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SIOSを使用してAWS上のクリティカルコアを保護
SIOSを使用してAWS上のSAPクリティカルコアを保護
お客様の課題
エンタープライズのお客様は、複数のアプリケーションに対して高可用性システムを提供する必要があるかもしれません。これらのアプリケーションはそれぞれサポートしているオペレーティングシステムやデータベースが異なる場合があり、それによってHAの選択肢が決まってきます。結果として、お客様は複数のHAソリューションを維持し続けることになり、非常に複雑かつコストがかかってきます。
Microsoft SQL Server、Oracle、IBM Db2、SAP HANA、MaxDBといったデータベースを考えてみてください。これらのデータベースはそれぞれ異なる高可用性方式を必要とし、データベースを適切に実装および保守するには時間とリソースを投資する必要があります。
このブログでは、この複雑さを最小限に抑えるためにSIOS Protection Suiteが提供する柔軟性について説明します。
SIOSの紹介
AWSは、2014年からサイオステクノロジーと連携しています。サイオステクノロジーは、APNテクノロジーパートナーであり、APNマイクロソフトワークロードコンピテンシーも保持しています。
SIOS Protection Suite Softwareは、すぐに使えるSAP認定の高可用性ソリューションで、以下の緊密な統合された組み合わせを提供します。
- フェイルオーバークラスタリング
- 継続的なアプリケーション監視
- 効率的なブロックレベルのデータレプリケーション
SIOS Protection Suiteは、インフラストラクチャのスタック全体を監視し、SAP S/4HANA、SAP HANA、SAP Central Services、および様々なインフラストラクチャサービスを含むビジネスクリティカルなアプリケーション向けに高度に自動化された構成とフェイルオーバーのオーケストレーションを実現するアプリケーション固有のリカバリーキットを含みます。 SIOSクラスターは、仮想、物理、プライベートデータセンター、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)、あるいは後者二つのハイブリッド形式での任意の構成 (または組み合わせ)でアプリケーションを保護するための柔軟性も提供します。
SIOS Protection Suiteの最新版では、構成を自動化し、ユーザー入力を検証し、アプリケーションの監視を提供し、フェイルオーバープロセス全体でアプリケーションのベストプラクティスに自動的に準拠したフェイルオーバーができるインテリジェントなSAPアプリケーション向け可用性ツールとユーティリティを含んでいます。
SIOSが提供するもの
SIOSは、SAP S/4HANA向けにSAP認定の可用性を提供し、SAP HANA、Oracle、Microsoft SQL Serverを含むSAPで使用可能な主要なデータベースをすべてサポートしています。さらに、HA構成で使用されるEnqueue Replication ServerといったSAP NetWeaverアプリケーションサーバーコンポーネントもサポートしています。
SIOS Protection Suite for Linuxには、3つの主要コンポーネントがあります。
- SIOS LifeKeeperは、すべてのクラスターリソースを管理および監視し、必要に応じてスイッチオーバーまたは自動フェイルオーバーをオーケストレーションするソフトウェア
- SIOS DataKeeperは、お客様がSAN-lessのクラスタリング構成で異なるクラスターノードでローカルストレージを同期するために、ホストベースでのブロックレベルのレプリケーションを提供
- SIOS Application Recovery Kits (ARKs)は、SAP HANAおよびその他の様々なアプリケーションやインフラストラクチャコンポーネント、クラウドプラットフォーム向けにアプリケーション固有のインテリジェンスと自動化を提供
HAの選択肢には何がありますか?
新しいSAP HANA Application Recovery Kitに合わせてこのブログを書き始めたので、SUSEとRed Hat Enterprise LinuxでSIOSを使用するときの選択肢をみていきましょう。これらのオペレーティングシステムでは、SIOSは以下の図で示すように完全なSAPのスタックをサポートします。このシナリオでは、SIOSは、SAP S/4HANAのアプリケーション部分とデータベースレベルでSAP HANA System Replication (HSR)を管理します。
SIOS Protection Suite for Linux 9.4.0以降でSAP Enqueue Replication Server V1とV2の両方をサポートしていることも重要な点です。以下の図は、一般的にENSA2とも呼ばれる、ERS V2の代表的なHAシナリオを示しています。
以下のように構成された3ノードクラスター:
- ノード1で稼働するSAP ABAP Central Services (ASCS)インスタンス
- ノード2で稼働するSAP Enqueue Replication Server (ERS)
- ロックテーブルのレプリケーションは同期で実行
プロセスの流れ:
- ノード1に障害が発生
- LifeKeeperがノード3でASCSインスタンスを起動
- ENSAv2プロセスは接続要求をERSv2プロセスに送信し、ネットワーク経由でロックテーブルのバックアップを取得
- ENSAv2がロックテーブルを再構築したら、接続要求をERSv2プロセスに送信し、ロックテーブルのレプリケーションを再開
- ノード2に障害が発生
- LifeKeeperがノード3でERSv2インスタンスを起動し、ロックテーブルのレプリケーションを再開。この時点では、クラスターノード間でロックテーブルの冗長性はありません。障害が発生した2つのノードのいずれかがオンラインに戻るまで、クラスターはこの状態を維持
- ノード2がオンラインに復帰
- LifeKeeperがノード2にERSv2を自動的に再配置し、ロックテーブルのレプリケーションを再開
SAP MaxDB
SIOSは、SIOS Protection Suite for Linux (SPS-L)の一部としてSAPのMaxDBデータベースもサポートしています。SIOS MaxDB ARK (SAP DB Recovery Kitと呼ばれるときもあります)は、Linux環境のMaxDBデータベースに障害回復力のある保護のメカニズムを提供します。
ここでのアプローチは、MaxDBソフトウェア、SIOS Protection Suiteソフトウェア、MaxDB Recovery Kitを使用して、それらをクラスター内の2つ以上のサーバーにインストールすることです。MaxDBデータベースインスタンスがSIOS Protection Suiteの保護下に入ると、クライアントはSPS-Lで保護されたIPアドレスを使用してデータベースに接続します。SPS-Lで保護されたIPアドレスは、一般に個別で作成し、親のMaxDBリソースインスタンスと子のIPアドレスリソースの間で依存関係を作成します。MaxDBサーバーに障害が発生した場合、SPS-L (MaxDB Recovery Kitと組み合わせ)は、始めにローカルサーバー上で復旧を試みます。もしローカルでの復旧に失敗したら、SPS-Lは、クラスタ内で次に使用可能なノードにフェイルオーバーします。
Oracle Linux
オラクル顧客にとって特に興味深い他のLinuxの話題に移すと、Oracle Enterprise Linuxがあります。SIOSはこのディストリビューションもサポートしており、Oracle Database Standard EditionとEnterprise Editionの両方もサポートしているため、お客様のニーズに最適なディストリビューションを柔軟に選択できます。
Microsoft SQL server
最後になりますが、SIOSは、SIOS DataKeeper Cluster Edtionを介したMicrosoft SQL Serverも完全にサポートしており、Windowsユーザーにも役立ちます。DataKeeperをMicrosoft SQL Server Standard Editionと一緒に使用することで、よりコストのかかるMicrosoft SQL Server Enterprise EditionやAlwaysOn可用性グループを必要とせずに、SAN-lessのHAクラスタリング環境を作成できます。
自動化
SIOS Protection Suite for LinuxのAmazon EC2への展開は、部分的に自動化されたプロセスになることがあります。例えば、主要なSIOS Protection SuiteのソフトウェアをAWSクイックスタートを使用してAmazon EC2に展開できます。
このクイックスタートでは、AWS CloudFormationテンプレートを使用して、2つのアベイラビリティーゾーンにまたがる単一のAWSリージョンのAmazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC)内にSIOS Protection Suiteを展開します。主要なSIOS Protection Suiteのソフトウェアに加えて、Amazon VPC、パブリックサブネットとプライベートサブネット、AZ全体のセキュリティグループ、インターネットゲートウェイなど、様々な側面での展開を自動化します。
追加のARKを使用して、保護環境の構成を自動化できます。これらのARKはSIOS Protection Suiteに含まれており、個々の環境のニーズに合わせて選択、個別にインストール、開始することができます。それぞれの環境で保護が必要なリソースの種類も異なる可能性があるため、必要とする特定のARKもランドスケープ毎に異なってきます。ARKはモジュール式で、相互に完全互換性があるよう設計されているため、それぞれの環境に合わせて構成をカスタマイズできます。異なる要素には、オペレーティングシステムとデータベースが含まれることもあります。ウィザードベースのGUIでいくつかのオプションを選択した後、ARKを自動的に展開し、必要なリソースの保護設定を行います。
結論
既にSAPワークロードをAWS上で稼働している場合、またはAWSに移行することを検討していて、異機種環境で高可用性ソリューションを管理する必要があるのであれば、SIOSが提供するソリューションを検討する価値があります。管理手順を簡素化し、チームに必要なスキルセットを整理して、コストを削減できます。
SIOSのAWSオファリングは、私たちのマーケットプレイスのSIOSから見つけることができます。
翻訳はPartner SA 河原が担当しました。原文はこちらです。