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AI と AWS を使用してスケーラブルな損失防止およびビデオインテリジェンスサービスを構築する
この記事は Building a Scalable Loss Prevention and Video Intelligence Service using AI and AWS (記事公開日: 2024 年 4 月 2 日) を翻訳したものです。
多くの防犯カメラシステムは、セキュリティインシデントが発生した際にアクセスされ、保険的な役割や予期せぬ事故に対する事後対策として機能します。Solink は、ビデオ映像とトランザクションデータを組み合わせることで、よりプロアクティブな損失防止ソリューションを提供し、企業がコストを削減するインテリジェントな判断を行うことでリスクを評価し特定することを支援しています。
Solink は、Amazon Web Services (AWS) 上に構築された Video Security-as-a-Service (VSaaS) 製品であり、ビデオアノテーションなどの重要なタスクを自動化するために人工知能 (AI) を活用しています。このソリューションにより、顧客の取引監視能力、インサイトの収集、損失防止が大幅に向上しました。多くの企業にとって、Solink は 3 〜 5 倍の投資収益率をもたらしています。さらに、顧客は Solink のオファリングを利用して在庫ロスを管理し、最終的に削減することで、2 パーセントの利益増加を実現しています。
スケーラブルで安全な損失防止ソリューションを AWS で構築
Solink は、防犯カメラの映像と POS 取引、入退室管理、在庫、その他センサーなどのイベントとの照合を簡単にしています。同社の顧客の多くは小売店、レストラン、金融機関で、以前は防犯カメラの映像へのアクセスが限られており、多くの場合、インシデントが発生した際に事後的に映像を確認するだけでした。そして、最も重要なリスク要因を特定することが強固なセキュリティには不可欠ですが、そのために以前は何時間もの映像を手動で見る必要がありました。そこに Solink はイノベーションの機会を見出しました。
「私たちのアプローチは常にセキュリティを最優先にしており、ソリューションは常時稼働し、常に利用可能である必要があります」と Solink の副社長(セールス担当)である Jim Farrell 氏は述べています。「そして、それらの原則にイノベーションをもたらし、私たちが構築するすべてのものが簡単にアクセスでき、顧客に価値を提供できるようにしています。」
Solink の生み出したイノベーションのひとつが、クラウドベースの SaaS です。同社は、グローバルな顧客基盤にサービスを提供するために、スケーラブルで高可用性かつセキュアな基盤が必要だと認識し、AWS を選択しました。「 2015 年にプラットフォームの設計を始めた時、以前なら自分たちで構築しなければならなかった多くのインフラを AWS のサービスが提供してくれることがわかりました。高可用性とスケーラビリティが組み込まれています。」と Solink の最高技術責任者である Norm Wong 氏は述べています。
また、同社は継続的にデータを取り込んでいます。データの多くは、API やローカル統合を介したセンサー、その他のデバイスから直接送信されます。成長を続ける Solink は現在、40 か国以上にわたる数万の拠点から月間 10 億件のトランザクションを取り込み、関連付けを行っています。このデータをいつでも安全にクラウドで利用可能にすることは、リアルタイムのインサイトを提供するために必要不可欠です。
AI を活用してインテリジェントなセキュリティ監視を実現
Solink は、事実上あらゆるワークロードに対して安全で拡張可能なコンピューティング能力を提供する Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) を使用しています。パイプラインは、ビデオと画像に各取引の時刻や日付、デバイスの場所といったコンテクストを付与し、検索可能にします。顧客がビデオにリモートでアクセスする際は、CDN の動作に似た安全なリレー技術を使用し、AWS リージョン間でビデオを配信することで遅延を最小限に抑え、セキュリティを維持しています。
30 万台以上の接続デバイスからなる現在のネットワークを管理するため、Solink はクラウド上で構造化データの設定、運用、スケーリングを簡単にする Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) を使用しています。「 AWS サービスを通じて管理されているため、冗長性やデータベースのバックアップについて心配する必要がありません」と Solink のエンジニアリング部門 VP、Martin Soukup 氏は述べています。Solink の顧客は、ダッシュボードやウィジェットを通じてこのデータへ簡単にアクセスでき、データの表示やフィルタリング、パフォーマンスレポートの生成が可能です。そして、潜在的なセキュリティイベント(販売、ドライブスルー取引、配達など)を詳しく調査し、関連するカメラが撮影したビデオを視聴することができます。
AWS でセキュリティを強化しつつコストを削減
Solink を使用することで、企業は商品損失の削減から内部窃盗の減少まで、複合的な社内メリットを実現できます。「私たちの顧客は、自社のビジネスをよりよく理解できるようになります」と Farrell 氏は言います。「彼らはスタッフをより良くコントロールし、指導やトレーニングを行う能力が向上します。」
企業はまた、他の方法でも節約することができます。Solink のビデオアラームソリューションを使用することで、アラームが人によって引き起こされたかどうか、警察が対応すべきかどうかをより確実に判断できます。このシステムは、Amazon SageMaker を使用してカスタムモデルを構築し、高い信頼性を得ています。これにより、機械学習を用いた画像認識とビデオ分析を自動化し、そのコストを低減、従来の「センサー/パネル」ベースのオファリングを上回る性能を発揮します。結果として、Solink は企業に罰金をもたらす可能性がある誤報の確率を減少させます。そして、警察が呼ばれた際、ビデオ検証によって対応者がよりよく状況を理解できるため、Solink の顧客はしばしば対応時間の短縮を実感します。
さらに、米国の企業は、Solink に接続されたカメラと AI を使用して非常口の潜在的な障害物を特定することで、労働安全衛生管理局(OSHA)の規制遵守状態を改善しています。専用のシステムを購入すると何十万ドルもかかる可能性がありますが、Solink はこの機能を組み込み機能として提供しています。
AWS で Solink の SaaS を継続的に強化
AWS において、Solink は事実上シームレスなスケーラビリティを実現しました。これは、インフラ管理やコストを心配することなく、顧客の需要に応じて成長し続けられることを意味します。同社は、セキュリティにおけるイノベーションの探求を続けており、生成 AI テクノロジーを使用して新しいオファリングを構築しています。その一例が 2023 年に発表された Solink Sidekick AI です。
「私たちのシステムのスケーラビリティは、使用量に基づいて成長します」と Soukup 氏は述べています。「多くのサービスをオンデマンドで利用できるようになったことで、従来よりもはるかに速くソフトウェアを採用し、実装する自由が得られました。」
著者について
本稿の翻訳は、ソリューションアーキテクトの髙橋が担当しました。原文はこちら。