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SAP HANA データベースのオブザーバビリティを Amazon CloudWatch Application Insights でセットアップする

はじめに

SAPアプリケーションはミッションクリティカルなビジネスプロセスを稼働させているため、お客様はSAP HANAデータベースに影響を与える問題を迅速に特定し、解決できることを望んでいます。しかし、SAPワークロードには独特の要件や消費パターンがあり、HANA固有の知見を得ることは難解なことがあります。さらに問題が分かったとしても、根本原因を見つけることが難しい場合があります。

2019年以降、AWSのお客様はAmazon CloudWatch Application Insightsを使用して、Microsoft SQL Serverデータベースと.NETベースのアプリケーションのこれらと同じ課題を解決してきました。2021年11月にCloudWatch Application InsightsがSAP HANAデータベースのオブザーバビリティをサポートするようになったことを発表しました。これにより、AWSのネイティブサービスを使用して、HANAデータベースの健全性をこれまで以上に簡単に把握することができるようになります。

CloudWatch Application Insights for SAP HANAの仕組み

SAP HANAデータベースを簡単に搭載し、リソース(メモリ、ディスク使用量など)に関連するモニターを設定して、継続的にデータを分析し、潜在的な問題を発見し、HANAベースのアプリケーションまたは基盤となるインフラで進行中の問題を迅速に切り分けることができます。

CloudWatch Application Insightsは、履歴データを使用してメトリックパターンを分析し、異常を検出するとともに、SAP HANA、オペレーティングシステム、およびインフラストラクチャのログからエラーや例外を継続的に追跡します。分類アルゴリズムと組み込みルールを組み合わせて、観測結果を関連付けます。そして、関連する観測結果と問題の深刻度情報を表示するダッシュボードを自動的に作成し、アクションの優先順位付けを支援します。HANAの一般的な問題、たとえば無応答のシステム、データベースのバックアップの失敗、メモリリーク、I/O操作のキャンセルなどについては、根本的な原因と解決のための手順を導くための追加の洞察が提供されます。

SAP HANAインスタンスのセットアップ(直感的なガイド付き)

Application Insightsは、特定のリソースグループ内のSAP HANAシステムをスキャンし、カスタマイズ可能な推奨メトリクスとログのリストを提供し、CloudWatch上でそれらを設定することにより、Amazon EC2やELB(Elastic Load Balancer)、OS、SAP HANAなどのさまざまなリソースを可視化し、監視設定の時間を短縮することが可能です。また、監視対象のメトリクスに動的なアラームを設定し、過去のデータで検出された異常に基づいて自動的に更新されます。

問題の検出と通知

CloudWatch Application Insightsはメトリクスの異常やログエラーなど、SAP HANAに潜在する問題の兆候を検出します。これらの観測結果を関連付け、アプリケーションの潜在的な問題を表面化し、通知を受け取るかアクションを取るように設定可能なCloudWatchイベントを生成します。このため、メトリクスやログエラーについて個別にアラームを作成する必要がありません。以下の例では、SAP HANAインスタンスのメモリ不足の問題をどのようにデバッグしているかを見ることができます。

結論として、CloudWatch Application Insightsの異常検知は、Amazon Sagemakerを活用して、システムやアプリケーションからのログやメトリクス・データに統計・機械学習アルゴリズムを適用し、正常なベースラインを決定し、最小限のユーザー介入で異常を表面化させることができます。これは、メトリックの過去のデータ(例:hanadb_cpu_percent)を使用して、メトリックの期待値のモデルを作成することで実現されます。このモデルは、メトリックのトレンドと時間毎、日毎、週毎のパターンの両方を評価します。

CloudWatch Application Insights for SAP HANAを使い始めましょう

SAP HANAデータベースとそれがサポートするビジネスプロセスへの影響を最小限に抑えることは、SAPのお客様にとって非常に重要です。安全で信頼性が高く、パフォーマンスの高いAWSのクラウドインフラ上で実行することで、オンプレミスよりも簡単に実行できるため、数千ものお客様がAWS上でHANAを実行しています。2021年11月に発表されたApplication Insights for SAP HANAは、最小限の構成でSAP固有のメトリクスとインサイトを追加することで、お客様にとってさらに使いやすくなっています。

SAP HANAデータベースのモニタリングを設定するには、Amazon CloudWatch Application Insightsのドキュメントで、開始方法の詳細なチュートリアルを参照してください。

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翻訳はPartner SA 松本が担当しました。原文はこちらです。