Amazon Web Services ブログ

新機能 – Amazon QuickSightへの機械学習(ML)によるインサイト機能をプレビューで提供

Amazon QuickSightは、高速で、クラウドを活用したBIサービスであり、機能リッチでインタラクティブなダッシュボードを活用することで組織の中の誰もがビジネス・インサイト(Insight – 知見)を得ることができます。Pay-per-session(セッション単位)の料金ダッシュボードの埋め込み(embed)機能により、BIをより誰もが、かつ高い費用対効果でアクセスできるようにしてきました。

しかし、お客様のデータは日々増え続けているため、データをビジネス・インサイトに活用することはより難しくなりつつあります。こういう時こそ機械学習(Machine Learning : ML)の出番でしょう。Amazonは機械学習を利用した自動化や大規模対応のパイオニアであり、ビジネスアナリシスを、サプライチェーン、マーケティング、リテール、ファイナンス等で利用しています。

AWSはこれらAmazonでの多様な機械学習の機能をサービスとしてお客様に提供しています。本日、Amazon内の利用で実績を積んできた3つの新機能をQuickSightに追加し、可視化するだけでなく、機械学習によるインサイト(知見)を得られるようになることを発表いたします:

  1. MLによる異常検知:10億ポイント以上のデータを継続的に分析することで異常を自動検知し、隠れていたインサイトを提供
  2. MLによる予測:ポイント&クリックのシンプルな操作で、予測と、what-if分析を提供
  3. 自動ナラティブ:ダッシュボード上に分かりやすい説明文を表示し、お客様がデータを理解する事をサポートする

MLによる異常検知 (Anomaly detection)

現在、ビジネス・パフォーマンスの可視化やレポーティングについては、十分なツールが存在します。しかし、本当に必要なインサイトは多くのデータの中に埋もれてしまっていることがあります。これらのインサイトはレポートやダッシュボードからは見つかりづらく、数日後もしくは数週間後になってからようやく理解するといったことが発生しています。データボリュームは増え続けていますので、スライス&ダイスやピボット表のような手動での分析手法は時間がかかりすぎますし、スケールしない方法です。結果として、ユーザはデータ全体像を見るのではなく、一部のサブセットに絞ることで現実的な時間におさめています。

QuickSightユーザはAmazonで実績があるテクノロジーを使用して、数百万のメトリクス、数十億のデータポイントに対して継続的にMLによる異常検知を実行することができ、限定的な範囲への手動分析では発見しづらい、もしくは一般的な可視化では埋もれてしまって見つけづらい深い分析を実現します。異常(異常値)が発見されると、QuickSightはタイムリーにEメールでアラートを送信し、その異常値を構成するトップ要素(例えばトータルの値が大きく変化した際、どの値がそれに最も影響しているかという事)を示します。この機能を使う上では、マニュアルの分析や、追加開発、ML領域のエキスパートは不要です。

例えば、あなたは色々な地域にまたがって製品を販売するビジネスを担当しているとしましょう。QuickSightのMLアルゴリズムは継続的にあなたの履歴データのパターンを詳細なレベルで学習し続け、特定の顧客や特定の都市でセールスの値が予想より大きいもしくは小さい値(異常値)になった場合、あなたに通知します。

私達はPay-per-session料金(Enterprise EditionのReader料金)という利用量ベースのBI料金モデルを提供しています。これと同様に、MLによる異常検知の料金モデルも利用料ベースです。すなわち一ヶ月にどれだけのメトリクスが分析処理されたかによります。より詳細な料金や例についてはこちらをご覧ください。(訳注:現時点では日本語版の料金ページにはML関連の費用は掲載されていないため、英語にしてご確認ください)

*注: Preview中は本機能への費用は発生しません。GA(一般提供)開始時より費用が発生します。

MLによる予測

私達は、お客様が一般的な予測のタスクを実施されているものの、それが大変な重荷であったり、もしくはしばしば多くのビジネスユーザにその情報が届いていないという共通の課題を伺ってきました。例えば、あなたが営業マネージャである場合、このままいくと年末までに売上のゴールが達成できるかであるとか、もしくはこの先二週間以内に大きいビジネスディールをクローズすることが年間達成率にどこまで影響があるかといった事を知りたいと思うでしょう。多くの場合ビジネス予測は面倒な手作業で行われており、エラーが起きがちで、表計算ソフトベースのスケールしない方法で実施されています。こういった領域こそMLの技術によりシンプル化を実現できます。

QuickSightのMLによる予測機能とwhat-if分析により、テクニカルな知識を持たないユーザであっても数クリックで簡単に予測を実施することができます。MLのエキスパートや表計算ソフト上でのデータモデリングは不要です。QuickSightのビルトインMLアルゴリズムは、複雑でリアルなシナリオをハンドリングするようにデザインされています。QuickSightはMLを活用して、旧来の手法よりも信頼性の高い予測を実現しています。

例えば、複数レベルの変動性(例:売上の週間トレンドと四半期トレンド)を基に売上を予測することが可能です。自動的に例外値(例:キャンペーンや価格引き下げで一時的に急激な売上上昇があった場合)を省いて予測を実行します。また、期間の途中にデータの欠落がある場合でも自動的にQuickSightがハンドリングするため、ユーザ側でデータを埋める必要はありません。加えて、what-if分析が可能です。これは、予測の数字をユーザが操作することで、例えば年末までのビジネスゴールを達成するには、どの程度の売上向上があれば良いか等を試すことができる機能です。

自動ナラティブ

これまでBIでこういった経験をされてきたと思います – ダッシュボードを開き、データを眺め、精査し、チャートをドリルダウンし、表の行と列の意味を解読。データが何を言わんとしているかの把握に努め、同僚と自分の理解が正しいかについてディスカッションをする…といった具合です。企業がBIの利用を促進し、色々なアスペクト(視点)でのレポートでビジネス分析をするようになると、状況はよりいっそう悪化していきます。

新機能の自動ナラティブ(Auto-narratives)は、キーとなるインサイトを日常的な言葉で表現(ナラティブ)し、ダッシュボード上に埋め込まれた形で見ることができます。これにより分析を理解するために必要な時間を短縮することが可能です。自動ナラティブを利用すると、QuickSightがあなたのチャートや表を分かりやすい文章に翻訳し、推奨されたインサイトを提示してくれます。お持ちのデータによりますが、例えば日々こういったデータ変動があったとか、最も高い売上を出した日はいつかとか、増加率がどれぐらいで、今後一週間の予測がどうなるかといったようなサジェストが提示されます。あなたがダッシュボードの作者(Author)である場合、どういった計算をもとにメッセージを表示するか、状況を説明する上で効果的な文章にするかといった事がカスタマイズ可能です。(訳注:現時点では、カスタマイズしない場合のデフォルトのナラティブは英文で表示されますが、これは日本語の文章にカスタマイズ可能です。また、デフォルトのナラティブについても今後日本語化対応をしていく予定です。)

プレビューサインアップ本日より受付中!

ML(機械学習)によるインサイトは、本日よりプレビューが開始になります。利用するためにMLやドメインの 専門知識は必要ありません。こちらから簡単にプレビューのサインアップが可能です。


著者について

Luis Wang はAmazon QuickSightのプリンシパルプロダクトマネージャです。 AWSでは6年以上のキャリアがあり、EC2等様々なサービスに従事し、QuickSightはローンチ当初から担当しています。 彼は、機械学習(AI)アプリケーションをQuickSight上のビジネスインテリジェンス(BI)に取り込むことに現在フォーカスしています。休暇にはランニングをし、シチュエーションコメディを家族といっしょに楽しんでいます。

 

 

 


翻訳:下佐粉 昭 (@simosako)

原文:https://thinkwithwp.com/jp/blogs/big-data/amazon-quicksight-announces-ml-insights-in-preview/