Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2020/8/10週

ここしばらくは猛暑を通り越して酷暑な日々が続いておりますが、お元気でしょうか。
ソリューションアーキテクトの小林です。

最近のはやりに乗ってワーケーションをしてみたいなと思い始めています。いつも自宅で仕事をしていると変化に乏しいので、いつもと違う環境で気分を変えて仕事に取り組むのもいい経験かもな、というわけです。こう考えると、会社に通勤して仕事をするのはある意味で刺激的な体験だったのだなぁと思わされますね。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。今回は大事なものが多かったので大盛りでお届けです。

2020年8月10日週の主要なアップデート

  • 8/10(月)
    • AWS Glue version 2.0 featuring 10x faster job start times and 1-minute minimum billing duration
      AWS Glueのバージョン2.0がリリースされ、ETLジョブの起動が最大で10倍高速になりました。また Glue version 2.0では従来の最低10分の利用料金が請求される方式が変更になり、最低1分かつ1秒単位での時間課金となり、これまでも小さなETLジョブでもコスト効率よくご利用いただけるようになりました。
  • 8/11(火)
    • AWS Fargate for Amazon EKS now included in Compute Savings Plans
      AWS Fargate for Amazon EKSがCompute Savings Plansの対象に含まれるようになりました。Compute Savings Plansを利用すると1年または3年の期間でコンピューティング使用量をコミットすることで、費用削減が可能になる料金プランです。今回のアップデートではFargate for EKSの利用分がCopmute Saving Plansでカバーされるようになりました。
    • Amazon EC2 instances featuring AMD EPYC processors are now available in additional regions
      東京を含む複数のリージョンでAMD EPYC 7002シリーズのプロセッサを搭載したC5aインスタンスがご利用いただけるようになりました。また、M5adおよびR5adインスタンスの8xlargeと16xlargeが登場しています。こちらは現時点ではバージニアリージョンのみですのでご注意を。
  • 8/12(水)
    • Amazon Forecast now uses Convolutional Neural Networks (CNNs) to train forecasting models up to 2X faster with up to 30% higher accuracy
      時系列予測を行うAmazon Forecastがアップデートされ、予測モデルの学習に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用できるようになりました。CNNを利用すると最大で2倍速で、最大30%高精度に学習処理を実行可能です。とはいえCNNも万能ではなありません。データの性質によっては従来の方式のほうが高精度であることも考えられますので、利用ケースに合わせたアルゴリズムを選択するようにしてください。
    • Amazon Cognito User Pools now supports customization of token expiration
      Amazon Cognito User Poolsでトークンの有効期限をカスタマイズできるようになりました。アクセストークン(Access tokens)は最短5分から最長24時間の有効期限を、更新トークン(Refresh tokens)は最短1時間から最長10年の有効期限を設定可能です。これにより開発するアプリケーションの性質に応じて、セキュリティと使いやすさのバランスをとることが容易になります。
    • Amazon FSx for Lustre announces high-performance HDD-based shared storage for compute workloads
      高性能な共有ストレージを提供するAmazon FSx for Lustreで、これまでのSSDベースに加えて新たにHDDベースのストレージを選択できるようになりました。ゲノム分析や財務シミュレーションなど、SSDが提供する低レイテンシ性を必要としないスループットが重要な処理に向けたもので、最大80%のコストを削減可能です。
  • 8/13(木)
    • Now Available, Amazon EC2 C5ad instances featuring 2nd Generation AMD EPYC Processors
      第2世代のAMD EPYCプロセッサを搭載したEC2インスタンス、C5adが利用可能になりました。これは以前にご案内したC5aのバリエーションで、ホストサーバにローカル接続されたNVMe SSDによるインスタンスストレージを利用可能なタイプです。現時点ではバージニア、オレゴン、アイルランド、フランクフルト、シンガポール、シドニーの各リージョンでご利用いただけます。
    • Amazon QuickSight launches folders, a new calculations editor experience and more
      Amazon QuickSightでコンテンツの整理と共有のために利用するフォルダ機能が利用可能になりました。QuickSightの管理者・作成者の権限を持つユーザは、個人のフォルダを作成し自身のダッシュボードやデータセットを管理するとともに、共有フォルダを作成してコンテンツやデータセットのアクセス許可を設定することが可能です。これによってチームや組織内でのアクセス権管理をこれまでよりもシンプルに実装できます。
    • Amazon EKS now supports UDP load balancing with Network Load Balancer
      Amazon EKSがNLBを利用したUDPトラフィックのロードバランシングをサポートしました。TCPを利用する場合は従来からサポートされていましたので、今回のアップデートによりTCP/UDPの双方でNLBによる負荷分散を利用できるようになりました。NLBによるUDPサポートはKubernetes 1.15以降を実行するEKSクラスタで、EC2インスタンスベースのワーカーノードを利用している場合に限られますのでご注意を。
    • AWS Lambda now supports Amazon Managed Streaming for Apache Kafka as an event source
      AWS LambdaがインベントソースとしてAmazon MSK(Amazon Managed Streaming for Apache Kafka)をサポートしました。Kinesis Data StreamsやDynamoDB Streamsのように、Apache Kafkaからもトピックを読み込みレコードをバッチ的に処理することが可能になります。
    • Amazon EC2 Inf1 instances based on AWS Inferentia now available in US East (Ohio), Europe (Frankfurt, Ireland) and Asia Pacific (Sydney, Tokyo) Regions
      Amazonが設計した推論用のプロセッサ、AWS Inferentiaを搭載したEC2のInf1インスタンスが東京を含む複数のリージョンで利用可能になりました。TensorFlowやPyTorch、MXNetといった機械学習フレームワークと統合されたAWS Neuron SDKを利用してInf1インスタンスにモデルをデプロイすることで利用できます。Amazon SageMakerを利用するとモデル構築からデプロイまでの一連の作業を簡単かつ迅速に実行できますので、是非お試しください。
    • Quantum computing is now available on AWS through Amazon Braket
      量子コンピューティング入門の手助けをするサービスであるAmazon Bracketが利用可能になりました。D-WaveやIonQやRigettiといったハードウェアを選択して利用することができるので、研究者や開発者の方が将来可能になるであろうアプリケーションのアイデアを練ったり検証したりすることに役立てていただけます。
  • 8/14(金)
    • Amazon AppStream 2.0 adds support for the native desktop experience
      Amazon AppStream 2.0でネイティブデスクトップエクスペリエンスが利用可能になりました。従来は起動されたアプリケーションのウィンドウのみが表示されていましたが、これを利用するとデスクトップの画面を表示することが可能になります。この機能は新しいAppStream 2.0のフリートを作成したり、停止したフリートを更新する際に有効にすることができます。
    • Amazon ECS now launches the Amazon ECS Optimized Inferentia AMI
      AWS Inferentiaチップを搭載したInf1インスタンス向けECS最適化AMIの提供を開始しました。このAMIはAmazon Linux 2ベースで作成されており、Inf1インスタンスに必要なAWS Neuronのパッケージがすべて含まれており、これを利用すればECSでInferentiaを利用したアプリケーションを容易に実行できます。
    • AWS Site-to-Site VPN Now Supports IPv6 Traffic
      AWS Site-to-Site VPNにおいてAWS Transit GatewayへのVPN接続時にIPv6トラフィックをサポートするようになりました。これによってオンプレミス側とVPC側の双方でIPv6アドレスを利用しているときに、相互の通信をVPNを経由してセキュアに実現できます。

先週のリリースで気になるサービスは、やっぱりAmazon Braketですね。学生の頃に所属していた研究室のテーマのひとつが量子コンピューティングだったので、なんとなく懐かしさを感じてしまいます。Amazon Braketは現時点では学習、研究、検証といった用途にむけたものではありますが、量子コンピューティングはザ・未来のコンピュータという感じがしてワクワクします。

それでは、また来週!

ソリューションアーキテクト 小林 正人 (twitter – @maccho_j)