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[開催報告] AWS re:Invent Recap インダストリー編 – テレコム業界向け

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクトの宮田です。

通信事業者の方々、通信業界に関わられている方々、5G やエッジなどの最新技術の動向にご興味のある方々を主な対象として、2022 年 1 月 27 日に「AWS re:Invent Recap インダストリー編 – テレコム業界向け」をウェビナーで開催しました。

本記事では通信領域における導入事例を含め、当日の内容・動画を皆様にご紹介します。

本ウェビナー開催の背景

2021 年 11 月 29 日から 12 月 3 日まで開催された AWS re:Invent 2021 は今年で 10 回目を迎えました。今年はラスベガスとオンラインで開催され、AWS のクラウドサービスに関わる技術的なセッション・ハンズオンなどを提供しました。新たなサービスの発表や、お客様が AWS のクラウドサービスを活用して実現したイノベーションの数々が発表されました。

今回のウェビナーでは、通信業界のお客様と関連の深いキーノート、ネットワークサービス・エッジサービスのアップデート、通信業界を中心にお客様の事例をご紹介しました。

1. キーノート編

AWS
通信ソリューション部 部長
シニアソリューションアーキテクト
山内 晃

動画開始位置:1:15

まず、最初のパートであるキーノート編では、AWS の新 CEO Adam Selipsky を始めとする4つのキーノートから、お客様の先進的な取り組みや、AWS がサービス開始当初より大事にしている価値、「フレームワークよりもプリミティブ」といったアーキテクチャの原則をご紹介しました。NASDAQ のマッチングエンジン(注文から取引)の AWS 移行や、DISH のクラウドネイティブな 5G ネットワークなど、ミッションクリティカルな領域での AWS 活用が進められています。

続いて、AWS が創業当時からセキュリティ、可用性、伸縮性といった要素を重要と考えているエピソードをご紹介しました。これらは、特徴として語られることはあまりありませんが、Table Stakes (当たり前のもの、最低限必要なもの)であり、 AWS のサービスを差別化するための鍵として継続的に投資をしています。具体的な取り組みとして、容量と性能の最適化を継続的に行っている Amazon S3、性能の安定化、高速化を実現する Nitro SSD、Graviton3 についてご紹介しました。

2. ネットワークサービス編

AWS
通信ソリューション部
ソリューションアーキテクト
宮田 直輝

動画開始位置:23:34

宮田からは、re:Invent 2021 で発表されたネットワークサービスのアップデートについてご紹介しました。AWS のグローバルインフラストラクチャは、お客様に安定的なサービスを提供できるよう、海底ケーブルも含めリージョン間を接続するためのキャパシティを確保しています。すでに多くのお客様が、拠点間の接続に AWS のバックボーンを利用されています。

オンプレミス拠点間の接続をシンプルで低レイテンシーに接続できる、AWS Direct Connect SiteLink が発表されました。これまで、Direct Connect で接続されたオンプレミス拠点間を接続するためには、例えばリージョンに設置した Transit Gateway で折り返す必要がありました。拠点間の接続においても、リージョンを経由する必要があり、その分のレイテンシーが含まれていました。AWS Direct Connect SiteLink を利用することで、オンプレミス拠点間を低レイテンシーに接続することができるようになります。

続いて、お客様のグローバル WAN 環境をシンプルに管理することができる、AWS Cloud WAN (Preview)についてご紹介しました。モダンなグローバル WAN は、多くのテクノロジー、例えば SD-WAN やクラウド、Client VPN などで接続され、求められる要件の変化も加速しています。AWS Cloud WAN を利用することで、複数のリージョンで構築した VPC と、Direct Connect や SD-WAN で接続されたオンプレミス拠点を接続するセグメントを作成し、エンドツーエンドのセグメンテーションで管理することができるようになります。

3. エッジサービス編

AWS
通信ソリューション部
ソリューションアーキテクト
新谷 歩生

動画開始位置:48:49

新谷からは、エッジサービスのアップデートをご紹介しました。クラウドへのマイグレーションが難しい、ローカルでのデータ処理や低遅延が求められるアプリケーションに対応するため、AWS はリージョンと同じ体験で利用できるエッジサービスを提供しています。お客様のオンプレミス拠点に設置できるデバイスをご利用いただくことでローカルでデータを処理したり、通信先となるインスタンスをデバイスの近くに延伸することで低遅延を実現することができます。

AWS Outposts servers は、お客様拠点に設置できる AWS インフラストラクチャです。1U または 2U のサイズで、スタンダードな EIA-310 の 19 インチラックにマウントすることができます。VPC をシームレスにお客様のオンプレミス拠点まで拡張することができ、リージョンと同じ体験でリソースを管理することができます。エッジのインスタンスは、リージョンにあるインスタンスともセキュアに通信して連携することも可能です。リージョンで利用する EC2 のオンデマンドインスタンス料金との比較も、ぜひご確認ください。(Amazon EC2 リザーブドインスタンスの料金AWS Outposts servers の料金

そして、re:Invent 2021 で発表された AWS Private 5G についてもご紹介しました。プライベートセルラーネットワークは、オンプレミスでネットワークキャパシティを確保するため、専用機器とともに展開されるローカライズされたワイヤレス LTE または 5G ネットワークです。通信環境のカバレッジの拡大や、高密度のデバイス接続を実現できますが、ピークを想定したキャパシティ設計や、ハードウェアとソフトウェアのインテグレーションなど、構築には困難が伴います。AWS Private 5G をご利用いただくと、プライベートセルラーネットワークのデプロイ・運用・スケールを数日で実現することができます。現在、AWS Private 5G は米国で CBRS 周波数帯を使用するプレビューが開始されています。

4. ユースケース・事例編

AWS
通信ソリューション部
ソリューションアーキテクト
鈴木 浩之

動画開始位置:1:14:45

鈴木からは、通信業界を中心として AWS を活用したお客様のユースケースと事例をご紹介しました。AWS Wavelength や AWS Outposts を活用した 5G エッジなど、これまでのパートで紹介した AWS のサービスを活用した事例をご紹介しています。

ケンブリッジ大学の自律走行バスや、verizonによる四足歩行型ロボットおよびドローン制御などの事例では、超低遅延と広大な帯域幅が必要で AWS Wavelength を利用して実現されています。また、米国ではAWS Outposts / AWS Local Zones / Snow Family を活用して、CBRS周波数帯を利用した5Gプライベートネットワークを構築し、スマート空港やスマート倉庫などへの応用が進められています。

DISH Wireless は、米国発の完全にクラウドネイティブな 5G ネットワークを構築しています。アジャイル手法も取り入れ、新たなサービスを迅速に提供することで、イノベーションの加速を実現されています。また、低遅延や広帯域を実現するため、AWS Local Zones / AWS Outposts を組み合わせ、最適なコンポーネント配置を実現されています。

通信領域のデータ分析やAI投資は今後も増え、ネットワーク品質向上やカスタマーエクスペリエンス向上を実現する応用が進んでいます。

まとめ

本ウェビナーでは、AWS re:Invent Recap インダストリー編 – テレコム業界向けの振り返りとして、開催概要や発表の見どころ紹介、お客様事例をご紹介いたしました。セミナーにご参加いただいた方、まことにありがとうございました。参加いただけなかった方も、このブログから動画や資料を参照いただき、今後の AWS 活用の参考になりましたら幸いです。内容に関して、ご質問やご要望がございましたら、お問い合わせページ、もしくは担当営業までご連絡をお願いします。

このブログの著者

宮田 直輝 (Naoki Miyata)
技術統括本部 エンタープライズ技術本部 通信ソリューション部 ソリューションアーキテクト