Amazon Web Services ブログ
AWS オンラインウェビナー: お客様の取組と製造業におけるAWSのご支援
みなさん、こんにちは!ビジネスデベロップメントの川又、ソリューションアーキテクトの鈴木、新澤、藤井、黒田です。普段は製造業のお客様をご支援しています。
5月25日にオンラインウェビナーとして、お客様の取組と製造業における AWS のご支援を開催しました。株式会社イクヨ、豊田合成株式会社の事例や AWS の最新取組動向などが発表されましたので、ご紹介します。
本ウェビナー開催の背景
製造業を取り巻く環境は数十年にわたる構造的な課題である製造業の就業者数の低下や、コロナウィルスなどで不確実性がより顕在化する中で、 独立行政法人 情報処理推進機構の「DX白書2023」によると製造の現場においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)を取り組む企業が 70% 以上と当たり前になってきました。しかし、80% 以上の企業では DX を推進する人材の質と量が不足するなど、より少ない人数で DX を推進によりデータを活用して競争優位を向上させなければならない状況も明らかになってきました。そこで本ウェビナーでは、データの活用を推進するにあたり、人材の活用とクラウド利用のメリットを踏まえながら発表いただきました。
株式会社イクヨ: AWSを使ったシステム開発内製化で Excel 品質管理脱却 [ 動画 ] [ 資料 ]
株式会社イクヨからは、限界を迎えていた Excel による品質管理から、ベンダー主導での開発失敗を経て、 Amazon QuickSight を利用した事例をお話しいただきました。レポート作成を効率的に行うだけでなく分析に集中することで競争力を向上させることができました。詳細についてはこちらの [ 動画 ] および [ 資料 ] をご確認ください。
豊田合成株式会社: Amazon Textract を用いたデータ化による試作工程の自動化 [ 動画 ] [ 資料 ]
豊田合成株式会社からは、AWS と連携して CCoE (Cloud Center of Excellence) を構築しており業務の中で活用中であること、今回は画面に表示された平坦度を手作業で転記していた作業を Amazon Textract により数字を読み取った事例を発表されました。2 週間という短期間で実装し試作の歩留まりが最大 60% 改善、ウエハの全数調査を可能としました。詳細についてはこちらの [ 動画 ] および [ 資料 ] をご確認ください。
AWS 製造業における取組最新動向 [ 動画 ] [ 資料 ]
次に AWS から、日本の製造業における構造的な課題として、就業者数や労働時間から日本全体で総実労働時間の合計が減少しており、生産性の向上が求められることを示しました。発表された事例の通り、データと IT を活用して生産性を向上させ競争優位を確保するための手段としての DX が求められています。しかし、日本においては 70% の企業が DX を進める一方で、DX を推進する人材の質と量が足りないという現実があります。
そこで、少ない人材で DX を加速させるAWSの支援として、Solution Architect による伴走や Amazon のイノベーションを支える Working Backwards の無償体験プログラム、内製で迅速に成果を出せるマネージドサービスの活用があげられます。掛け声だけの DX のような評論家ではなく実践家となることをご紹介しました。
また、工場の DX に対する AWS の取り組みの方向性を紹介しました。一つ目はパッケージソフトウェアを AWS で稼働させる仮想サーバを中心にした使い方。二つ目は、工場の在庫や設備などのデータを AWS に送信して可視化などフィードバックを得られるマネージドサービスを中心にした使い方。可視化はアクションにつなげることが重要ですが、現場から経営層まで可視化の要件は異なるため製造にかかわる業務の階層モデルを定義した ISA-95 を参照して紹介しました。
まず、製造の現場ではリアルタイム性が求められます。また、品質保証や生産技術では KPI や傾向把握としてニアリアルタイムが求められ、AWS IoT Sitewise などを利用できます。最後に、経営層ではキャッシュフローとボトルネックを可視化できるAmazon QuickSight が適していることをご紹介しました。
工場のニアリアルタイムの可視化 [ 動画 ] [ 資料 ]
※動画は08:40頃より
”リアルタイム”や”ニアリアルタイム”という言葉は Industrial IoT (IIoT) 領域で多用されますが、それが意味する時間軸はユーザーによって異なります。設備保全担当者が故障原因分析を行う時は秒、μ 秒単位のデータ鮮度が必要になりますが、工場長等の経営判断を行うユーザーは月単位の集計値を見たいということもあるでしょう。それぞれのユーザーにとって適したサービスやアプリケーションがあり、適切なものを選択する必要があります。このウェビナーでは、データ鮮度としては分(minutes)、時間(hour) あたりで求められるユースケースと対象のユーザーに焦点をあて、AWS IoT SiteWise を使って可視化ダッシュボードやチャットツール連携を行うユースケースについて解説しました。
製造担当によるダッシュボード構築 [ 動画 ] [ 資料 ]
AWS Summit Tokyo にも展示しておりました、製造業向けのダッシュボードについてご紹介しました。 このダッシュボードでは、製造業のお客様が「クラウドの価値」を体感いただけるよう製造業に特化したデータ、ユースケースをモデルに作成されております。我々の考える「クラウドの価値」とは、営業・経理・設計といった業務領域を横断的に連携させたり、地理的に離れた世界中の生産拠点のデータに関しても同時に取り扱える連携の容易さにあると考えています。また、こういった高度なデータ連携がマネージドサービスを利用することで俊敏性を持って開発できる点も大きな価値と考えています。このような価値を体感いただくために、在庫を個数だけでなく、経理的データを組み合わせることで金額換算で評価可能とする KPI ダッシュボードや、その KPI の異常要因を分析するための在庫の割合や推移の分析、不良分析を複数のラインを横断して行える画面などで構成されております。
また、このセッションではダッシュボードの紹介だけでなく、このダッシュボードを AWS のソリューションアーキテクトが開発を通じて体感した内製化の効力や、俊敏な可視化をサポートする Amazon QuickSight をはじめとしたマネージドサービスの価値についてお話しました。
ご興味持たれた方は、本セッションの動画や資料はもちろん、 ダッシュボード解説記事 と 開発ストーリーに関するブログも是非合わせてご覧ください。
AWS Summit 2023 フィードバック [ 動画 ] [ 資料 ]
4月20, 21日の二日間、幕張メッセで AWS の国内最大のイベントである AWS Summit 2023 を実施しました。AWS Summit は日本における AWS 最大のイベントで、「見て、触れて、楽しむ 学びの場」というテーマで、150 を超えるセッション、180 を超える Expo コンテンツ、10 を超える対話型コンテンツを実施しました。
本ウェビナーでは、基調講演で発表された、AWS の日本に対するコミットメントや、生成系 AI に関する発表を含む Amazon の機械学習によるイノベーションなどトピックのフィードバックを行いました。
また、Expo の製造ブースにおける 2 つのモデルファクトリーデモと、日本国内初登場となる Amazon Monitron の展示や AWS Panorama などエッジデバイスのデモのフィードバックを行いました。
そして、AWS から最新テクノロジーをご紹介する AWS セッションのうち、製造業のお客様に有用な二つのセッション、「スマートファクトリの実現における AWS IoT での検討ポイント」、「Manufacturing on AWS 〜製造DX の新潮流〜」についてフィードバックしました。
AWS Summit 2023 の 100 以上のオンデマンドコンテンツを6月23日(金)までご視聴いただけます。是非ご利用ください。( https://thinkwithwp.com/jp/summits/tokyo/ )
Hannover Messe 2023 フィードバック [ 動画 ] [ 資料 ]
来場者が 13 万人を超える、製造業のための国際展示会である Hannover Messe 2023 に AWS も出展しました。今年は、Design to Consume というコンセプトの元、Industrial Data Fabric (IDF) を発表し、製品の研究開発/設計から使っていただくところまでのデータの活用についてデモやリファレンスアーキテクチャで、利用ユースケースやそのメリットを感じていただくブースをご用意し、お客様に自社でのユースケースをイメージして頂き、その場でティスカッションなども実施させていただいています。
また、情報と物(現実の世界)との一致も非常に重要な要素で、情報と物の一致ををスピード感を持って実現するために、Amazon Monitron や AWS との接続をサーティファイしてるパートナー様のデバイス等も来場していただいたお客様の興味のポイントになっていました。
おわりに
今回のウェビナーでは、お客様の取組と製造業における AWS のご支援をご紹介をさせていただきました。このように工場の現場、他部門との連携、経営層のみなさまにお役立ちできる様々な AWS サービスがあり、製造のデジタル化による効率化・最適化に取り組んでいます。ぜひ、少数で DX 施策を進められているご担当者のみなさま、DX や製造業におけるクラウドの利活用について AWS までご相談ください!
著者プロフィール
新澤 雅治 (Niizawa Masaharu)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
IoT スペシャリスト ソリューションアーキテクト
製造業、 IT ベンダーを経て AWS に 入社。現在は IoT スペシャリストソリューションアーキテクトとして、主に製造業のお客様の Industrial IoT 関連案件の支援に携わる。趣味はドライブ、BBQ、ハイキングなどアウトドア全般。
藤井 暢人 (Fujii Nobuhito)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
技術統括本部 ソリューションアーキテクト
外資系 IT ベンダーなどを経て 2021 年 1 月に AWS に入社。現在はソリューションアーキテクトとして、これから AWS を活用していこうというお客様への支援を担当。週末はテニスをしたり、家族とウォーキングなどをしてます。
鈴木 健吾 (Suzuki Kengo)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
技術統括本部 シニアソリューションアーキテクト
外資系 IT ベンダーを経て、2018 年に AWS に入社。現在は、リューションアーキテクトとして製造業のお客様を担当し、お客様のビジネスでの成長や課題解決に貢献できるよう活動を行なっている。最近、日本百名山登山を開始し現在 4 座登頂。
黒田 雄大 (Yuta Kuroda)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
技術統括本部 ソリューションアーキテクト
自動車部品サプライヤーの生産技術部門、情報システム部門、Smart Factory プロジェクトを経て AWS Japan に入社。エンタープライズ事業本部でソリューションアーキテクトとして東海圏の製造業のお客様を中心に技術支援しています。コロナ禍のリモートワークをきっかけにハンドドリップコーヒーにハマっています。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
オートモーティブ・マニュファクチャリング事業本部 ビジネスデベロップメント
外資系ソフトウェアベンダーにおいて営業、プリセールス、コンサルタント、事業開発業務などを経てAWS に入社。お客様に知っていただくところから、使っていただくところまで業務視点でご支援しています。週末はほぼ外にいて、4月ぐらいから10月ぐらいまでだいぶ日焼けしてます。