Amazon Web Services ブログ
Amazon Connect と Service Quotas による効果的なコンタクトセンターの拡張
はじめに
Amazon Connect の利用が拡大するにつれ、顧客は効率的にスケーリングを管理し、クォータ(制限)を超過することによるデプロイの失敗やサービスの中断を防ぐために、クォータの可視性が必要になります。Amazon Connect は Service Quotas との統合により、Amazon Connect インスタンスのサービスクォータ管理が改善されています。
Service Quotas は、AWS マネジメントコンソールや AWS Command Line Interface(AWS CLI) を通じてアクセスできる、AWS アカウント全体のクォータを効率的に管理し追跡するためのハブです。この統合によりアカウントとリソースのクォータ割り当てをナビゲートし最適化する上で、より広範な制御と柔軟性が実現されます。Service Quotas を使用することで、複数のソースにアクセスする必要なく、一つの場所で Connect のクォータを中央管理できます。またサポートされているクォータでは、Amazon CloudWatch との統合により、設定可能なアラームを通じて積極的な管理も可能になり、指定されたクォータに近づくと適時アラートを提供します。
Service Quotas によるメリット
- Amazon Connect サービスクォータの一元管理 : Service Quotas を使用することで、Amazon Connect のクォータを一箇所で管理でき、複数のソースを参照したり独自のリストを維持する必要がなくなります。Service Quotas は AWS マネジメントコンソール、またはプログラム的に API や AWS CLI を使用してアクセスできます。
- クォータの可視性向上 : デフォルトのクォータ値を表示するだけでなく、リソース(Connect インスタンス)単位で適用されているクォータが確認できるようになりました。クォータが変更された場合、変更後のクォータを確認できます。
- クォータ引き上げリクエストの簡素化 : コンソールまたは API を通じて、アカウントレベルのクォータとリソースレベルのクォータの両方を表示および管理できます。リソースレベルのリクエストでは、調整を適用する特定のインスタンス(リソース)を選択できます。また、リクエストのステータスを表示および追跡することもできます。
- クォータ引き上げリクエストへの迅速な対応 : Amazon Connect はクォータの自動レビューと承認を実装しました。自動承認されるクォータリクエストの場合、完了までの時間が数分に短縮されます。リクエストが自動承認の基準を満たさない場合は、AWS サポートケースが自動的に生成されます。
- プロアクティブなクォータ管理への道筋 : Service Quotas は CloudWatch と統合されており、しきい値に達したときにアラートを発し、クォータをプロアクティブに管理できるようにします。
- AWS Organizations 内の新規アカウントのクォータリクエストの簡素化 : 組織内に作成した新規アカウントのクォータ引き上げは頻繁にリクエストされています。Service Quotas はこのプロセスを自動化することで、組織内の新規アカウントのクォータ引き上げリクエストにかかる時間を削減しつつ、すべてのアカウントがワークロードのニーズに応じて一貫して構成されるようにします。
概要
このブログ記事では、Service Quotas の管理コンソール、AWS CLI を通して、リソース管理できるようになった Amazon Connect のクォータについて詳しく説明します。さらに、管理者が特定の Amazon Connect リソースのクォータを設定および管理する方法についても示します。
実施する内容
- Service Quotas コンソールを使用して Amazon Connect のクォータを確認し、クォータの引き上げをリクエストする
- Service Quotas コンソールを使用してクォータリクエスト履歴を確認する
- AWS CLI を使用してクォータの引き上げをリクエストする
- AWS CLI を使用してクォータリクエストのステータスを確認する
- Service Quotas コンソールを使用してクォータ使用量メトリクスを確認する
- Service Quotas コンソールを使用してクォータ使用量のアラートを設定する
前提条件
- Amazon Connect インスタンス
- IAM 権限 : クォータの引き上げをリクエストするには、service-quotas:RequestServiceQuotaIncrease 権限が必要です。
- AWS CLI バージョン : AWS CLI を使用して Amazon Connect のリソースレベルのクォータを表示および管理するには、バージョン 2.13.20 以上が必要です。
Service Quotas の利用
Julie は金融業の AnyCompany 社のコンタクトセンター管理者で、新しいローンチに向けて本番環境の Connect インスタンスをテストしています。Julie は自社のコンタクトセンターが高い可用性を保ち、問い合わせとエージェントの作業量の変化に柔軟に対応できるよう細心の注意を払っています。彼女の会社は複数の事業部門をサポートするために複数の Amazon Connect インスタンスを使用しています。最大規模である消費者向けのインスタンスに電話番号を追加する必要があるため、このインスタンスの Phone numbers per instance(インスタンスあたりの電話番号数)クォータを確認し、増やしたいと考えています。
- Amazon Connect のクォータについて、Julie は AWS Management Console から Service Quotas にアクセスし、Amazon Connect のページに移動することでサービスの全体のクォータに関する情報を確認できます。
- Julie はページを下にスクロールして利用可能なすべてのクォータの中から Phone numbers per instance を探します。追加の詳細を確認するために表示されたクォータ名をクリックします。
- 詳細ページで、Julie は自身のすべての Amazon Connect インスタンスのリストを見ることができ、各インスタンスに適用されているクォータ値も含まれています。ここから、Julie はクォータの引き上げが必要な適切な Amazon Connect インスタンスを選択し、「リソースレベルでの引き上げをリクエスト」を選択できます。
- これにより、新しいクォータ値を入力してリクエストを送信できるダイアログウィンドウが表示されます。
- Phone numbers per instance の詳細ページに戻り、「リクエスト履歴」タブを選択すると、Julie は現在および過去のクォータリクエストのステータスを確認できます。新しいリクエストは「保留中」のステータスになります。ステータスをクリックするとリクエストの詳細が表示されます。クォータの引き上げを処理するために AWS サポートケースが必要な場合は、自動的に作成され、ステータス詳細ページに AWS サポートケースへのリンクが表示されます。
Service Quotas API を使用した Amazon Connect のクォータ引き上げリクエスト
Service Quotas は、クォータ引き上げをリクエストするための API も提供しています。Julie は RequestServiceQuotaIncrease API を使用してクォータ引き上げのリクエストを送信できます。例えばこの例で Julie は、別の Amazon Connect インスタンスの Phone numbers per instance(インスタンスあたりの電話番号数)クォータを 10 から 11 に増やす必要があるとします。
- Julie は AWS CLI を使用してリクエストを送信します
- リクエストが送信されると、Julie は GetRequestedServiceQuotaChange を利用してリクエストを追跡できます
- 新しいクォータが適用されたかどうかを GetServiceQuota を使用して確認できます。この AWS CLI リクエストの構文は次のとおりです :
aws service-quotas get-service-quota
–service-code connect
–quota-code <quota_code>
–context-id <connect_instance_arn>
–region <region>
クォータに対する使用状況のモニタリング
Julie は、コンタクトセンターが StopContact API を頻繁に使用して、キューからコールバックを削除していることを理解しています。さらに、彼女はこの API のクォータに対する使用状況を可視化したいと考えています。
- Service Quotas 内から、彼女は Amazon Connect 内の StopContact API リクエストのレート(Rate of StopContact API requests)を参照します。
- ここから、彼女は「モニタリング」タブを選択して CloudWatch による使用率グラフを確認します。
- Julie は、このメトリクスが 100 パーセントの使用率に近づいた場合に通知を受けたいと考えています。彼女は「アラーム」タブを選択し、「アラームを作成」をクリックします。
- Julie はメトリクスが 80 パーセントの使用率に達した時に通知を受けたいので、しきい値を設定し、アラームの名前を入力して作成をクリックします。
追加の考慮事項
使用率 : 選択したサービスクォータの詳細を表示する際、表示される使用率の値は、CloudWatch によって可視化された適用されているクォータの使用率を表します。 Connect Public API の利用率が利用可能です。
Amazon Connect グローバルレジリエンス : Amazon Connect グローバルレジリエンス(ACGR)を活用しているお客様の場合、Amazon Connect インスタンスを 2 つ目のリージョンに初期レプリケーションする際にクォータの同期プロセスがあります。サービスクォータのリクエストはリージョン固有です。初期レプリケーション後、お客様は ACGR インスタンスを今後同期させ続けるために、各リージョンに対して個別にサービスクォータの引き上げを申請する必要があります。
クリーンアップ
Amazon Connect インスタンスを作成して Amazon Connect のクォータ管理をテストした場合は、ガイドに従って Amazon Connect インスタンスを削除できます。
結論
Service Quotas を使用すると、1 つの中央の場所から AWS サービスのクォータを表示および管理できます。Service Quotas を使用すると、クォータ引き上げリクエストを簡単に申請、追跡することができるほか、AWS Organizations と統合することで、新しいアカウントのクォータを一貫した方法で設定し、時間と労力を節約できます。このブログ記事では、Service Quotas を使用して Amazon Connect リソースのクォータを設定および管理する方法を紹介しました。
詳細については、以下をご覧ください :
Amazon Connect でカスタマーサービス体験を変革する準備はできましたか? お問い合わせください
翻訳はテクニカルアカウントマネージャー高橋が担当しました。原文はこちらです。