, Amazon Titan, Jurassic-2 (Amazon Bedrock で提供) などの基盤モデルを、Canvas で提供する Web 画面で簡単にアクセスが出来るようになりました。同時に 3 種類の基盤モデルが生成したテキストを横に並べて表示する機能があり、最適な回答を比較しながら選択できます。 また、Canvas と IAM Identity Center を連携することで SAML 2.0 認証が利用できるようになり、AWS マネージメントコンソールを介さずにアクセス提供が可能です。組織内に展開する際に、各従業員に AWS マネージメントコンソールへの権限付与をしたくない場合にご利用いただけます。
    • Amazon WorkSpaces Services expand Microsoft productivity apps offerings
      Amazon WorkSpaces と WorkSpaces Core で、Microsoft Office、Microsoft Project、Microsoft Visio といったアプリケーションの追加・削除を、データを保持したまま利用可能になりました。アップデート以前は、Microsoft Office などのアプリケーションが含まれた「バンドル」として提供されていたため、後から利用したい際には WorkSpaces のマイグレート処理が必要でした。マイグレートは、ルートボリューム (C ドライブ) のデータが削除される仕様で、データ退避の考慮などが必要でした。今回のアップデートで、既存の WorkSpaces にデータを保持しながらアプリケーションの追加や削除が可能になりました。
    • AWS App Runner launches improvements for using custom domains
      AWS App Runner でカスタムドメインを利用するとき、DNS レコードを Route 53 上で設定する操作が簡易になりました。アップデート以前では、App Runner でカスタムドメインを利用する際に、App Runner 側で指定される A レコードや CNAME レコードなどを手動で設定する必要がありました。今回のアップデートで、Route 53 を利用している場合、自動的に App Runner 側でレコードの追加、および検証を実施してくれる機能が追加されました。手動で設定が必要だった部分が、自動化にされたアップデートです。
  • 10/6(金)
    • Amazon Bedrock now available in Asia Pacific (Tokyo) AWS Region
      Amazon Bedrock が東京リージョンでサポートされました。Amazon Bedrockは、AI21 Labs、Anthropic、Cohere、Meta、Stability AI、Amazon などの主要 AI 企業が提供する高性能な基盤モデルを単一のAPIで実行できるフルマネージドサービスです。API 経由で利用できるため、アプリケーションに組み込むことが出来ます。また、ファインチューニングや RAG などのテクニックを使って、お手元のデータを Bedrock に適用できます。この記事の冒頭でご紹介した日本語ワークショップも合わせてご活用ください。
    • Amazon QuickSight announces predictive analytics using Amazon SageMaker Canvas
      Amazon QuickSight は Amazon SageMaker Canvas で作成した予測モデルと連携機能をサポートしました。SageMaker Canvas は機械学習に関するコードを実装することなく、ノーコードで利用できる機械学習サービスです。QuickSight で作成した表テーブル、もしくはピボットテーブルのデータを、QuickSight から SageMaker Canvas にエクスポートできます。その後、SageMaker Canvas で作成した予測モデルを利用して QuickSight 上で予測結果を表示できます。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。

それでは、また来週お会いしましょう!

ソリューションアーキテクト 杉山 卓 (twitter – @sugimount)