Amazon Web Services ブログ
週刊AWS – 2020/9/28週
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの下佐粉です。
今週も週刊AWSをお届けします。
10月に入りましたね。先月は初のオンライン開催となった AWS Summit Online Japan が開催されていましたが、今月はエンジニア向けイベントAWS Dev Day Online Japanが開催されます。2020年10月20日(火)~22日(木)、こちらもオンラインで開催されます。キーノートにはJavaの産みの親ジェームス・ゴスリンが登壇する等、見どころ満載になっていますのでぜひこちらもご参加いただければと思います。
それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。
2020年9月28日週の主要なアップデート
- 9/28(月)
- (この日はピックアップすべき発表はありあませんでした)
- 9/29(火)
- 日本の販売者、コンサルティングパートナー、データプロバイダーが AWS Marketplace 内と AWS Data Exchange で利用可能に
日本の独立系ソフトウェアベンダー(ISV)やコンサルティングパートナー、およびデータプロバイダーの方がAWS Marketplace、およびAWS Data Exchange でソフトウェアやデータ製品を販売できるようになりました。AWS MarketplaceはAWSで利用可能なソフトウェアやサービスを販売するための仕組みで、AWS Data Exchangeはデータそのものをサブスクリプション形式で販売するための仕組みです。詳細はこちらのBlogをご覧ください。また、合わせて販売者がどの製品をどの国で販売するかを調整するためのGeo-Fencing機能もリリースされています。 - Amazon Braket で、量子アニーリング向け D-Wave の Advantage 量子システムの提供を開始
Amazon Braket はフルマネージド型の量子コンピューティングサービスです。今回の発表で、これまで利用可能だったD-Wave 2000Q QPUに加え、Advantage QPUが新たにご利用いただけるようになりました。これは5000を超える量子ビットを備えており、より大規模かつ複雑な量子最適化の問題に利用いただけます。
- 日本の販売者、コンサルティングパートナー、データプロバイダーが AWS Marketplace 内と AWS Data Exchange で利用可能に
- 9/30(水)
- Amazon S3 on Outposts is now generally available, expanding object storage to on-premises environments
オンプレミス環境にハードウェアを設置することで、AWS各種サービスをオンプレミスから低遅延での利用を可能にするAmazon Outpostsで、Amazon S3が利用可能になりました。特徴や利用想定のユースケース等が説明されていますので、ぜひこちらのBlogを参照してください。 - Amazon MSK can now automatically expand cluster storage
Apache Kafkaをフルマネージドで提供するAmazon Managed Streaming for Apache Kafka (Amazon MSK)がストレージの自動拡張(automatically expand storage)に対応しました。Auto Scaling policiesを設定しておくことで、必要なサイズのストレージが自動的にプロビジョンされるようになります。設定方法はこちらのドキュメントを参照してください。 - AWS Client VPN がクライアント間の接続のサポートを開始
AWS Client VPNは、クライアントPCからAWS内のVPCにVPNを実現するためのマネージド仮想VPNサービスです。今回の発表でVPNクライアント間の接続を設定可能になりました。つまりVPNクライアントが別のVPNクライアントへの安全な接続を確立できるようになりました。 - AWS CodePipeline now Supports GitHub Enterprise Server
AWS CodePipelineは完全マネージド型の継続的デリバリー(CD)サービスです。ソースとしてはAWS CodeCommit、Bitbucket Cloud、GitHub.com、Amazon S3をサポートしていますが、今回新たにGitHub Enterprise Serverがサポートされました。普段の開発でGitHub Enterprise Serverをお使いの方にも利用していただきやすくなりました。 - Amazon SageMaker Processing now supports built-in Spark containers for big data processing
機械学習を包括的にサポートするマネージド型サービスAmazon SageMakerで、Apache Sparkのジョブを実行できるコンテナ環境が利用可能になりました。機械学習に必要なデータの前処理やトレーングのジョブをPySpark等で記述し、SageMaker内で実行できます。詳細はこちらのBlogを参照してください。
- Amazon S3 on Outposts is now generally available, expanding object storage to on-premises environments
- 10/1(木)
- AWS CloudFormation Guard – an open-source CLI for infrastructure compliance – is now generally available
AWS CloudFormation Guard (cfn-guard)が一般提供開始(GA)になりました。cfn-guardは、利用可能、もしくは禁止されたリソース構成を定義し、それらがCloudFormationの定義で守られているかをチェックするためのツールセットです。OSSで開発されており、ソースコードはgitbub上で公開されています。 - Announcing general availability of waiters in the AWS SDK for Java 2.x
AWS SDK for Java 2.x が一般提供開始(GA)になりました。2.xでの新機能としてはWaiterが挙げられます。これはリソースが特定の状態になるまで待機(Wait)する仕組みを抽象化したものです。AWSのAPIは多くが非同期ですから、リソースの作成や変更のAPIをコールした後に、それが完了したかどうかを確認してから次の処理を実行するようなコードを書く場合があります。このWaiterはそれを楽に書けるようにする仕組みです。具体例はこちらのBlogをご覧ください。同時に新しいHTTPクライアントであるAWS CRT HTTP ClientがPreviewで公開されています。こちらについてはこのBlogをご覧ください。
- AWS CloudFormation Guard – an open-source CLI for infrastructure compliance – is now generally available
- 10/2(金)
- Amazon Redshift announces support for HyperLogLog Sketches
Amazon RedshiftがHyperLogLog (HLL) スケッチをサポートしました。HLLは集合の中からユニークな値が何種類あるか(カーディナリティ)を「概算」するアルゴリズムです。高速かつ省メモリで実行できる事が特徴ですが、あくまで確率的な値であって誤差を含みます。HLL()関数が用意されているので、これを使うと簡単にHLLでのカーディナリティが出力できます。また今回スケッチと呼ばれる、HLLを演算するための元データを保存、操作する機能も用意されています。例えばhll_create_sketch関数でスケッチ演算し、それをHLLSKETCH型に保存しておく事や、スケッチのエクスポート等ができるようになっています。これにより、Spectrumにある外部表のスケッチを事前に演算しておいてキャッシュしておくといった使い方が可能になります。具体的な利用方法はこちらのドキュメントを参照してください。 - Amazon CloudWatch Logs now supports two subscription filters per log group
Amazon CloudWatch Logsで1つのロググループに2つのサブスクリプションフィルタがセット可能になりました。この2つのサブスクリプションフィルターにはそれぞれ個別のフィルターパターンを設定可能ですこれにより、複数の処理系にデータを渡すことが容易に実現できるようになります。 - Amazon S3 Object Ownership is available to enable bucket owners to automatically assume ownership of objects uploaded to their buckets
Amazon S3にAmazon S3 Object Ownershipという機能が追加されました。これはあるS3バケットに、別のAWSアカウントからデータをUploadした場合に、そのアップデートされたデータのオーナーシップを自動的にバケットオーナーにする仕組みです。S3をデータレイクとして企業の中心に据えて利用することが増えていますが、企業の中で複数のAWSアカウントを利用しており、データレイク用のAWSアカウントは別にあるようなケースで便利に使える機能です。詳細はこちらのBlogを参照してください。
- Amazon Redshift announces support for HyperLogLog Sketches
AWSでは毎週のようにメジャーな新機能や新サービスが発表されていますが、そういった大きい発表以外にも細かな改善が日々継続されています。例えば今回の内容だとAmazon CloudWatch Logsでサブスクリプションフィルタが2つセットできるようになったり、S3 Object Ownershipによる権限の調整する機能等は、派手さは無いですが利用者にとっての面倒な手間を減らす改善だと思います。
それでは、また来週!
ソリューションアーキテクト 下佐粉 昭 (twitter – @simosako)