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英国政府とAWSは、新たな包括契約 ”One Government Value Agreement” を締結

英国政府機関とAWSの包括契約締結が発表されました(「One Government Value Agreement」)。今回のブログでは、AWSジャパン・パブリックセクターより、この契約枠組みの概要と、実現されるメリットについて、ご紹介します。──── 日本の政府機関・公共機関(自治体・独法・教育・医療/ヘルスケア・NPO)のお客様との間においても、このような個別の調達を横断した包括的な公共調達の在り方の議論の加速に貢献していきたいと、AWSでは考えています。

新たな合意の特徴

アマゾン ウェブ サービス (AWS) と英国政府との「新たな契約」には、次のような特徴があります────1)公共部門との契約に参加するための支援をより多くの中小企業 (SME) に対して行うことで税金が賢く節約され、2)公務員全体のデジタルスキルが向上し、3)政府機関向けサプライヤーの多様性が増すと同時に、4)公共部門でのクラウドコンピューティングの採用が加速化されます。

One Government Value Agreement」(OGVA) と呼ばれるこの契約では、AWS と 英国政府機関であるCrown Commercial Service (CCS) が 3 年間の合意書(Memorandum of Understanding; MoU)を交わしています。この契約では、参加する英国政府と公共部門の多数の組織を仮想的に”単一の”クライアントとして扱うことで、関連会社を多数擁する民間の大企業のお客様と同様に、クラウドの活用にかかるコストを大幅に削減できるようにしています。加えて、契約の一環として、AWS はデジタルスキル涵養のための「基金」も新たに設立しました。この基金により、政府機関が費用を負担することなく、クラウドコンピューティングの素養を得るために 6,000 人を超える公務員に対してトレーニングを提供する準備が整い、英国政府はこの合意を受け入れました。

Crown Commercial Service の最高経営責任者である Simon Tse 氏は次のように述べています。「組織のミッションとしてCCS では、公共部門全体の各組織が日用品やサービスを購入する際の”時間とお金”を節約するのに役立つ商業契約を[代表して締結し、それらの機関に]提供しています。AWS とのこの契約[=OGVA]は、CCSがサポートをする公共部門の組織にとっての優れた価値 (excellent value) が証明されており、英国に住むすべての市民に向けた行政サービスの改善につながります。」

「One Government Value Agreement」(OGVA) は、公共部門向けのサプライヤー[=応札企業]の多様性を高めていくための、 AWS の貢献をさらに加速していきます。なぜなら、この契約を通じたサービス提供は、 AWS パートナーネットワーク (APN) の認定を受けた参加パートナー企業を通じて契約できるためです。政府機関の G-Cloud フレームワークを通じて、すでに 150 社を超える企業が AWS を使用して 13 億ポンドを超える独自のサービスを英国の政府機関に提供してきました。注目すべきは、これらの企業の半数以上が中小企業に分類されているということです。OGVA は、これらの中小企業が、以前は参入を検討することさえできなかった大規模な公共部門との契約を、効果的に応札・受注できるようにすることで、公共調達における競争の条件をさらに公平化する一助となっています。

「AWS ソリューションプロバイダーおよびアドバンストコンサルティングパートナーとして、Softcat社 は公共部門のお客様に OGVA を通じてAWSを用いたサービス提供ができることを嬉しく思います。今日、英国の公共部門の組織にとって、イノベーションとデジタルトランスフォーメーションは、いまだかつてないほどの重要性を帯びています。OGVA は、国家規模での契約を介して AWS テクノロジーを提供することで、お客様のイノベーションをサポートし、コスト効率を向上させるのに大いに役立っています。AWS と Softcat社 のようなパートナーとの連携が、公共部門のお客様によるデジタルトランスフォーメーションの取り組みの加速に役立っています」と、Softcat社 のセールスディレクターである Anthony Cowen 氏は述べています。Softcat はバッキンガムシャーのマーローに本拠を置くテクノロジーソリューションおよびサービスプロバイダーです。

“BuilderとBuyer” – それぞれに恩恵のある契約

OGVA は 2 つの階層(Tier)で構成されています。

  • 1 つ目の階層は、クラウドジャーニーの開始時に各政府機関・公共部門の組織をサポートするものです。オーダーメイドのトレーニング提供、ワークショップ開催、新しい研究プロジェクトや非営利セクター向けの「クラウド・クレジット(無償利用枠)」を含むサービス提供のパッケージを通じて、組織にとって初めてのクラウドプロジェクトを実施し、クイック・ウィンを達成できるようにします。
  • 2 つ目の階層は、すでにクラウドを使用し始めている比較的大規模な公共機関向けです。その一部として提供されるパッケージは、顧客機関が既存のクラウド環境から享受できる”メリット”を最大化するのを支援します。参加機関は、プログラムに参加するすべての公共部門の組織の集団的なコミットメントと利用料支出を仮想的に合算した、新しい料金体系の恩恵──すなわちボリュームメリット──を享受することができます。

これら 2 つの階層の利点が組み合わさることで、AWS の公共部門のお客様は自機関のミッションを再定義することができ、クラウドを使用することでこれまでにないほど低コストかつ低リスクで、より迅速なトライアルを行うことができます。

「英国全土の政府機関・教育機関・ヘルスケア・NPOのお客様は、AWS クラウドによって可能になった、世界で最もエキサイティングなイノベーションをすでに実現し始めています」──と、AWS の英国公共部門のディレクターである Chris Hayman は言います。「この新しい契約によって、公共部門で働く人々は技術的スキルを向上させることができます。また、より公正かつ多様な市場セグメントをサポートすることで、小規模なサプライヤーは政府機関との契約を結びやすくなり、公共部門の組織では大幅なコスト削減を実現させることができます。」

OGVA は、AWS と英国政府の継続的なコラボレーションの一環であり、各国の政府機関が達成を目指すデジタル・トランスフォーメーションを加速する”cloud first”政策の中核です──こうした契約枠組みにより、市民との連携の新しい在り方、そしてサービスを提供する新しい方法を常に模索しています。

One Government Value Agreement」 の詳細と、どのようなメリットを得られるかを更に詳しく知りたい公共機関のお客様は、英国のAWSチーム[追記:もしくはAWSジャパンの公共調達渉外担当]までお問い合わせください。

 

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日本の公共部門の皆様へのご案内

AWSでは、政府・公共部門、パブリックセクターの皆さまの各組織におけるミッション達成が早期に実現するよう、継続して支援して参ります。

今後ともAWS 公共部門ブログで AWS の最新ニュース・公共事例をフォローいただき、併せまして、「農水省DX室」「気象庁の衛星ひまわり8号のデータセット」や「第二期 政府共通プラットフォーム」など日本の関連機関との取り組みを紹介した過去のブログ投稿に関しても、ぜひご覧いただければ幸いです。

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このブログは、「One Government Value Agreement: Accelerating cloud adoption and innovation across UK government」と題した英語原文の投稿をもとに、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。

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小木 郁夫
AWSジャパン パブリックセクター
統括本部長 補佐(公共調達渉外)
BD Capture Manager
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