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リモート MCP サーバーを AWS で構築!ハンズオンワークショップ開催レポート

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS ジャパン)は、AWS Startup Loft Tokyo(目黒)にて2025年11月25日、リモート MCP(Model Context Protocol)サーバーのホスティングに関するハンズオンワークショップを開催しました。スタートアップから大手企業まで、幅広い業界から45名の開発者の皆様にご参加いただき、Amazon Bedrock AgentCore RuntimeAmazon Bedrock AgentCore Gateway を活用した実践的なリモート MCP サーバー構築を体験していただきました。

背景:リモート MCP サーバーへの注目の高まり

MCP(Model Context Protocol)は、AI エージェントとツールを接続する標準プロトコルとして急速に進化しています。従来はローカル MCP サーバーが主流でしたが、エンタープライズやチーム開発のニーズにより、ローカルサーバー管理が不要なリモート MCP の普及も急速に進んでいます。

スタートアップのお客様の中でも、リモート MCP サーバーの本番環境での実装ニーズは高まっています。実際に、AWS ジャパンのスタートアップソリューションアーキテクトが普段のお客様との会話においても、同ニーズについて耳にすることが増えていました。

2025年後半に Claude Code や Amazon Q Developer CLI(現 Kiro CLI)などのコーディングエージェントがリモート MCP への接続のサポートを開始したことで、より世間でのリモートMCP利用が広まるとともに、適切な認証・スケーラビリティ・セキュリティを備えたリモートMCPサーバーをクラウド上にホスティングするための実践的なガイダンスの需要も高まってきていました。

こうした背景を受けて、AWS ジャパンスタートアップ事業本部は、Amazon Bedrock AgentCoreを中心とした AWS マネージドサービスを活用しながら、リモートMCPサーバーをAWS上に構築・デプロイする方法を実践的に学ぶ機会をお客様に提供するため、本イベントを企画しました。

座学「MCP の概要と AWS 上でのMCPサーバーのホスティング」

イベントは、AWS Startup Solutions Architect の冨山英佑による座学セッションからスタートしました。

まず、AI エージェントの基礎として、環境にアクションしてフィードバックを得ながらタスクを達成する仕組みと、その基礎となる Tool Use(Function Calling)の仕組みについて解説しました。

次に、エージェントとツールを接続する共通規格であるMCP(Model Context Protocol)の基礎について説明しました。MCPがあることで、エージェント利用者は好きなツールを繋いで使え、開発者はツールの再発明を防ぎ、ツール開発者は様々なエージェントから自らのツールをアクセス可能にできます。

さらに、ユーザーが自身の環境にインストールする「ローカル MCP」と、ホスティングされたサーバーを遠隔で使用する「リモート MCP」の2種について、通信方式や認証認可の観点から比較しました。また、MCPサーバー上での効果的なツール設計の方補についても言及しました。

最後に、AWS 上での MCP サーバーホスティングオプションとして、従来のサービス(EC2、ECS+Fargate、Lambda)に加え、以下のような新しいサービスが選択肢に加わり、これらによってリモートMCPサーバー開発を加速できることを紹介しました:

  • AgentCore Runtime: エージェントや MCP サーバーに特化したランタイム。ゼロから数百の同時セッションまで自動スケーリング
  • AgentCore Gateway: AWS Lambda 関数や HTTP API をマネージドに MCP 化するサービス。既存のリソースをエージェント対応ツールに変換

ハンズオン:MCP サーバー構築の実践

座学で理論を学んだ後は、実際に手を動かすハンズオンセッションに移りました。参加者の皆様には、3つのコアモジュールに取り組んでいただきました。

Module 1 – AgentCore Runtime でのデプロイ

最初のモジュールでは、シンプルな MCP サーバーを3つのツールで作成し、Docker でコンテナ化して AgentCore Runtime にデプロイしました。Amazon Cognito による OAuth 認証を実装することで、セキュアな MCP サーバーの構築方法を体験していただきました。

ハンズオンマテリアル: Hosting MCP Server on AgentCore Runtime

Module 2 – Lambda を MCP ツールに変換

次のモジュールでは、既存の AWS Lambda 関数を AgentCore Gateway 経由で MCP ツールに変換する方法を学びました。OAuth インバウンド認証と IAM アウトバウンド認証を設定することで、既存の Lambda 関数を AI エージェントからアクセス可能にする方法をご紹介しました。

ハンズオンマテリアル: Transform Lambda into MCP Tools

Module 3 – OpenAPI 仕様から MCP ツールを生成

3つ目のモジュールでは、OpenAPI 仕様を MCP ツールに変換する方法を実践しました。NASA の提供する API を例として使用しながら、AgentCore Identity を使用した API キー管理によって外部 API を MCP ツールとして公開する方法を体験していただきました。

ハンズオンマテリアル: Transform OpenAPI into MCP Tools

ハンズオン中には AWS Solutions Architect のスタッフが常時サポートに入り、技術的な疑問や実装上の課題について個別にアドバイスを提供しました。

おわりに

本ワークショップでは、リモート MCP サーバーの構築方法を基礎から体系的に学び、ハンズオンを通して実践的なスキルを習得する機会を提供しました。

イベント後のアンケートでは、70%以上の参加者の皆様からワークショップの内容を理解したと回答をいただき、半数以上が組織での MCP サーバー開発を検討中とのことでした。具体的なユースケースとして、製造データ分析、Web アクセシビリティ、社内情報アクセス、開発ドキュメントへのアクセスなど、多様な活用方法が検討されています。

参加者からは、以下のような嬉しいフィードバックをいただきました:

「普段触る機会がない新しい技術に触れられてよかったです。こういう機会はどんどん活用していきたいと考えております。」

「非常に有意義でした。このようなハンズオンセミナーが増えることを期待してます。よろしくお願いします」

「テンポよく、スタッフによるリカバリーも迅速に進んでいた 応用的な内容も追加で学べるコンテンツを用意してもらい、満足感が高いです。」

「資料も内容もちょうど良いレベル感でした」

「手が止まったとき、AWSの担当の方がフォローしてくれた。」

AWS では、スタートアップ・エンタープライズの皆様の AI 活用を支援するため、今後も継続的に技術ワークショップを開催してまいります。