Amazon Web Services ブログ
クラウド時代の災害対応 – AWS は赤十字など NPO と協力し被災住民を支援
今回のブログでは、 AWSジャパン・パブリックセクターより、「Amazon / AWS が世界各地で取り組んでいる災害救助の活動から得られた教訓」をご紹介します。ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。(以下、AWS Public Sector Blog へ掲載された「Lessons in disaster response」と題された投稿の翻訳となります。)
離れていても”参加”できる:
ボランティア、コミュニティとのつながりを再定義
昨今のパンデミックでは、「社会的な距離の取り方」が大きな課題として立ちはだかりました。このため、ボランティア活動を含むさまざまな分野で、つながりやコミュニティーの感覚を生み出す新しい方法の模索・発明が加速しています。
非営利団体 Volunteer Surge は、COVID-19 の流行時に医師や看護師が必要とするケアを提供してゆくための「サポート・ボランティア」を養成するプログラムを立ち上げ、米国の医療制度が直面する負担を軽減しようと取り組んでいます。この活動は、全米で100万人のボランティア医療従事者を訓練し、養成することに重点を置いています。ボランティアは、シネマティック・ヘルス・エデュケーションがイェール大学公衆衛生学部と協力して開発した約30時間のフルオンライン・コミュニティ・ヘルスワーカー・コースを修了することでトレーニングを完了することができます。AWSは、ボランティアが現場へ向かう「前」にトレーニングを行うためのバーチャル学習プラットフォームを提供しています。
また、「One World」のような取り組みも見られました。医療従事者のためのチャリティ・コンサート「Together At Home」は4月に開催され、世界中から人々が参加しました。これは、非営利団体Global Citizen、世界保健機関、国連と共同で企画し、Amazon が支援したものです。
デジタル・フロントドアを見直す
[COVID-19 が]これまでのどの災害とも異なるのは、”距離を置くこと=感染を防ぐために離れていること” を契機に、企業や政府が各種市民向けのサービスの入り口となる「デジタル・フロントドア」を見直そうとする潮流に、拍車がかかっていることです。遠隔医療や重要な行政サービスなどの分野では、大きな飛躍が生まれました。カナダでは、オンタリオ州全体で遠隔医療プログラムを提供している非営利団体 OTN が、4,000パーセントもの需要の急増に対応するためにビデオサービスの規模をスケールさせました。これにより、すべての市民が必要な時に必要な場所で簡単に医療を受けられるようになったのです。他にも、ロンドンに拠点を置くスタートアップ Babylon Health は、英国の患者に遠隔コンサルティングを提供し、AI ベースのシステムを使って既知の症状や危険因子を評価し、情報に基づいた最新の医療情報を提供しています。AWS を用いてパンデミック発生時に各組織のオペレーションを維持する方法については、こちらをお読みください。
クラウドで継続的なイノベーションと柔軟性を確保
私たちはこのコロナ禍を通じて、授業やビジネス、都市を継続的に運営し続けるための多くのイノベーションを見てきました。COVID-19 の影響に対処するため、政府、教育、非営利団体はクラウドの柔軟性と拡張性を活用してサービスを進化させており、AWS もそうした取り組みを支援しています。
例えばイタリアでは、カリアリ市が AWS と連携し、500人近い市職員が国のロックダウン期間中に在宅勤務できるようにしました。市政府は、Amazon WorkSpaces とカリアリ市のデータセンターからの暗号化 VPN チャネルによる接続を組み合わせ、リモートワーカー達が市の重要な機能を稼働させ続けることができるようにしています。
カリフォルニア州では、ロサンゼルス統一学校区が AWS を利用して新しいコールセンターを立ち上げ、IT に関する質問への回答やリモートサポートを提供し、70万人の生徒のリモート学習に関する問い合わせに対応できるようにしています。
こちらの Fix This ポッドキャストのエピソードでは、ロサンゼルス統一学校区がどのようにリモート学習の導入に適応したかを直接聞くことができます。
パートナーシップの力で
「数値」的インパクトを達成する
災害対策は、1つの組織だけで取り組むにはあまりにも大きな仕事です。復興にはコラボレーションとパートナーシップが不可欠であり、私たちはパンデミックに見舞われたこの数年間にその実例を数多く見てきました。COVID-19 Healthcare Coalitionは、医療機関、テクノロジー企業、非営利団体、学術機関、スタートアップ企業などが集まり、医療提供システムを維持し、米国や各国の人々を守るために民間主導で行われる COVID-19 への対応イニシアチブです。AWS はこの Coalition のメンバーであり、Mayo Clinic、Johns Hopkins、ZocDocなどの主要な医療提供者や研究者とともに活動しています。私たちは、専門知識・組織能力・データを結集し、臨床成果を向上させていくためのインサイトを提供しています。
このようなコラボレーションは、さまざまな課題に対処するためのリソースや人材を集め、世界で最も差し迫った問題の治療法や解決法を見つけるために協力し合うためにも、とても重要な取り組みです。
その他、最近のコラボレーションとしては、COVID-19 ハイパフォーマンス・コンピューティング・コンソーシアムがあり、診断・治療・ワクチンに関する研究を進めるためのコンピューティング リソースを提供しています。また、AWS Diagnostic Development Initiativeを通じて、COVID-19 への理解と発見を加速し、診断研究とイノベーションを加速するために2,000万ドルを拠出し、Chan Zuckerberg Biohub、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)など、多数のお客様をサポートしています。
備えが全て
最近AWS では、COVID-19のパンデミックの経験に駆り立てられて、「自らの組織にもっとレジリエンスを涵養するには、どうしたらよいかを議論したい」という多くのお客様からの相談を受けています。私たちは、これらの学びを文書化し、次の危機に迅速に対応するためのギャップ・フィリングやそのタイミングを特定していくことをお客様にお勧めしています。共通の教訓は、「より良い準備をすればするほど、より迅速に対応できるようになる」──です。
ハリケーンの季節を目前に控え、私は首都圏およびグレーター・チェサピーク地域のアメリカ赤十字社のリンダ・マテス氏と、災害への備えから学んだことを話し合いました。このタイムリーなディスカッションでは、自然災害や現在のパンデミックなどに対する私たちの備えについて取り上げています。AWS Institute が主催した Washingtonian 誌のパネルディスカッションもぜひ、ご覧ください。
Learn More
- COVID-19に対するAWSの取り組みと対応や、「公共機関がミッションを継続的に達成していくために、テクノロジーがどのように役立つか」といったトピックについて、AWSのエキスパートから話を聞くことも推奨しています。
- ”公共機関の情報システムのレジリエンスを高める – CloudEndure Disaster Recoveryを用いた災害復旧”(2022年2月)
- オーストラリアの赤十字がAWSを利用──との現地報道(link here)
- “What we did in 2019 was we redesigned our AWS infrastructure from the ground up…so our underlying infrastructure is now fully scalable. If we need to build a data construct, we can because we’ve got that scalable model,”──と、スケーラブルな組織全体のインフラとして AWS を活用いただいている点、強調されています。
日本の公共部門の皆様へのご案内
AWSでは、政府・公共部門、パブリックセクターの皆さまの各組織におけるミッション達成が早期に実現するよう、継続して支援して参ります。
今後ともAWS 公共部門ブログで AWS の最新ニュース・公共事例をフォローいただき、併せまして、国内外の公共部門の皆さまとの取り組みを多数紹介した過去のブログ投稿に関しても、ぜひご覧いただければ幸いです。「クラウド×公共調達」の各フェーズでお悩みの際には、お客様・パートナー各社様向けの相談の時間帯を随時設けておりますので、ぜひAWSまでご相談ください(Contact Us)。
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このブログは英文での原文ブログを参照し、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。
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