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インスタンス料金の引き下げと Savings Plans for Amazon SageMaker で機械学習のコストを削減
AWS re:Invent 2017 で提供が開始された Amazon SageMaker は、機械学習 (ML) ワークフローを AWS で迅速に構築およびデプロイできるよう、これまでに既に数万人のお客様を支援してきたフルマネージド型サービスです。
お客様が投資に対して最大限 ML を活用できるようにするため、Managed Spot Training、Multi-Model Endpoints、Amazon Elastic Inference、AWS Inferentia など、コスト最適化のためのサービスと機能を追加してきました。実際、お客様は、3 年間の SageMaker の総所有コスト (TCO) が、セルフマネージドの Amazon EC2 や AWS 管理の Amazon EKS などの他のクラウドベースのオプションに比べて 54% 低いという事実を見出しています。
当社は、費用を削減してお客様を幸せにすることを至上の喜びとしているため、次のことを発表できることを嬉しく思います:
- Amazon SageMaker の CPU および GPU インスタンスの料金の引き下げ
- Amazon SageMaker のための Savings Plans の提供の開始。
Amazon SageMaker でのインスタンス料金の引き下げ
本日より、Amazon SageMaker の複数のインスタンスファミリーの料金を最大 14.2% 引き下げます。
これは、次に適用されます。
- 次のインスタンスファミリー: ml.t2、ml.t3、ml.m4、ml.m5、ml.m5d、ml.c4、ml.c5、ml.c5d、ml.c5n、ml.r5、ml.r5d、ml.g4dn、および ml.inf1。
- すべてのインスタンスベースのワークロード: Notebook インスタンス、Amazon SageMaker Studio インスタンス、Training インスタンス、Batch Transform インスタンス、Real-time Endpoint インスタンス、Amazon SageMaker Data Wrangler インスタンス、Amazon SageMaker Processing インスタンス。
料金についての詳細は、Amazon SageMaker の料金のページでご確認いただけます。
料金の引き下げと同様に、これまでに多くのお客様から、データの準備からモデルトレーニング、モデルのデプロイまで、インスタンス関連のすべてのアクティビティにおいて、SageMaker のコストをシンプルかつ柔軟に最適化できるようにしてほしい旨のお声をいただきました。実際、多くのお客様が既に Savings Plans を利用してコンピューティングコストを最適化しており、Amazon SageMaker のコストについても同じ仕組みを設けてほしい旨のご要望をいただきました。
SageMaker Savings Plans のご紹介
Savings Plans for AWS Compute Services は、お客様のコンピューティングコストを最適化するのにお役立ていただくため、2019 年 11 月に提供が開始されました。1 年または 3 年の期間内において、一定量のコンピューティングパワー (USD/時間で測定) を使用することを確約することで、オンデマンド料金に比べて最大 72% の削減が可能です。セルフサービスの形態で、過去の消費量に基づく推奨事項、使用状況レポート、予算範囲と使用量アラートなど、プランの設定を完全に管理できます。
SageMaker Savings Plans はこれらのステップに従い、次の項目に基づいて ML ワークロードをカバーするプランを作成できます。
- すべての ml.* インスタンスファミリー。
- すべてのインスタンスベースのワークロード: Notebook インスタンス、Amazon SageMaker Studio インスタンス、Training インスタンス、Batch Transform インスタンス、Real-time Endpoint インスタンス、Amazon SageMaker Data Wrangler インスタンス、Amazon SageMaker Processing インスタンス。
Savings Plans は、インスタンスファミリー、インスタンスタイプ、または AWS リージョンを区別しません。これにより、時間の経過に伴うユースケースや利用量の変化にかかわらず、コストの削減を最大化でき、オンデマンド料金と比較して最大 64% 節約できます。
例えば、データセットの一部で異なるアルゴリズムを試すために、スモールインスタンスから始めることができます。その後、データセット全体で大きなインスタンスを使用して、大規模なデータの準備とトレーニングの段階に進むことができます。最後に、モデルを複数の AWS リージョンにデプロイして、ユーザーに低レイテンシーの予測を提供できます。これらすべての活動は、同じ Savings Plan によってカバーされるため、お客様側での管理は不要です。
Savings Plans の推奨事項の理解
Savings Plans は、適切なプランを簡単に見つけるための推奨事項を提供します。これらの推奨事項は、次の項目に基づいています。
- 過去 7 日間、過去 30 日間、または過去 60 日間における SageMaker の使用状況。将来の使用量に鑑みて、最適な期間を選択する必要があります。
- プランの期間: 1 年間または 3 年間。
- お支払い方法: 前払いなし、一部前払い (50% 以上)、またはすべて前払い。この最後のオプションは、SageMaker の請求書の明確かつ予測可能なビューを提供するため、これを好む (または使用する必要がある) お客様もいます。
瞬時に、支出額がどのように最適化されるか、および 1 か月あたりどの程度の節約を開始できるかを確認できます。Savings Plans では、節約額を最大化する時間ごとのコミットメントも提案します。もちろん、別のコミットメントを使用することは完全に自由で、1 時間あたり 0.001 USD という低料金から開始できます!
決断したら、カートにプランを追加して送信し、節約を楽しみましょう。
さて、ここからは簡単なデモを行い、私自身の SageMaker の支出をどのように最適化できるのかを見ていきましょう。
Savings Plans for Amazon SageMaker の推奨
AWS コスト管理コンソールを開くと、左側に Savings Plans のメニューが表示されます。
[Recommendations] (推奨事項) をクリックして、[SageMaker Savings Plans] を選択します。
利用可能なオプションから、Payer (支払者) を選択して、[Organizations] (組織) レベルで、[1-year] (1 年間)、[No upfront] (前払いなし)、および [7 days] (7 日間) の過去の使用量 (SageMaker の使用量を増やしたばかりです) を設定してコストを最適化します。
SageMaker のコストを 20% 削減し、毎月 897.63 USD を節約できることがすぐにわかります。これに必要なのは、1 時間あたり 3.804 USD の 1 年間のコミットメントだけです。
AWS 請求の月額料金は 2,776 USD (3.804 USD * 24 時間 * 365 日 / 12 か月) となり、実際の使用量がコミットメントを超える場合は、追加のオンデマンド費用が加算されます。かなり魅力的で、特に前払いは一切必要ないのが素晴らしいです。
3 年間のプラン (これも前払いはありません) に移行すると、月額 1,790.19 USD を節約でき、1 時間あたり 2.765 USD のコミットメントのおかげで 41% 節約できます。
このプランをそのままカートに追加し、購入を完了することができます。3 年間毎月、2,018 USD (2.765 USD * 24 * 365 / 12) と、追加のオンデマンド費用が課金されます。
先に述べたように、わずか数回のクリックで自分のプランを作成することもできます。その方法を説明します。
Savings Plans for Amazon SageMaker の作成
左側のメニューで、[Purchase Savings Plans] (Savings Plans を購入) をクリックし、[SageMaker Savings Plans] を選択します。
前払いなしで 1 年間のコミットメントを選びます。今後数か月で SageMaker の使用量を少し合理化できることを予想しているため、推奨される 3.804 USD ではなく、1 時間あたり 3 USD のコミットメントにします。その後、プランをカートに追加します。
最適化された月額である 2,190 USD で問題ないことを確認し、注文を送信します。
これで、プランが有効になりました。次回の AWS の請求書ではコストが削減されていることでしょう。Savings Plans コンソールで利用可能な利用状況レポートのおかげで、実際に使用したコミットメントの割合 (%) も確認できます。同様に、カバレッジレポートには、対象となる支出のうち、どの程度がプランでカバーされているかが示されます。
開始方法
CPU および GPU インスタンスの料金の引き下げと SageMaker Savings Plans により、簡単かつ予測可能な方法で SageMaker のコストをさらに最適化できるようになりました。AWS での ML は、かつてないほど費用対効果が高くなりました。
料金の引き下げと SageMaker Savings Plans は、次の AWS リージョンで現在ご利用いただけます。
- アメリカ州: 米国東部 (バージニア北部)、米国東部 (オハイオ)、米国西部 (オレゴン)、米国西部 (北カリフォルニア)、AWS GovCloud (米国西部)、カナダ (中部)、南米 (サンパウロ)。
- 欧州、中東、アフリカ: 欧州 (アイルランド)、欧州 (フランクフルト)、欧州 (ロンドン)、欧州 (パリ)、欧州 (ストックホルム)、欧州 (ミラノ)、アフリカ (ケープタウン)、中東 (バーレーン)。
- アジアパシフィック: アジアパシフィック (シンガポール)、アジアパシフィック (東京)、アジアパシフィック (シドニー)、アジアパシフィック (ソウル)、アジアパシフィック (ムンバイ)、アジアパシフィック (香港)。
ぜひお試しいただき、ご意見をお聞かせください。いつものように、読者の皆様からのフィードバックをお待ちしています。通常の AWS サポートの連絡先に宛てて、または Amazon SageMaker の AWS フォーラムから、ご送信いただけます。