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Amazon Connect 向けのよりきめ細かな請求を発表

はじめに

Amazon Connect は使いやすいクラウドコンタクトセンターで、あらゆる規模の企業が優れたカスタマーサービスを低コストで提供できるよう支援します。コンタクトセンターの分野において、企業は運用コストについてより深い洞察を求めています。お客様は、事業部門や複数のブランドなど、コンタクトセンターのワークロード用に異なるコストセンターを持っている可能性があります。今日、このような企業は AWS の請求書を受け取った後、Amazon Connect のコストを該当するコストセンターに手作業で割り当てる必要があります。

お客様はまた、コンタクトセンター内の特定のコンタクトタイプ(サポート、セールスなど)やコンタクトワークロード(アウトバウンドキャンペーン、一時的なイベントベースのサポートなど)に関連するコストを把握したいと考えています。このようなユースケースを可能にするデータの取得は、以前は非常に手間のかかるプロセスであったり、不可能であったりしました。

今回の新機能で以下のようなことが可能になりました。例えば、コンタクトが転送される際にキューへの転送フローが起動されると、2 番目のコンタクトが作成されます。この場合に、キューへの転送フローでコンタクトに “Department: Support” とタグ付けし、コンタクトの最初のセグメントでは “Department: Sales” とタグ付けすることができます。その後、請求とコスト管理コンソールでコスト割り当てタグとして “Department” を選択すると、Cost Explorer およびコストと使用状況レポートで、これらのセグメントの料金を部門別に区分できます。

コンタクトには、インスタンス ID やシステム・エンドポイント(インバウンドコールとアウトバウンドコールのそれぞれについて、着信番号(DNIS)とシステム発信者番号)などのシステムタグが自動的に付けられますが、もちろん、お客様が独自のタグを作成して管理したい場合もあるでしょう。例えば、事業部門やブランド別のタグ付けなど、顧客の意図を理解すれば簡単にタグ付けできるユースケースもありますが、より複雑なユースケースや、これまでのレガシーテクノロジーでは不可能または非現実的だったユースケースでは、直感的なタグ付けが難しい場合があります。このブログの残りの部分では、タグ付けに関するお客様のさまざまなユースケースとその適用方法について説明します。

部門を跨ぐ転送

顧客がサポートの問題なのにセールスの電話番号に電話してしまったのか、それとも別の部門(サポート部門)で対応する追加ニーズがあったのかにかかわらず、これまでは部門を横断する転送に関連するコストを適切な事業部門に割り当てることが困難でした。現在では、コンタクトのタグ付け機能により、コンテンツの各セグメントを個別にタグ付けすることができ、その結果、各コンタクトセグメントの使用料を適切な部門に請求することができます。

上記の例では、顧客は “sales” コンタクトとして入電し、コンタクトは “Department: Sales” とタグ付けされます。その後、コンタクトは Sales キューを通過し、顧客はセールス部門のエージェントと会話し、注文をします。その後、顧客は別の製品のサポートに関する質問をします。セールス部門のエージェントは、この質問はサポート部門が処理するのが最適であると認識し、クイック接続を使用してコンタクトをサポート部門に転送します。

コンタクトが転送されると、キューへの転送フローが起動され2 番目のコンタクトが作成されます。キューへの転送フローで、コンタクトは “Department: Support” とタグ付けされます。コンタクトの最初のセグメントは “Department: Sales” とタグ付けされ、2 番目のセグメントは “Department: Support” とタグ付けされました。請求とコスト管理コンソールでコスト配分タグとして “Department” を選択すると、Cost Explorer およびコストと使用状況レポートで、これらのセグメントの料金を部門別に区別できるようになります。

注: “Department: Support” タグが 2 つ目のコンタクトセグメントに適用されていない場合、“Department: Sales” が(他のタグで上書きされるまで)そのコンタクトのタグとして使用されます。

上記の例のようなウォーム転送の場合、転送後にセールス部門のエージェントは一定時間通話にとどまります(申し送りのため)。このコンタクトが重なる期間のサービスおよびテレフォニー料金は、最初のコンタクト(セールス)と2番目のコンタクト(サポート)の間で分割されます。

セールス: 5 分間の電話料金およびサービス利用料金
セールスとサポート: 2 分間の電話料金およびサービス利用料(セールスとサポートで折半)
サポート: 8 分間の電話料金およびサービス利用料金

通話タイプ

顧客からの問い合わせの種類に応じたコンタクトセンターのコストを把握することは、顧客エンゲージメントオプションを改善し、コストを削減するための将来の投資分野について情報を提供する上で有効です。タグを使用して顧客からのさまざまな問い合わせ理由を表すことで、問い合わせの種類別に Amazon Connect の使用量と電話料金を確認できます。

上記のフローでは、コンタクトが着信すると、顧客の意図を識別し、 “OrderStatus” と “CancelOrder” のセルフサービス操作を提供するためにバーチャルアシスタントが反応します。コンタクトタイプ(この場合はユーザーの意図)が決定されると、コンタクトはそれぞれのコンタクトタイプでタグ付けされ、エージェントとの通話で継続されるか、または終了されます。

コンタクトがフロー内のどこでタグ付けされるかに関係なく、タグはコンタクト全体に適用されます。つまり、上記の例でPlaceOrder コンタクトタイプの場合、このコンタクトに対する Amazon Connect の使用料と電話料金は、コンタクトの開始から終了までタグ付けされます。

特定のコンタクトタイプにコストが割り当てられるようになった今、お客様はそのデータを使って、FAQ、デジタルセルフサービス、その他の情報資産のようなデジタル付随サービスを通じて顧客の問題解決を支援するための投資や、より費用対効果の高いチャネルへの拡大に役立てることができます。

アウトバウンドキャンペーン

アウトバウンドキャンペーンを利用する場合、企業は各キャンペーンに関連するコスト、つまり TMC(トータルマーケティングコスト)を知りたいと思うでしょう。コンタクトセンターを通じてこれらのキャンペーンを実行する際に、コンタクトタグを使用することができます。

上記の例では、キャンペーンのセグメントから顧客が特定されます。ダイヤラーが特定された顧客とのコンタクトを開始すると、そのコンタクトにはキャンペーン ID、顧客の所在地、(顧客セグメントデータに基づく)顧客のロイヤルティレベルがタグ付けされます。

上記のコンタクトタグは顧客のロケーションとロイヤルティレベルを指定するために使用されましたが、同じロジックを顧客セグメントデータの一部として任意のカテゴリデータに適用することができます。コンタクトフロー内でコンタクトタグを使用することで、企業は様々なキャンペーンのコストや、各キャンペーン、または顧客のセグメンテーションごとの収益率を比較することができます。

アウトバウンドキャンペーンの投資収益率(ROI)とリード単価(CPL)を計算するために、企業は生成された総マーケティングコスト(TMC)と総収入(TR)、生成されたリードのデータを活用することができます。

結論

コンタクトセンターの費用を理解することは、投資分野の理解に役立ち、自動化、デジタル資料、セルフサービス、エージェントトレーニング、エージェントツールなどのビジネスケースを構築するのに役立ちます。Amazon Connect のコンタクトタギングときめ細かな請求により、コンタクトセンターの運用コストをこれまで以上に把握することができます。このブログでは、きめ細かな請求を使ってコンタクトセンターのコストを把握する 3 つの例を紹介しました。これらのユースケースは、ほんの一例を紹介したに過ぎず、皆様がどのようなユースケースを思いつくか楽しみです!下記の関連リンクもぜひご覧ください!

What’s New ブログ記事: https://thinkwithwp.com/about-aws/whats-new/2023/12/amazon-connect-granular-billing/

Amazon Connect 管理者ガイド: https://docs.thinkwithwp.com/connect/latest/adminguide/granular-billing.html

AWS Tagging guidance: https://thinkwithwp.com/solutions/guidance/tagging-on-aws/

TAGS: Amazon Connect, Billing, Contact Center

翻訳はソリューションアーキテクトの坂田が担当しました。原文はこちらです。