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Amazon EBS io2 Block Express を使用して、最も IOPS の高い SAP ワークロードを AWS 上で実行する
はじめに
AWS は 2008 年から SAP ワークロードをクラウドでサポートし、2011 年から SAP のお客様をクラウドでサポートしています。この数年間、SAP ワークロードを実行するお客様は、企業で生成されるデータがかつてないほど増加していることを目の当たりにしてきました。その結果、お客様はより良い顧客体験を提供するために、データベースの低レイテンシーと性能の向上を求めてきました。このような課題に対応するため、私たちはお客様のために継続的なイノベーションを提供してきました。
例えば、2014 年には、Amazon Elastic Block Store General Purpose (SSD) ボリュームタイプを導入し、ボリュームサイズに依存せず、ボリュームあたり 3,000 IOPS (I/O Operations per Second) までバーストできる機能を提供しました。2020 年には、私たちは SAP と協力して、SAP ワークロードのための Amazon EBS io2 ボリュームタイプを認定しました。io2 ボリュームは、Amazon EBS io1 ボリュームタイプと比較して、100 倍優れたボリューム耐久性と 10 倍高い IOPS を実現します。同様に、2021 年には、クラウド上で SAN (Storage Area Network) 並みのパフォーマンスを実現する次世代のサーバー ストレージ アーキテクチャである io2 Block Express ボリュームを発表しました。io2 Block Express ボリュームは、io2 ボリュームに比べて最大 4 倍のスループット、IOPS と容量を実現し、ミリ秒以下のレイテンシーと 99.999% の耐久性を実現するよう設計されています。
2022 年 3 月に、私たちは SAP ワークロード向けの Amazon EBS io2 Block Express ボリュームの認定をしました。AWS 上で SAP ワークロードを実行するお客様は、io2 Block Express を活用できるようになりました。
io2 Block Express による性能向上
io2 Block Express は、io2 ボリュームと比較して、下記の性能向上を追加費用無しで実現します。
- サブミリセカンドレベルの平均レイテンシー
- 最大 64TiB (65,536GiB) までのストレージ容量
- 最大 256,000 のプロビジョニング IOPS で、IOPS:GiB 比率は 1,000:1 となり、256GiB 以上のボリュームで最大 IOPS を実現 (1,000IOPS×256GiB=256,000IOPS)
- ボリュームスループットは最大 4,000MiB/s。スループットは、プロビジョニングされた IOPS あたり 0.256MiB/s まで比例して拡張でき、最大スループットは 16,000 IOPS 以上が達成可能
io2 Block Express ボリュームはスループット、IOPS、容量が高いため、単一ボリュームの性能を超えるために複数のボリュームをストライピングする必要がありません。これにより、ボリュームのストライピングに関連するお客様の管理オーバーヘッドを削減することができます。
現時点では、io2 Block Express ボリュームは SAP ワークロードに認定済みの Amazon EC2 R5b、X2idn、X2iedn インスタンスでサポートされています。R5b インスタンスには、AWS Nitro System が搭載されています。このインスタンスファミリーは、最大 60Gbps の Amazon EBS 帯域幅と 260,000 IOPS を提供します。同様に、X2idn と X2iedn インスタンスは次世代のメモリ最適化インスタンスで、同等の X1 インスタンスよりも SAP Application Performance Standard (SAPS) 性能が 45 パーセント向上しています。X2idn および X2iedn インスタンスは、ハードウェア対応 VPC 暗号化により 100 Gbps のネットワーク性能をサポートするほか、80 Gbps の Amazon EBS 帯域幅、および暗号化された Amazon EBS ボリュームでは 260k の IOPS をサポートします。
Amazon EC2 R5b、X2idn、X2iedn インスタンスと io2 Block Express ボリュームの組み合わせにより、お客様は SAP HANA システムやその他の IOPS の高いデータベースワークロードからの極端なストレージ性能要求も上回ることができます。io2 Block Express と Amazon EC2 R5b、X2idn、X2iedn インスタンスを使用することで、お客様はシステム起動後またはオンデマンドで SAP HANA のテーブルをより速くメモリにロードすることができます。
社内でテストした結果では、x2iedn.32xlarge インスタンスと io2 Block Express ストレージを使用して、1.7TB の SAP HANA データを約 5 分でメモリにロードすることができました。同様に、io2 Block Express ではバックアップやリストアも高速に行えます。AWS Backint agent for SAP HANA を使用し、x2idn インスタンスと io2 Block Express を使用して、1TB の SAP HANA データベースを約 8 分でバックアップすることができました。
io2 Block Express ボリュームをプロビジョニングするには、Amazon EC2 コンソール、AWS Command Line Interface (AWS CLI)、または R5b/X2iedn/X2idn インスタンス作成時に Amazon EC2 API で SDK を使用して作成することが可能です。R5b/X2iedn/X2idn インスタンスのプロビジョニングする際に、ストレージにProvisioned IOPS SSD (io2) を選択すると、ボリュームは Block Express Format で作成されることになります。
まとめ
io2 Block Express ボリュームは、次世代の Amazon EBS ストレージ サーバー アーキテクチャで、AWS 上の SAP ワークロードに認定済みです。io2 Block Express ボリュームは、R5b、X2idn、X2iedn インスタンスでサポートされています。io2 Block Express を活用することで、SAP HANA データベースの起動時間の大幅な改善、より高い IOPS の獲得、バックアップ/リストア時間の短縮が可能になります。
Amazon EBS io2 Block Express Volumes の詳細については、Amazon EBS Provisioned IOPS のページ、EBS Provisioned IOPS のドキュメント、Amazon EBS io2 Block Express のアナウンスメントをご覧ください。
翻訳は Specialist SA アッシュが担当しました。原文はこちらです。