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小売企業におけるヘッドレスコマースの実現方法

販売システムをモダナイズしたいと考えている小売企業であれば豊富なテクノロジーを利用できます。すでに最新のテクノロジーインフラストラクチャに移行しているお客様であれば、メンテナンスコスト削減やビジネスの俊敏性の向上、顧客体験の向上といったメリットを享受しているでしょう。CIO は、既存システムをリファクタリングして機能領域を徐々に移行するか、サードパーティベンダーの最新ソリューションを利用してモダンなソリューションに素早く切り替えていくか、選択することができます。いずれのパスであれ、基盤となるテクノロジーと、テクノロジーがより高いビジネス成果の達成にどのように役立っているのかを理解することが重要です。

「ヘッドレスコマース」という用語をよく耳にするようになりました。特に e コマースの文脈でよく登場します。ところでカプセル化というデザインパターンは数十年前から存在しており、多くのソリューション領域に適用されています。そのコンセプトは、ユーザーインターフェース (UI) を持たないビジネスサービスのセットを作成し、それらを組み立てて、インタラクションに合わせたカスタム UI で目的を達成することにあります。このカプセル化のコンセプトを販売システムに適用すると、店内の POS システムやモバイルアプリ、ウェブストアに活用できる、再利用可能なサービスを手に入れることができます。それぞれが独自に最適化された UI を持ちますが、共通のバックエンドを備えています。この構成は「コンポーザブル(組み合わせ可能な)コマース」と呼ばれることも多く、オムニチャネルのカスタマーエクスペリエンス実現にとって待望されていたものでもあります。

ゴール

すべての小売企業の目標は、可能な限り最高のショッピング体験を提供することです。つまり、チャネルを統合して顧客がチャネル間をシームレスに移動できるようにすることで、カスタマージャーニー全体の摩擦を減らすことを意味します。コスト削減による節約分を、消費者にボーナスとして還元できます。これは「オムニチャネル」のお約束です。ただ現実には、既存のレガシーソリューションを統合してオムニチャネルエクスペリエンスを実現しようと最善を尽くしてきたものの、限定的な効果しか実現できていないことに小売企業も気付いています。コンポーザブルコマース戦略を検討している小売企業(あらゆる小売企業は検討しているはずです!)は、以下の 4 つの基盤となるテクノロジーを理解する必要があります。

クラウドネイティブ

Zalora は、クラウドコンピューティングが、スケーラビリティや可用性、信頼性を向上させつつコストを削減するための鍵であることに気づきました。モダンソリューションは何であれクラウドネイティブであるべきです。特定のユースケースに対応するため、ソリューションによってはエッジコンピューティングに拡張されることもあります。小売業ではコンピューティングニーズが、販売やプロモーション、休日といった要素で変動します。変化するニーズに対応するためにスケールアップまたはスケールダウンするために、クラウドは最適なプラットフォームです。

マイクロサービス

マイクロサービスは、広く利用可能なプロトコルを使用してネットワーク経由で呼び出すことができる、ビジネス機能の自己完結型のカプセル化です。UI からは明確に分離されており、チャネル間で再利用できます。料金を受け取る、税金を計算する、ロイヤリティを適用するといった機能が、POS システムとウェブストアの両方から利用されるマイクロサービスによって実現されるのは合理的です。効率化によりメンテナンスコストが削減され、一貫したカスタマーエクスペリエンスも実現できます。ですがテクノロジー観点から見たマイクロサービスの最大の利点は、開発者がソリューションの他の部分に影響を与えることなくマイクロサービスを変更、テスト、デプロイできることにあります。これにより、VendAmazon Elastic Container Service (Amazon ECS) で実現したように、俊敏性と信頼性の両方を向上できるのです。

データストア

従来の小売業 IT 環境には、厳格なリレーションで紐付けられているがために拡張性に制約を抱えるリレーショナルデータベースが点在しています。一方で、モダンデータストアはほぼ無制限と言えるストレージとパフォーマンスを提供し、場合によってはスキーマレスな構成です。たとえば Nike では、Amazon DynamoDB に移行することでデータベース管理を簡素化することができました。モダンなクラウドネイティブ販売プラットフォームでは非常にスケーラブルなで低コストなデータストアが提供されています。

サーバーレスコンピューティング

サーバーレスコンピューティングはあらゆる類のサービスに適しているわけではありませんが、サーバー管理の必要がなく、サービス実行時にのみ料金が発生することは特筆すべきことです。サーバーレスモデルでは、機能は呼び出されてはじめてサーバーにデプロイされ、リクエストの処理が終わればサーバーはシャットダウンします。DunelmAWS Lambda を使用してピーク取引時間により適切に対応しています。サーバーレスコンピューティングは、コンピューティングサービスを利用して小売企業が必要とするスケーラビリティを実現するための最も効率的な方法です。

これらのテクノロジーによりコンポーザブルコマースを提供する最先端のプラットフォームを構成することで、小売企業は最終的にオムニチャネルのユーザーエクスペリエンスを実現することができます。

どのような支援ができるのか AWS までお問い合わせください。

 


著者について

David Dorf

David Dorf は、AWS のワールドワイドリテールスペシャリストであり、小売業界のお客様にソリューションを提供しています。 これまでに Infor Retail、Oracle Retail、360 Commerce、Circuit City、AMF Bowling、Schlumberger の Retail & Banking 部門においてさまざまなテクノロジーを使用した小売システムを開発する役職を歴任してきました。テクノロジー標準について NRF-ARTS に数年間協業し、Retail Orphan Initiative の慈善団体を継続的にサポートしています。バージニア工科大学、ペンシルベニア州立大学で学位を取得しています。

 

翻訳は Solutions Architect 杉中が担当しました。原文はこちらです。