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Kubernetes バージョンに対するAmazon EKS の延長サポートのプレビューが開始されました
はじめに
本日、Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) の Kubernetes バージョンに対する延長サポートのプレビューを発表します。これにより、特定の Kubernetes バージョンが Amazon EKS で一般提供されてから最大 26 か月間、Amazon EKS クラスターでご利用頂けるようになります。延長サポートは、本日から Kubernetes 1.23 バージョンを対象に、すべての Amazon EKS ユーザーに対して無料でプレビューされます。
Kubernetes のようなオープンソースソフトウェアにおいて、コラボレーションを可能にし、エコシステムを横断して互換性を確保するために、バージョンは重要な構成要素です。Amazon EKS の責任共有モデルの一環として、ユーザーはクラスターを最新の状態に保つ必要がありますが、Kubernetes の新規バージョンのリリースペースや複雑さは、 企業にとって追従が難しい場合があります。我々は、Kubernetes のバージョンアップグレードをより簡単にするためのサポートを提供したいと考えています。
Amazon EKS の延長サポートは、クラスターのセキュリティ体制を損なうことなく、Kubernetes のバージョンアップグレードを計画する柔軟性をユーザーに提供します。延長サポートが役立つと思われる一般的なシナリオは次のとおりです。
コードフリーズへの対応: 商業上重要なイベント(年末商戦、会計年度末の財務報告、新製品発売など)に備えて、環境を凍結する必要がある場合があります。Kubernetes バージョンの廃止に向けて急いで計画を立てるのではなく、延長サポートによりビジネスを優先させ、アップグレードを自分にとって最も都合のよいタイミングで実施できます。
サードパーティの依存関係の管理: クラスター内で、セキュリティコントロールやインフラ管理機能などを実現するために、カスタムまたはサードパーティ製のソフトウェアを利用している場合があるでしょう。ベンダーが、Kubernetes の特定バージョン用のコントローラやその他のソフトウェアのリリースと認定に遅れることがあります。この場合、延長サポートにより、ユーザーとベンダーは、ソフトウェアの認定バージョンをテストしてリリースするための時間を確保できます。
延長サポートの機能
Kubernetes プロジェクトは、最新の 3 つのマイナーバージョンに対してリリースブランチを維持しています。各バージョンは、安定版のリリース (dot 0) から 14 か月の間、Kubernetes コミュニティからサポートを受けます。このサポートが終了すると、アップストリームのプロジェクトはそのバージョンに対するバグ報告やパッチのリリースを受け付けなくなります。Amazon EKS の標準的なバージョンサポート期間は、このアップストリームのサポート期間に合わせています。延長サポートにより、Amazon EKS のクラスターは、当初の 14 か月のサポート期間後、最大 12 か月間そのバージョンで稼働し続けることができます。Kubernetes のバージョンに対する 14 か月の標準サポートが終了すると、そのバージョンで稼働しているクラスターは自動的に延長サポートに入ります。アクションや設定変更は必要ありません。延長サポート期間の終了時に、非推奨バージョンを使用しているすべてのクラスターは、自動的に次に古いバージョンにアップグレードされます。クラスターで Kuberentes バージョンの延長サポートを利用しない場合は、標準サポートの期間内にアップグレードが可能です。
延長サポートの対象
延長サポート期間中の Amazon EKS クラスターは、 Kubernetes のコントロールプレーンに対する継続的なセキュリティパッチを受け取ります。加えて、Amazon VPC CNI、kube-proxy、CoreDNS アドオン、AWS が公開した Amazon Linux と Bottlerocket 向けの EKS Optimized Amazon Michine Images(AMI)、EKS Fargate ノードに対して重要なパッチが提供されます。また、延長サポート期間中のすべてのクラスターは、AWS からテクニカルサポートを受けることができます。
延長サポートは、AWS から提供される Kubernetes 固有のコンポーネントをすべてカバーしますが、AWS が公開した Amazon Linux および Bottlerocket 向けの EKS Optimized AMI に対してのみサポートを提供します。つまり、延長サポートを利用している間、AWS が公開した EKS Optimized AMI 上にオペレーティングシステム (OS)、カーネルなど、新しいコンポーネントが含まれる可能性を意味しています。例えば、Amazon Linux 2 は 2025 年に EoL を迎えますが、AWS が公開する EKS Optimized Amazon Linux AMI は、新しい Amazon Linux OS を使用してビルドされるでしょう。Amazon EKS は、Kubernetes バージョンごとに重要なサポートライフサイクルとの不一致を発表し、ドキュメント化します。
本日時点では、Amazon EBS CSI ドライバーや Amazon EFS CSI ドライバー、 AWS Distro for OpenTelemetry (ADOT), Amazon GuardDuty エージェント、AWS Marketplace add-ons for EKS、Windows AMI、Amazon EKS Distro など、その他の Amazon EKS アドオンは延長サポートの対象外です。
プレビューで利用可能
Kubernetes バージョンの延長サポートは、Kubernetes バージョン 1.23 以上で動作する Amazon EKS クラスターを対象にプレビューとして提供されます。追加のアクションや設定の変更は必要ありません。バージョン 1.23 で動作するクラスターは、2024 年 10 月にバージョン 1.23 の延長サポート期間が終了した時点で、自動的にバージョン 1.24 にアップグレードされます。
プレビュー期間中は、延長サポートに対して追加コストはかかりません。延長サポートは 2024 年初旬の利用可能を予定しており、延長サポートを利用するクラスターごとに追加料金が発生する予定です。もちろん、ユーザーは標準サポート期間内にアップグレードできます。この場合、既存の Amazon EKS の利用料金が適用されます。
Kubernetes バージョンの延長サポートは、Amazon EKS のユーザーがクラスターをアップグレードする際の選択肢を提供します。Amazon EKS バージョン 1.28 で発表されたコントロールプレーン/ノードのスキューポリシーの変更に加えて、AWS からの完全なセキュリティパッチ、バグ修正、サポートを受けながら、クラスターのアップグレード頻度を減らすことができます。サポートされている Amazon EKS のバージョンと重要なリリース日を確認するには、リリースカレンダーをブックマークすることをお勧めします。
翻訳はソリューションアーキテクト祖父江が担当しました。原文はこちらです。