Amazon Web Services ブログ
【動画公開 & 開催報告】AWS Autotech Forum 2021
はじめに
こんにちは、ソリューションアーキテクトの奥野です。今回で 4 年目となる自動車業界向けクラウドテクノロジーカンファレンス「AWS Autotech Forum 2021」を 2021 年 8 月 25 日に開催しました。
本イベントでは、CASE 技術及び車両開発、データ分析に関わるエンジニア、R&D ご担当者やそれらの部門マネージャー、技術責任者、モビリティーサービス新規事業開発や経営戦略に携わる方々を対象に、コネクテッドカーのデータ活用や WP29 サイバーセキュリティ標準、MaaS の新たな立ち上げなどの業界の関心事について、困難を克服しながら実際にビジネス実装まで進められているお客様に取り組みをお話頂きました。このようなイベントを通して、最新テクノロジーを知ることで効率的・先進的なクラウド活用へとつなげ、他社との共通の課題や解決策を知ることで自社の取り組みをさらに促進いただきたいと考えています。
このブログでは、当日参加できなかった方々や、参加したけれども内容を振り返りたい方々に向けて、ご自身の取り組みの参考としていただくために当日のセッション内容のまとめを紹介します。
セッション内容の紹介
オープニングセッション
– Bill Foy, Amazon Web Service Director, WWCS Business Development
– 竹川 寿也、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 株式会社 事業開発本部 シニア事業開発マネージャー
オープニングでは、 AWS より日本のお客様に向けたメッセージをお伝えしました。AWS は世界の市場に対して大きな影響力のある日本のお客様に対するご支援を強化することを重要な経営課題として捉え、中でも AD/ADAS、Software defined vehicle を含むコネクテッドカー、設計およびデザイン、サプライチェーン、製造、デジタルカスタマーエンゲージメントに着目していることを述べました。また、ビジネスにおけるパートナーとして AWS を選択いただく恩恵をお客様が最大限受けていただくには、Amazon 社内で利用されているメカニズムを含めた形でお客様とともにイノベーションを推進することが有効であると近年の取り組みによって明らかになっており、このような枠組みをはじめとした様々な形で日本のお客様をご支援できることを楽しみにしているとのメッセージがありました。
CASE の実現を加速させる AWS の取り組みと最新お客様事例のご紹介
– 兼松 大貴、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 株式会社 シニアソリューションアーキテクト
– Dean Phillips, Amazon Web Services Worldwide Automotive Tech Leader
本セッションでは、CASE におけるトレンドや AWS が提供するソリューションと事例について紹介しました。品質保証やセキュリティ対策・開発時における結合テストの工数削減・サプライチェーンの脆弱性対策などといった目的から車両のソフトウェア化 (Software defined vehicle)と ECU の統合が進むという予測を紹介しました。また、2030 年以降には、インフォテインメントや機能安全の仕組みを同じ High Performance Computer 上で稼働させる zonal architecture が普及することによって、クラウドと共通の仮想化技術や実行環境の統合がさらに加速される点について言及しました。そして急速にソフトウェアの重要性が高まる中、AWS Connected Mobility Solution、Autonomous Driving Data Lake、AWS Predictive Maintenance for Fleets、EV Mobility Services Platform といった CASE に関連したソリューションを活用することで、簡単かつ迅速な Try & Error が可能になることを挙げました。加えて、CASE 領域におけるグローバルのクラウド活用の事例として、BMW、Ford、Toyota、Ferrari、Blackberry、国内の代表事例として日産自動車、デンソーや、クロスインタストリーの事例として、ドコモ・バイクシェア、ソニー株式会社、MONET Technologies Inc. を紹介しました。
サーバレス活用による通信型ドライブレコーダー開発の取り組み
– 迎 諒 様、株式会社デンソーテン コネクティッド事業本部ICT技術部サービス開発室
通信型ドライブレコーダー開発の背景やそこで採用したソリューション、開発の進め方などについてお話いただきました。セッション中では、AWS を採用した理由として、業界一位としての安心感、コストダウン、豊富な技術情報の存在、AWS のサービスの中でも特にサーバレスを選択した理由として、運用からの開放、コストの最小限化、疎結合にするための仕組みの豊富さ、運用にかかっていた時間を新たな技術的なチャレンジに時間を割けるといった点を挙げていただきました。その他、開発時に得られた様々な教訓やウォーターフォールの開発にもアジャイル開発のツールを導入した例について紹介いただき、非常に学びの多いセッションでした。
自動車サイバーセキュリティの解決策 〜富士通 & Upstream が考えるコネクテッドカーエコシステムにおける基準と規制〜
– 佐藤 俊也 様、富士通株式会社Digital Transportation 事業本部 セキュリティ事業部長
– 奥村 正樹 様、Upstream Security Ltd, Regional Sales Director
2022 年発売の新型車両には WP29 (国際法規基準) への準拠が必要とされる中、近年の自動車サイバー脅威の実情、国際的な基準と国内を含めた規制について話していただきました。また、本セッションでは、規制準拠に向けたサイバーセキュリティ対策として、Upstream が提供する業界初の自動車に特化したサイバーインシデント検知の為のUpstream C4 のキーコンポーネントである自動車デジタルツイン技術、統合 Automotive Threat Intelligence サービス AutoThreat についてのご説明と、こちらを組み込んだ形で提供される 富士通の ICT-SOC と V-SOC を併せ持つ統合 SOC サービス、鍵管理や OTA サービスなどについてご説明いただきました。インフラとしてなぜ AWS が選択されているのか、富士通および AWS の戦略的パートナーシップについても触れていただきました。
日本版MaaSの構築に向けたアイシンの取組み
– 加藤 博己 様、株式会社アイシン ビジネスプロモーション部 部長
– 福嶋 拓、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 株式会社 ソリューションアーキテクト
少子高齢化や人口の都市集中により地方を中心に公共交通の衰退が進む中、社長直轄の部署で進められているデマンド型交通サービスの「チョイソコプロジェクト」について説明いただきました。「安全性」「経済性」そして「継続性」を成立させるために、適切な価格での有償化、エリアスポンサーによる協賛型のビジネスモデル導入や、さらなる付加価値提供に向けた様々な実証実験の取り組みについても説明いただき、強力なリーダーシップのもと、新たな事業の確立に向けて実践されている様々な工夫について学ぶことができました。また、公共交通の一端を担うサービスを支えるインフラ環境として、AWS をどのように利用しているのかについても話していただきました。
今日から実践 AWS ベストプラクティス
– 小田桐 昂史、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 株式会社 ソリューションアーキテクト
本セッションでは、今日から実践できるベストプラクティスとして、AWS Well-Architected Framework を紹介し、これを利用することで設計・開発・運用上での課題をより早く解決する方法について紹介しました。合わせて、AWS Well-architected Framework に基づいたベストプラクティスの実践を、より具体的に支援するサービスとして AWS Trusted Advisor 、セキュアなマルチアカウント環境を効率よく作成できるサービスとして AWS Control Tower、ワークロードで利用されている Amazon EC2 インスタンス、Amazon EBS ボリューム、および AWS Lambda 関数のコスト最適化およびパフォーマンス最適化に利用できる AWS Compute Optimizer についても紹介しました。
おわりに
4 年目となる今回の AWS Autotech Forum も、お客様からご自身の取り組みやソリューションについて紹介いただき、非常に貴重な機会であったと考えております。当日参加できなかった方も、本ブログが参考となる情報を得るきっかけとなれば幸いです。今後も先進的な取り組みを発信されたいお客様にご協力し、これから取り組みを進める皆さまへの参考としていただけるように活動を続けて参ります。技術的なご相談がある場合は、こちらのお問い合わせフォームからご連絡ください。また 、AWS では、自動車業界のお客様の先進的な取り組みを支援するソリューションアーキテクトを募集しております。ご興味がございましたら是非ともご応募ください。
関連情報
過去のイベント開催記事
– AWS Autotech Forum 2019
– AWS Autotech Forum 2020 #1
– AWS Autotech Forum 2020 #2