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AWS Executive Insights

エージェンティック AI の活用: データを成果に変換する

AWS Executives in Residence である Tom Soderstrom と Miriam McLemore の対談

このエピソードでは...

組織が圧倒的な量のデータを実用的なビジネス成果に変換する方法を AWS Executives in Residence である Tom SoderstromMiriam McLemore が明らかにする中で、エージェンティック AI が持つ変革的な力を探っていきます。AWS のエキスパートが、NASA のジェット推進研究所と Coca-Cola でデジタルトランスフォーメーションを先導してきたそれぞれの豊富な経験を活かして、データ麻痺の克服、組織的サイロの解消、実験文化の導入に関する実践的なインサイトを共有します。このエピソードでは、生成 AI とエージェンティック AI の時代における構造化データと非構造化データの交差をナビゲートするビジネスリーダーと IT リーダーのために、Formula 1 がデータインサイトを徹底して優先する方法や、NASA のグローバルなデータ共有戦略など、実際のデータ活用の成功事例と必須となるガイダンスを提供します。

会話の文字起こし

出演: AWS Executives in Residence である Tom Soderstrom と Miriam McLemore

Tom Soderstrom:
世界中のお客様から得たインサイトについて話し合う Executive Insights ポッドキャストへようこそ。私は Enterprise Strategist の Tom Soderstrom です。ご一緒いただくのは...

Miriam McLemore:
Miriam McLemore です。私も Enterprise Strategist です。

Tom Soderstrom:
私たちは、各々の会社や機関で変革を先導してきたグループのメンバーです。Miriam は...

Miriam McLemore:
Coca-Cola です。

Tom Soderstrom:
...Coca-Cola で見事な実績を残し、私は NASA のジェット推進研究所で変革を先導しました。

Miriam McLemore:
NASA なんて何てことないって感じですね。

Tom Soderstrom:
クラウド関連ってことだけですかね。このエピソードをご覧いただければ、何か得られるものがあるかと思います。特にあなたがビジネスリーダーや IT 担当者で、膨大な量のデータを抱えた今後について心配している、または組織内で昇進を目指す中で、現在最も重要視されているもの、つまりデータと、その活用方法に取り組んでいるならなおさらです。Gartner の調査によると、ほとんどの人がデータのインサイトに満足していないとのことです。

Tom Soderstrom:
私がエグゼクティブリーダーに質問するときは、「データについてどう思いますか」とたずねます。すると、「データが組織にとって欠かせないものであることは直感的に理解していますが、私の手に負えなくなっています。どうしたらいいかわかりません。どれくらいの金額を費やせばいいでしょうか? どれくらい費やせるのでしょう? どうすればよいでしょう?」と言われます。 または、「これだけ多くのデータがありますが、知っているものもあれば、知らないものもあります。データを収益化できますか?」 または、「私のデータの品質は十分ですか? データが完璧になるのを待つべきですか?」 または、「データはどれくらい増加しているのですか?」といった具合です。 どれだけ増加しているのかは、後ほどお話しします。非常に天文学的な規模です。あなたのお客様からはどういったことを聞いていますか?

Miriam McLemore:
お客様側で見られる問題は、これまで構造化データに頼ってきたということです。構造化データならテーブル内に収まったからです。計算できたからです。ダッシュボードに確実かつ正確に入力できたからです。しかし、成長し続ける巨大な非構造化データの世界があり、お客様はこれにアクセスしたいと考えています。エージェンティックの世界は、非構造化データを活用し、構造化データと統合する可能性を提供しますが、これらはビジネスリーダーにとって新しい指標です。これは、組織、活動する場、推進できる機会や成果を評価するための新しい方法です。お客様からたずねられる質問は、「どこから始めればよいでしょう? 対応しきれません。構造化データがたくさんあります。非構造化データもたくさんあります。どこから始めればよいのですか?」といったものです。

Tom Soderstrom:
ええ、彼らは身動きが取れなくなっています。

Miriam McLemore:
そうですね。

Tom Soderstrom:
データに関する実際の見解をいくつか引用しようと思います。

Miriam McLemore:
いいですね。

Tom Soderstrom:
私は、AWS でデータを担当する Mai-Lan Tomsen Bukovec とポッドキャストで対談しました。

Miriam McLemore:
そうでしたね。

Tom Soderstrom:
彼女は、AWS の主要データソースである S3 に関する興味深い統計をいくつか教えてくれました。S3 には 100 万個のデータレイクがあり、1 兆個のオブジェクトを格納し、数エクサバイトもの容量があります。1 秒あたりの平均リクエスト数は 1 億 5,000 万件です。何千ものお客様が 1 ペタバイトを超えるデータを格納しており、1 エクサバイトを超えるデータを格納しているお客様もいます。企業幹部にとっては、「見てください、こんなに所有しているんですよ」というエキサイティングな状態です。 しかし、IT 担当者にとっては「どうやって管理するの?」という恐怖でしかありません。 データの増加ですね ... あなたが上手く表現してくださいましたが、どこから始めればよいのか、ですね。 とりあえず始めることです。10% が構造化されており、残りは非構造です。エージェンティック AI生成 AI では、これを利用できます。これが今回お話しする事柄だと思います。取り組んでいく上での成功と失敗についてですね。

Miriam McLemore:
Tom さん、興味深いことなのですが、少なくとも私が把握しているのは、金融サービス、保険、そして一部ではヘルスケアが他よりも早く行動を起こしているということです。データがクリーンである必要があったからです。これらのセクターでは、データの正確性と整合性に多くの時間を費やしてきました。他の組織にはデータ内に多くのデータサイロと不整合性が存在します。なので、この新しいテクノロジーを活用するには、データクレンジングやデータガバナンスを導入する必要があります。

Tom Soderstrom:
そうですね。私が耳にしていることとよく似ています。私たちはどちらも、世界中のお客様、大規模なお客様、そして厳しい規制の対象となるお客様に対応しており、それをデメリットとして見ていますが、そうではありません。メリットなのです。こうしたお客様はデータの対処方法をすでに知っているからです。私がキャリアを積んできた公共部門では、それを確実に理解しています。これを間違った方法で行ったお客様と、正しい方法で行い、学びを得ることができるお客様について話すだけにしようかと思っていたのですが、実際のお客様の例を、名前を挙げて取り上げるとよいかもしれませんね。

Miriam McLemore:
いいですね。

Tom Soderstrom:
そうましょうか?

Miriam McLemore:
やりましょう。

Tom Soderstrom:
わかりました。失敗する組織では、過剰な摩擦が生じています。私はこういった状況を何度も見ています。データを所有している人...いわゆる「データ所有者」は、データを共有したくありません。

Miriam McLemore:
ええ。

Tom Soderstrom:
データが欲しければ、フォームに記入してくれってことですね。実際に、2~3 フォームになります。すべての人にデータを使ってもらいたい、この場合の答は何でしょう? 形勢の逆転です。

Miriam McLemore:
はい。

Tom Soderstrom:
データを保護する必要があれば、フォームに記入します。簡単にできることです。例えば、ある大規模な宇宙機関では、宇宙船のアップリンクコマンドの保護に費やす金額と同額の金額をカフェテリアメニューの保護に費やしていることがわかりました。こうしたことは、調べて確認するまではわからないものです。

Miriam McLemore:
すばらしいですね。私たちはデータが力である世界にいたので、データを所有しているならデータの管理も担うことになります。私が関わっていた部門でもそうでした。財務データを見ることができるのは財務部門の人だけで、科学データを見ることができるのは科学部門の人だけでした。データ共有は安全ではないというのが組織内の文化となっていたため、こうしたサイロが自ずと固定化されていました。この形勢を逆転させて、価値について話すというこのコンセプトはすばらしいと思います。データは組織の資産であり、部門の資産ではありません。

Tom Soderstrom:
そのとおりです。組織的なデータメッシュを作り出すことについて話したことがありますが、これはつまるところインセンティブに関するもので、データを使いたい、本当に使いたいと思っている人たちに関するものです。

Miriam McLemore:
ええ。

Tom Soderstrom:
データを生成する側は、人々にデータを使ってもらいたいのです。なのに、どうしてこれを実現できないのでしょう? 両者の中間に、これを実現させ、インセンティブ化する人物が必要なのです。摩擦を取り除くということです。

Miriam McLemore:
データガバナンスが摩擦になることもありますね。

Tom Soderstrom:
はい。

Miriam McLemore:
これは、正しい方法で行う必要もあります。私もあなたと同じ考えで、データ生産者とデータ消費者が存在しますが、その中間に、データを管理して制御する能力、適切なセキュリティ、ID とアクセスの適切な管理制御が必要です。これらのすべてが絶対的に重要なのです。誰もがデータを好き勝手に使えるようにする必要があると言っているのではありません。

Tom Soderstrom:
そのとおりです。

Miriam McLemore:
成果を上げるには、インサイトをまとめる必要があると言っているのです。興味深いことなのですが、つい最近、Formula 1 イベントに参加するという絶好の機会に恵まれました。

Formula 1 は、チームとして、ドライバーとして、そして F1 組織全体としてデータドリブンであることのすばらしい模範です。私が彼らについてすばらしいと感じたのは、その基本理念です。これは、多くの組織が採用できるものだと確信していますが、車や画面に何も追加しないということです。センサーやデータインサイトも追加しません。これらは、ミリ秒単位のほんの一瞬で行う必要がある判断だからです。彼らは、どのインサイトが重要か、何が実際にビジネス成果を上げるのかを徹底的に優先します。言うまでもなく、Formula 1 ではスピードが重要だからです。

Tom Soderstrom:
そうですね。あなたの経験でも同じだと思いますが、実際に今年私が話をした経営幹部全員の中でも、一番の優先事項はスピードです。

Miriam McLemore:
そうでしょうね。

Tom Soderstrom:
市場投入までのスピード、利益拡大へのスピード、コンプライアンスへのスピード、スキル獲得までのスピード。データはそれらすべてに役立ちます。実にエキサイティングな時代です。企業が間違いを犯しているもう 1 つの点は、完璧になろうとしていることです。Formula 1 の例のように、理論的に考えるだけで試してみたことがなければ、知る由もないでしょう。ビジネスユースケースから始めて、それを何度も繰り返して試し、最初のバージョンが最悪かつ最も高額になることを見越していれば、その先に進むことができます。データは実際にこうしたその他すべての事柄を可能にします。エージェンティックについてはこの後すぐにお話しします。

Miriam McLemore:
ええ、でも実験の文化という重要点については話しておきたいと思います。なぜなら、私たちが積極的により多くのデータの統合に取り組むとき、組織には、私たちが学び、それらの改善点を取り入れることを可能にする文化が必要になるからです。それを実行するのがエージェンティックです。これらのエージェントは自己改善するエージェントです。エージェントは、それまでの道のりを認識し、もっと良い道があるかどうかを学び始めます。 組織内にもそのような文化が必要なのです。

Tom Soderstrom:
そうですね。インセンティブの話に戻りましょう。まさに私が望んでいたことですが、逆算して考えたらどうでしょう。 望んでいる最終的な結果は何か? どうすればそれを達成できるのか、データはどのように役立つのか? Lonely Planet は、ペタバイト規模の自社データを整理しました。その際、生成 AI を使用して、この仮想旅行代理店を考案しました。

Miriam McLemore:
はい。

Tom Soderstrom:
フィンランド企業である Kone Elevators には、何 10 万台ものエレベーターがあります。担当者が修理のために現場に赴くときは、すべての情報を手元で利用できます。これらすべての例を通して見えてくることの 1 つは、すべてがデータであるということだと思います。コードはデータです。Amazon は Java のすべてを変更し、アップグレードしました。つまらなそうですよね。高い費用もかかります。生成 AI とエージェントを使用し、CODIS データを処理することで、3,500 日分の作業を削減し、2 億 5,000 万 USD を節約しました。新しい魅力的な世界です。エージェンティックに関する、あなたのお気に入りの例は何ですか?

Miriam McLemore:
そうですね、実はあなたが先ほど話した Lonely Planet の例が好きです。よく旅行するからかもしれません。Lonely Planet が行ったことは、旅行者のニーズを極めて明確にすることです。旅行者が旅行代理店に求めているものは何か? どのような支援を求めているのか? どこに泊まる? どこで食べる? 人生をシンプルにする方法は? この国で Uber に相当するものは? 旅行を支援し、シンプルにして、データを使用する。これが、Lonely Planet の例で私がすばらしいと思っている点の 1 つです。

Tom Soderstrom:
私がとても好きなもう 1 つの例は、NASA のデータが AWS Data Exchange で利用可能になったことです。誰もが NASA のデータにアクセスできるので、オーストラリアの洪水やアフリカの干ばつの予測に役立てることができるようになりました。シドニー大学の教授は、ゲノムデータのすべてを Open Data Exchange に追加し、スウェーデンの研究者はコアラを助ける方法を解明しました。実に世界的な…

Miriam McLemore:
すばらしいですね。

Tom Soderstrom:
...支援なのです。これを管理することになる将来のリーダーにアドバイスをするなら、どうしますか? 何を伝えますか?

Miriam McLemore:
そうですね。私は、データの専門家として行動する役割を担ってきました。グローバル企業で働いていたので、常にデータをまとめようとしていましたが、それは報告を目的としたものでした。 財務的な観点から、一貫した報告を行う必要があったからです。それなりに良い理由でしたが、ビジネスを推進することにはなりませんでした。今日私が新しいリーダーたちに勧めたいのは、何を達成しようとしているのか、推進しようとしているビジネスニーズは何かという点から始めるということです。 F1 について話しましたが、以前と比較したピットストップタイムの短縮があります。1950 年台は 67 秒だったかと思いますが、今ではピットストップを 1.8 秒で完了できるようになりました。

Tom Soderstrom:
すごいですね。

Miriam McLemore:
何でも実現できるのです。重要ではないものをすべて取り除き、重要なものだけに集中して、ミリ秒単位まで調整するということなのです。これを企業内で実行するにはどうすればよいでしょうか。 リーダーたちが、ビジネス成果を上げ、絶え間なく改善するように感化されていることです。すばらしい世界だと思います。

Tom Soderstrom:
本当にエキサイティングな世界です。

Miriam McLemore:
リーダーとなるにはね。

Tom Soderstrom:
おっしゃったことに心から同意します。重要なことに集中するということですね。これはデータにも当てはまります。心配しないでください。使えるデータを使ってこうした成果を生み出すだけです。逆算して考え、集中すれば、あとは上手くいきます。これらの将来のリーダーたちは、常に結果を出す必要があります。これは、実験の文化と反復することから実現できます。データの主導権を握っていると感じているデータ所有者がいれば、それを活かしてこれらの新しい生成 AI やエージェンティックの結果を生み出していただきたいと思います。ビジネス成果を出すのです。

Miriam McLemore:
はい。あなたが指摘したリーダーシップについて言えば、トップから始めて、リーダーの関与を確保する必要がありますが、ボトムアップでスキルを向上させて、統合されたチームとして中間点で歩み寄る必要もあります。

Tom Soderstrom:
ありがとうございました。今日もまた学ぶことができました。感謝しています。

Miriam McLemore:
Tomさん、あなたとの会話はいつも本当に楽しいです。

Tom Soderstrom:
ありがとうございます。

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私たちが積極的により多くのデータの統合に取り組むとき、組織には、私たちが学び、それらの改善点を取り入れることを可能にする文化が必要になります。それを実行するのがエージェンティックです。これらのエージェントは自己改善するエージェントです。エージェントは、それまでの道のりを認識し、もっと良い道があるかどうかを学び始めます。

AWS Executive in Residence、Miriam McLemore

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